マイナス金利にも負けない究極の分散投資術を読んで
モーニングスター社長の朝倉智也さんの講演を聴いたり、著書を読んだりする機会は結構ありまして、特にモーニングスターのETFカンファレンスは2012、2014、2015と話を聴いています。
ETFカンファレンス2014の記事:モーニングスターETFカンファレンス2014
ETFカンファレンス2015の記事:モーニングスターETFカンファレンス2015に行ってきた
アクティブファンドの評価も行っている会社ではあるものの、運用コストとかインデックスファンド、海外ETFの優位性についてわかりやすく説明しますし、出席者の年齢層に合わせて経済動向の話を長くしたりでいる人の印象があります。また、討論のセッションでも進行は上手いと思います。
そんな朝倉氏がこの度新しい本を書かれました。
以前よりも新興国(特に中国)を押す意見はなかった印象
朝倉氏は基本的に日本に悲観的で、妙に中国を評価している印象がこれまでの講演と著書であったのですが、今回はやや新興国全体に関しての言及が減った印象ですね。ただし、金や新興国債券の現地通貨建てを具体的なポートフォリオの構成のところで言及しているのでインフレヘッジや通貨の分散に関しては持論は変わっていないようです。
日本の金融緩和を心配しているようですが、2010年代にと書いてますけど日本単独で崩れる可能性よりは、他国で何かしらの問題が発生して崩れる可能性の方が圧倒的に高いと思います。
資産運用の「常識」として10のテーマ
3章の資産運用の「常識」として10のテーマに関してはいい物だと思うので概要をまとめますと以下の通りです。
①相場を読んではいけない
②「為替相場のプロ」を信じてはいけない
③「いつ買っていつ売るか」を気にしてはいけない
④株式と債券だけでは分散は不十分
⑤国内株と海外株の連動性が高まっている
⑥非グローバル企業の中小型株を
⑦長期的に見ればやはり新興国は外せない
⑧国債だけでなく投資適格社債、ハイ・イールド社債
⑨マイナス金利時代こそ金
⑩国内株よりも海外株の比率を高める
特に②ですね。最近の東洋経済なんかは一方に偏らないようにしているのはいいと思いますが、極論が載ってるので惑わされる人いるんじゃないかと思うんですよね。為替はよくわからない思惑でぶれますし、100円→125円→100円を経験しますと意識しても仕方ないんじゃないかと思えるようになってきてます。
⑧と⑨については人それぞれでしょうけど、ハイイールド債と適格社債両方入れる必要あんのかな?とも思えますけどね。両方のETFを持っている私が言うのもなんなんですけど・・
究極の分散投資術で取り上げられてたポートフォリオ
第4章で具体的なポートフォリオが上げられています。長期で資産を形成することを重視して「成長資産(株式) 70%、インカム資産(債券) 20%、インフレヘッジ資産(金) 10%」となっていました。この件については具体的なETFも書かれてましたので、後日検証してみようと思います。
後はサテライト投資として、米国内外のバンガード小型株ETF(VB,VSS)やiシェアーズMSCIフロンティア100(FM)を上げていました。FMの経費率0.79%は安いと言ってますけど新興国株式ETFの倍以上っていうのはう~んという感じがしますけど。
一応、モーニングスターの業務的に配慮をしたのでしょうか?投資信託(アクティブファンド)を使用したポートフォリオも紹介されています。
全般的に見て投資を始めて少し経った人や、初心者向けとしていい本だと印象ですね。私がジャンク債ETF(JNK)を買うきっかけにもなった本と比べると経済の見通しが変わってきていることも実感できました。まぁ、あの頃は20代だったから今考えると若気の至りだったかな・・という気がしています。


フォローする Follow @garboflash
更新情報を受け取る
