マイナス金利にも負けない究極の分散投資術に書かれていた海外ETFのポートフォリオで債券の分散効果を検証してみた
先日モーニングスター社長の朝倉智也の最新の本である「マイナス金利にも負けない究極の分散投資術」の感想を書きましたが、その中で以下の記載がありました。
引用元:マイナス金利にも負けない究極の分散投資術を読んで
このポートフォリオの中身がどうなっているかと言いますと、生産成長の株式の部分はバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)、インフレヘッジ資産(金)がiシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU)、そして債券が以下の4つのETFで分散されていました。第4章で具体的なポートフォリオが上げられています。長期で資産を形成することを重視して「成長資産(株式) 70%、インカム資産(債券) 20%、インフレヘッジ資産(金) 10%」となっていました。この件については具体的なETFも書かれてましたので、後日検証してみようと思います。
- バンガード米国トータル債券市場ETF(BND)
- バンガード・トータル・インターナショナル債券ETF(BNDX)
- バンガード・米ドル建て新興国政府債券ETF(VWOB)
- SPDRバークレイズ・ハイ・イールド債券 ETF (JNK)
これを見てここまで分散する意味あるのか?と思ったんですよ。個人的にはジャンク債にするよりは長期債や適格社債にした方がいいのではないか?とも考えます。
では、実際にここまで債券ETFを分散した結果、分散効果が現れるのか?株式と債券の比率を6対4にして、ここで上がっている債券系の4つのETFに分散した場合と、BND単騎で40%にした場合のパフォーマンスの差を確認してみました。
株式(VT):債券(BND) = 6:4
まず株式がVT、債券がBNDのみで株式:債券の比率を6:4にしたパフォーマンスを調べてみました。VWOBの運用開始が2013年なので直近3年と1年で債券の分散の有無の効果を調べます。
直近3年

リターンが15.5%(34.2%)、ボラティリティ8.3%(13.4%) ※括弧内がS&P500の値。
直近1年の値を見てみますと・・
直近1年

リターンが6.8%(11.3%)、ボラティリティ9.5%(14.7%) ※括弧内がS&P500の値。
どちらもS&P500 100%と比較してリターンは半分、ボラティリティはマイナス5%という感じになっています。では、債券の4割の部分を4つのETF(米国内外、新興国、ジャンク債)で分散するとリターンはどうなるのでしょうか?
株式(VT):債券(BND,BNDX,VWOB,JNK) = 6:4
直近3年

リターンが16.6%(15.5%)、ボラティリティ9.1%(8.3%) ※括弧内がVT:BND=6:4の値。
リターン、ボラティリティ共に上昇しました。直近1年の値を見てみますと・・
直近1年

リターンが7.6%(6.8%)、ボラティリティ10.7%(9.5%) ※括弧内がVT:BND=6:4の値。
直近1年でもリターン、ボラティリティ共に上昇しました。直近1年でボラティリティが高いのはイギリスのEU離脱やらで債券系の海外ETFが上昇しているのも影響があるのだと思います。
直近1年と3年では分散効果はあった
ジャンク債などここ数年で価格の変動が激しいものが含まれてますが、リターンは分散した方が直近1年でも3年でもありました。ただしやっぱりボラティリティも上昇する傾向があります。
この結果を見ますと債券を細かく分散することでリターンに影響を与える効果はあったと言えそうです。VWOBが販売開始から3年程度ですのでもう少し長い期間で調べれればいいのですが。
ともあれ新興国債券の購入を海外ETFでやる場合はVWOBかなと思います。
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