バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)が中国A株を含む新インデックスへ。現状を他の新興国株式ETFと比較してみた
バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)が新インデックスへ
バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)が、米国東部時間2016年9月19日の取引より、小型株と中国A株を含む最終的なインデックスであるFTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)インデックスへの連動を開始いたしました。今回の移行完了により、2015年11月にご案内したように、ターゲットとする新興国市場全体の時価総額により近く、投資家の皆さまにとっては更にきめ細かい分散投資が可能になります。
バンガードの新興国株式ETF(VWO)が新インデックスに変わりました。これは昨年の6月にも記事にしましたが、中国A株の組入れを行うことで新興国市場全体の時価総額に近くなったことになります。
関連記事:4本のバンガードETF(VWO、VEA、VGK、VPL)に小型株が加わり、分散効果がさらに拡大
VWOの移行期間から変更後の変化はどうなっているのかが気になりましたので、以下のiSharesの2つの新興国株式ETFを使用して確認しようと思います。EEMVはEEMの低ボラティリティ版で、以前VWOやEEMと比較を行っております。
参考記事:ボラティリティの低いETFの直近の値動きを調べてみた
- iシェアーズMSCI エマージング・マーケットETF(EEM)
- iShares Edge MSCI Min Vol Emerging Markets ETF(EEMV)
この3つのETFを国別の比率、セクター別の比率、組入れ上位10社、最後に値動きを比較してみようと思います。
国別比率
バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)

iシェアーズMSCI エマージング・マーケットETF(EEM)

iShares Edge MSCI Min Vol Emerging Markets ETF(EEMV)

3つのETFの国別の比率から確認します。バンガードのVWOは新興国に韓国が含まれないのに対し、iシェアーズは韓国が含まれています。ま
た、新興国株式低ボラティリティ(EEMV)は中国やインドの比率が他と比較して小さくなっていることも特徴ですね。ブラジルなんかは上位に顔を出していません。比率がVWOやEEMより低い国はボラティリティが高いのでしょう。
では、視点を変えてセクター別に見てみると違いが現れるのでしょうか?
セクター別比率
バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)

iシェアーズMSCI エマージング・マーケットETF(EEM)

iShares Edge MSCI Min Vol Emerging Markets ETF(EEMV)

セクター別に見ますとVWOは金融セクターが3割近くで一番比率が高くなっています。EEMの特徴としては金融+テクノロジーの比率が半分を超えています。
一方低ボラティリティEEMVは生活必需品や通信、ヘルスケアの比率が高くなっています。比較的ディフェンシブなセクターに比重を置いているようですね。個人的にはこちらのセクター構成の方が好きです。
では、最後に組入れ上位10社を確認してみましょう。
組入れ上位10社
バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)

iシェアーズMSCI エマージング・マーケットETF(EEM)

iShares Edge MSCI Min Vol Emerging Markets ETF(EEMV)

EEMはサムソンがトップに対してVWOは含まれていません。VWOとEEMの違いとしてはEEMにはアリババやバイドゥが上位なのですが、VWO側には上位にないんですね。3つのETFで比率が高い台湾セミコンダクターやテンセントあたりは調べてみようかなと思います。低ボラティリティのEEMVは1番目から10番目の比率の差が小さいです。
では、この3つのETFの値動きを比較してみました。
VWO、EEM、EEMV、FM、S&P500値動き比較
以前調査を行ったように(新興国株式とフロンティア株式の状況を見てみると・・)、フロンティア株式ETF(FM)も含めて比較を行いました。
直近1年

直近1年で見ますとパフォーマンスは EEM>VWO>S&P500>EEMV(低ボラティリティ)>FM(フロンティア株式) になっています。VWOとEEMに差は見られませんが、EEMが若干パフォーマンスがいいという結果になりました。逆にフロンティア株式は冴えていないという状況です。
では、これを比較可能な期間最大限の4年にを広げて確認してみました。
直近4年

期間を広げると、S&P500>FM(フロンティア株式)>EEMV(低ボラティリティ)>VWO>EEM の順になります。2014年頃からVWOとEEMに差が出来ていることがわかります。また、この期間では低ボラティリティの方が、パフォーマンスが良かったという結果になりました。
意外と新興国株式ETFだとこの4年の間でも±数%程度で収まっており、原油安からもっと下がっている印象がありますが、踏みとどまっているという印象を受けました。
年始の今年もっとも株式が下がっていた時期を見ると、低ボラティリティはマイナス15%に対し、VWOとEEMはマイナス25%程度。これくらい差が出るということを考えると、早くEEMVを大手ネット証券でも取り扱ってほしいなと思いました。
VWOとEEM、EEMV(低ボラティリティ)比較まとめ
- コストはVWO:0.15%、EEM:0.69%、EEMV:0.25%
- 銘柄数はVWO:3463、EEM 820:、EEMV:253
- VWOは韓国が含まれておらず、金融セクターの比率が高い
- EEMはコストが他2つと比較して高い。また、テクノロジーセクターの比率が高い。
- EEMVは他2つと比較して、ヘルスケアセクター、生活必需品セクター、通信セクターの比率が高い。
- 直近1年のパフォーマンスではEEM>VWO>EEMV(低ボラティリティ)。直近4年では、EEMV(低ボラティリティ)>VWO>EEM
- 新興国株式でも年始の暴落時のように低ボラティリティETFの値下げ幅は小さい。


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