子育てに役立つデータで子供を伸ばす学力の経済学とは
日本の教育といいますと近年「ゆとり教育」というものがまず挙げられるでしょう。定義としては1987年生まれが第一世代ということで、アラサーの私は世代的には被る部分もありますが少し上なのでゆとり区分にはならないはずなんですね。
ところが私が新人の時にどうも1980年代生まれからゆとりという認識の人がいまして、ミスった時に「このゆとりが」と言われましてね。この人に散々暴言吐かれたので色々と耐性はつきましたがもう二度と一緒に仕事はしたくないです。このように生まれてきた年を変えれないのにこんなレッテルを上の世代から張られるわけですから本当に問題ありだと思いますし、後輩とかかわいそうです。
さて、このゆとり教育って結局やめたけどどうだったのか?というと、学習到達度調査で日本の子供の学力が下がったのですが、それは学力の高い子供と低い子供の格差に起因するものでした。結果的に土曜が完全に休みになったことで学歴の高い親は土曜日の学習時間の減少を埋め合わせをするわけですが、学歴の低い親は埋め合わせを行わないため、全ての子供に同じ教育を行うと格差が拡大したというわけです。
日本では文部科学大臣以外の大臣も教育について語ることがあり、みな教育について語るような状況になりがちですけど、じゃあ教育政策はどうすればいいのか?
ちょうど林修氏が内容を褒めていた時期に図書館で予約した本を読んでみたのですが、個人的にこれだと思いました。
著者の中室牧子氏は、教育を経済学の理論や手法を用いて分析することを目的としている応用経済学の一分野(教育経済学)を研究しています。本の中では教育や子育てを議論するときに絶対的な信頼を置いているのはデータであると説いています。
実際に今まで「思い込み」で語られてきた教育の効果についての調査結果が載っていましたが興味深いものが多かったですね。
本の中で示されている教育の調査結果
- テレビやゲームをやめさせても学習時間は増えない。
- 同じクラスの成績の高い人から影響を受けるのは同じくクラス内で成績の高い人。
- 重要な非認知能力(「自制心」と「やり抜く力」)
- 4つのしつけ(ウソ付かない、他人に親切にする、ルールを守る、勉強する)を受けた人は年収が高い。
- 少人数学級は学力を上昇させる因果効果はあるものの、他の政策と比較すると費用対策効果は低い政策である。
- 学力テストは私立の参加が少ないので、私立の多い首都圏等のランキングが低めに出る。
- 子供手当のような補助金に学力向上の因果関係は見られない。
海外のデータも含まれていますので詳細は本にまかせますが、興味深いデータが多かったですね。国の財政の問題で教育予算が限られる中、少人数学級の費用対策効果を考えている視点なんか今求められてるものじゃないかと思いましたね。
著者の教育におけるデータの活用の提言と、ゆとり教育のように世代間の偏りを発生させないデータを基づく実験の検証については日本でもやるべきだと読んでいて考えました。
データを取る上では偏りも発生しますし、調査が特定世代に偏るとゆとり世代のようなレッテルの要因にもなりかねませんので色々と大変そうですけどね。教師の質の重要性を説いていますが、授業評価なんかだと美人の先生ほど評価が高かった(たとえるならおねがいティーチャーのみずほ先生的な女教師)ということもアメリカではあったそうですし。
一番印象に残った調査結果:教育における収益率がもっとも高いのは子供が小学校に入学する前の幼児教育
一番印象に残ったのは教育における収益率が最も高いのは小学校に入学する前の幼児教育だそうです。無論、学習以外の体力面などへの投資も有効だそうですが。
よく芸能人の子供の幼稚園や小学校のお受験的な話が週刊誌なんかに載っていることがありますけど、いじめられるという点もあるのでしょうけど、理にかなった行動なんだなと思いましたね。
人それぞれなので向き不向きもあるでしょうけど、少なくとも親は「学力」の経済学の内容を頭の中に入れておいて損はないんじゃないかと思います。


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