日本のバブルはいかにして起きたか?バブル 日本迷走の原点を読んでみた
昨年は何故か田中角栄ブームという感じで田中角栄関連の書籍が多かった気がします。そういえばその前もピケティ関連の書籍が多い時期もありましたが、政権批判に使いたかったメディアや政治家が取り上げた後は沈静化した印象でした。
最近、同じようにブーム?的な感じになりつつあるのが「バブル」関連の書籍です。私は生まれていたとはいえ、この時代の事件等の記憶はほとんどないですね。私が小さい頃にテーブルに貼った仮面ライダーブラックRXやライブマンのシールが中学ぐらいまで残っていたのでエンタメ系に関しては記憶がかすかにあるのですけど。
そんなバブルの原因は何かについて当時取材をしていた記者が書いたバブル:日本迷走の原点が、バブル関連書籍では売上もいいようですので購入して読んでみました。
売れている本ですが、内容的にいい点と悪い点がある印象でしたね。まとめると以下の通りです。
- バブルの前からバブルの要因となった国内外の事象にフォーカスをあてていて時系列がわかりやすい。
- バブルの前から銀行、証券会社、大蔵省、日銀がどういう行動をとっていたかがわかる。
- バブルで暴れてその後転落した人たちの功罪が両方書かれている。
- バブルの象徴的な人物に関しては当時を知る人は理解しやすいでしょうが、当時を知らないアラサーの私は完全に理解できなかった。
- 様々な要因があるため政治や証券、銀行、大蔵省等の問題について書かれているが、マスコミの責任が書かれていない。
実際に体験した世代とそうでない世代で若干捉え方が異なるかもしれません。時系列や背景等をこの本である程度理解できましたので、この本から今後に向けて主に2点教訓になるのではないかと考えました。
バブルは複合的要因から発生する
本を読む限り、金利を上げなかった日銀、大蔵省、不動産融資にのめり込んだ銀行、財テクをやった事業会社、証券会社とブラックマンデー以降に全て誤った対応を取ったためバブルが発生している印象ですので、外的なものを含めて複合的な要因で発生するということを認識できました。
現状の日本の金融緩和政策には注意が必要という筆者の意見はもっともなわけです。しかし、バブル発生の過程を見る限り廃墟みたいな不動産がいっぱいあったり、ビットコインに資金が流入しているのを見ますと、公害問題もある中国で発生して日本も影響を受けるパターンが今のところ確率が高い気がしますね。
後は、トランプ大統領、イギリスのEU離脱とブラックマンデー的なイベントを発生させかねないイベントが昨年続いたことから注意をしておくということが必要と思います。
日本で出来ることといえば、証券会社、銀行、経済誌がどういう行動を取っているかで、余りにもイケイケのようだったら身構えるくらいかなと。今のところ証券会社、銀行が前のめりではないですし、東洋経済なんかは両論載せてカオスな印象なのでまだその時ではないと考えますけど。
起きた場合に重要な政府・日銀の対応
この本で初めて知ったのですが、バブル崩壊後の1992年に宮沢首相と三重野日銀総裁の間で土地の神話の崩壊と銀行の経営危機という問題に対して公的資金の投入を検討したそうですが、銀行首脳と大蔵省の反発に断念したそうです。既に亡くなっていますが、宮沢首相は2006年の日経新聞で書いているように、山一証券なんかは運命は変わんなかったでしょうけど、道は違っていたのではないかと思います。
確かに景気の波があるとはいえ、うちの会社の年齢層も特定の前後の年代だけ人数が少なく凹んでいる階層が3つぐらいあるのを見ますと景気によって就職の運命が決まってしまった人は結構いると思うんですよ。
思えばリーマンショックに関してアメリカは上手くやったんだとバーナンキの回顧録を読んで思いました(関連記事:リーマンショックをFRBはいかにして乗り越えたのか?危機と決断 ベン・バーナンキ回顧録上下を読んで)
結局バブルの過程を見ていくと政府以外もしっかりしていれば防げたと思うだけに、リーマンショックのような外国の影響は仕方ないでしょう。しかし、バブルやリーマンショック後の数年放置状態と同じことを繰り返さないよう政府、日銀、企業それぞれが考えて動かないといけないと考えました。


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