米国ETF売買手数料無料「ゼロETF」対象のウィズダムツリーETFについて、メリットやおもしろいと思うETFをまとめてみた
マネックス証券が、先月末米国ETF売買時の米国株取引手数料を実質無料とする米国ETF売買手数料実質無料プログラム「ゼロETF」の提供を開始しました。
国内初!米国ETF手数料実質無料プログラム「ゼロETF」開始
対象ETFの米国株取引手数料を売買ともに実質無料とする(取引日の翌月末までに米ドルでキャッシュバック)するプログラムです。
対象となっているのはウィズダムツリーのETF28本です。
2015年7月に日本法人が設立され(関連記事:ウィズダムツリー、日本法人設立するってよ)、昨年は大手ネット証券のセミナーにも出るようになりました。
その次の手として、経費率ではバンガード、iシェアーズ、SPDRあたりよりも高いETFばかりでしたので、視点を変えて動いてきた印象ですね。
では、ウィズダムツリーのETFに関してメリットやデメリットはどんなものがあげられるのかまとめてみたいと思います。また、同時に個人的にこの28本の中から個人的におもしろいと思うETFを紹介したいと思います。
ウィズダムツリーETFのメリット・デメリット
まずメリットですが、- マネックス証券ではずっと売買手数料はゼロにすることが出来る。
- 配当や収益を基準とした独自の指数を構築したETFが多くある。
- DIV (Dividend(配当)、 International(国際)、 Valuation(価値))指針についてETFで体現しているため新興国株や欧州株の小型株や高配当株に投資ができる。
デメリットに関しては廣瀬隆雄氏が書いていますけどまとめると以下の通りです。
- 運用資産の残高の大きさが大手3社(iシェアーズ、バンガード、SPDR)に及ばない。経費率も大手3社より高め。
- 規模や出来高が中途半端で流動性リスクもある。
- 運用資産も国際ヘッジ付ETFが突出していて、運用会社の経営の安定という視点からすれば、あまり好ましくない。
為替ヘッジ付ETFの比率が突出している件ですが、アメリカにおける2016年ETF流出入ランキングトップ10を見る限り、欧州と日本の為替ヘッジ付ETFが昨年の流出の1位と3位ですね。昨年は資金の流出が大きかったのではないかと推測されます。
このようにメリット、デメリットがありますので、それを考慮したうえで投資した方がよいと考えます。
そんなウィズダムツリーETF28本の中で、個人的に小型高配当株やクオリティ配当成長ETFはおもしろいと思います。そこで、28本の中からチョイスしたETF10本紹介したいと思います。
ウィズダムツリーETFの中でおもしろいと思うETF10本
米国株
ウィズダムツリー米国株高配当ファンド(DHS) 経費率:0.38%ウィズダムツリー米国株クオリティ配当成長ファンド(DGRW) 経費率:0.28%
ウィズダムツリー米国小型株配当ファンド(DES) 経費率:0.38%
ウィズダムツリー米国小型株クオリティ配当成長ファンド(DGRS) 経費率:0.38%
ウィズダムツリー米国株クオリティ配当成長ファンド(DGRW)のみコストが低めになっています。
米国クオリティ配当成長ファンドDGRWは、「増配に注目した投資があるが、その企業が成長が将来続くとは限らない。収益性に注目した方が将来的な成長が続く可能性が高い(引用元:20分遅刻したけどモーニングスターETFカンファレンス2016に行ってきた)」ということをウィズダムツリーの人は言ってましたがこれは一理あるなと思います。
小型株、高配当、クオリティ配当成長とありますが、違いをみるためにS&P500 ETF(SPY)とセクターの構成がどれくらい違うかETF.comで調べてみました。

ウィズダムツリーが独自の指数を使用しているだけあってS&P500のセクター比率とは全く異なる様相になっています。小型株は金融、資本財、一般消費財の比率が高くなっています。セクターの比率をみるとシーゲルの考えに近いのはDGRWのように思えます。
では、直近3年(全てのETFが比較できる最大の期間)の値動きをS&P500(赤)と比較してみましょう。

小型株ETF(水色、桃)が直近1年では好調なのですが、過去3年で見るとそこまで5つのETFの間に差はみられません。ウィズダムツリー米国株クオリティ配当成長ファンド(DGRW)の緑の線はS&P500に近い値動きをしています。期間を1年単位で見るとそれぞれのETFが好調な時と不調な時がある値動きになっていますので、過去1年悪かったからと言って評価を下げる必要はないと思います。
米国を見ましたが、次は新興国株式についてみてみましょう。
新興国株
ウィズダムツリー新興国小型株配当ファンド(DGS) 経費率:0.63%ウィズダムツリー新興国株クオリティ配当成長ファンド(DGRE) 経費率:0.63%
ウィズダムツリー新興国株高配当ファンド(DEM) 経費率:0.63%
新興国と欧州については以前確認したことがあるのですが(参考記事:欧州株式、新興国株式に配当戦略は有効なのか?ウィズダムツリーのETFで確認してみた)、経費率は0.6%台とかなり高くなっていてバンガードのETFとはかなり差が開いている状況です。
では、米国と同様にバンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF (VWO)とウィズダムツリーのETF3本でセクター別の比率を比較してみました。

新興国なので金融セクターの比率が高くなているのですが、ウィズダムツリーのETFは割と他のセクターへも分散をしているような構成になっています。では、直近3年の値動きを確認してみますと・・

バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF (VWO)が安定してパフォーマンスがよいです。ウィズダムツリーのETFだけで比較するとここ2年では、小型株配当>クオリティ配当成長>高配当になっています。高配当が一番パフォーマンスが悪いのはエネルギーセクターの比率が高い影響でしょう。
次に欧州株を見てみます。
欧州株
ウィズダムツリー欧州株クオリティ配当成長ファンド(EUDG) 経費率:0.58%ウィズダムツリー欧州小型株配当ファンド(DFE) 経費率:0.58%
バンガード・FTSE・ヨーロッパETF (VGK)と比較してコスト面で6倍近く差がありますが、配当効果はあるのか?まずはセクター別の比率を比較してみました。

クオリティ配当成長ファンド(EUDG)は金融セクターの比率が小さく、欧州小型株配当ファンド(DFE)はヘルスケアと一般消費財の比率が小さくなっているのが特徴です。
では、直近約3年のパフォーマンスを確認してみましょう。

欧州小型株配当ファンド(DFE)緑>欧州株クオリティ配当成長ファンド(EUDG)青>VGK(赤)となっています。欧州株カテゴリだと配当系のETFが強いですね。ただ、緑は小型株なのでイギリスのEU離脱時などの予期せぬ状況が起きた場合は下落幅も大きくなっています。
最後に、世界株を見てみましょう。
世界株
ウィズダムツリー世界株高配当ファンド(DEW) 経費率:0.58%比較対象はバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)のみですので、世界株式で高配当の効果があるか確認してみました。まず、セクター別の比率を調べてみますと・・

ウィズダムツリー世界株高配当ファンド(DEW)は金融やエネルギーセクターの比率が高くなっていますね。逆にディフェンシブセクターであるヘルスケアセクターとか生活必需品セクターの比率は余り高くありません。
エネルギーセクターの比率が高いので結果がある程度予測できそうではありますが、実際のパフォーマンスを見てみますと・・

原油価格が下落を始めた時期から高配当ファンド(青)がVT(赤)に負けている状態です。ちなみにこれを長期(約9年)で見ても同じ傾向があるため注意が必要です。一応過去1年ではそこまで差はないんですけどね。



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