マルチファクター投資は有効か米国株ETF(LRGF)で確認してみた
米国の高配当株や増配株ETFに投資をしていますが、配当系以外のファクターも大きな調整があった時の緩衝とならないかということで、スマートベータ的なバリューやグロース、低ボラティリティ、モメンタムあたりのファクターについてもちょくちょく調査しています。
関連記事:2016年米国株のスマートベータETF(バリュー、グロース、小型、低ボラティリティ、モメンタム、配当)のパフォーマンスを調べてみた
そんな中、気になる記事を見ました。
参考記事:S&P「ファクター投資はマルチに限る」
・単一のファクター投資は投資期間が短いと市場平均に勝てない時期が多くなる (常勝でないため)
・そのため、マルチファクター投資が望ましい
こういう指数で20年以上の調査結果があるわけですから、ETFがあるんじゃないかと調べてみたら以下の5つを見つけました。
iShares FactorSelect MSCI USA ETF (LRGF) 0.20%
iShares FactorSelect MSCI Intl Small-Cap ETF (ISCF) 0.40%
iShares FactorSelect MSCI International ETF (INTF) 0.30%
iShares FactorSelect MSCI Global ETF (ACWF) 0.35%
iShares FactorSelect MSCI USA Small-Cap ETF (SMLF) 0.30%
左端に記載したコストがやや高めのようですが・・クオリティ、バリュー、モメンタム、サイズの複合スコアが上位の銘柄に投資するようです(参考記事:Daily ETF Watch: iShares’ Smart Beta Blitz)
では、マルチファクターの効果は如何ほどか?米国株のiShares FactorSelect MSCI USA ETF (LRGF)を使って確認してみました。
iShares FactorSelect MSCI USA ETF (LRGF) セクター別比率
まず、セクター別比率を見てみました。

参照元:ETF.com
iShares FactorSelect MSCI USA ETF (LRGF)は金融、情報技術、ヘルスケアセクターの比率が高くなっていますね。
iShares FactorSelect MSCI USA ETF (LRGF) 構成企業10社
次に構成上位10社について見てみました。

参照元:ETF.com
AT&Tが3番目だったりしますが、S&P500の上位とは顔ぶれが全然違うんですね。
では、実際のパフォーマンスはどうなのか?クオリティ(QUAL)、サイズ(SIZE)、モメンタム(MTUM)、低ボラティリティ(USMV)、S&P500(VOO)と比較してみました。
iShares FactorSelect MSCI USA ETF (LRGF) vs クオリティ、サイズ、モメンタム、低ボラティリティ
iShares FactorSelect MSCI USA ETF (LRGF)をS&P500ETF(VOO)、以下の4本のETFと比較しました。
クオリティ:iShares MSCI USA Quality Factor ETF (QUAL)
サイズ:iShares MSCI USA Size Factor ETF (SIZE)
モメンタム:iShares MSCI USA Momentum Factor ETF (MTUM)
低ボラティリティ:iShares MSCI USA Minimum Volatility ETF (USMV)
まず、直近1年で見てみました。

赤のマルチファクターがボロ負けです。
iShares FactorSelect MSCI USA ETF (LRGF)は設定から4年程度ですので、期間を4年に伸ばしてみますと・・

パフォーマンスが過去1年と入れ替わるような感じでiShares FactorSelect MSCI USA ETF (LRGF)が一番悪くなってしまいました。
クオリティ、バリュー、モメンタム、サイズの複合スコアが上位の企業に投資をしているのに過去4年の期間だとS&P500を下回るんですね。
長期で見ると上回るかもしれないのですが意外な結果です。複数のファクターを組み合わせても上手くいかないこともあるという証左でもありますが。ともあれマルチファクターは中々面白いと思いましたので定期的に見ていきたいと思います。


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