膨大なデータからモメンタム投資を説く。ウォール街のモメンタムウォーカー個別銘柄編
一時ほど話題にならなくなりましたが、スマートベータ的な手法をとるETFは年を経るごとにどんどん増えています。
スマートベータの戦略の中では、ボラティリティ(リスク量の低い銘柄)、クオリティ(健全な財務体質を持つ企業)、バリュー、サイズ(小型株)、モメンタム(株価が上昇基調の銘柄)、配当なんかが代表的なものとなります。
そんな中で、個人的に気になってるのがモメンタムです。
2年前に発売されたウォール街のモメンタムウォーカー (ウィザードブックシリーズ)を読んで、膨大なデータからモメンタムの優位性がよくわかり納得できるものでした。
関連記事 >> ウォール街のモメンタムウォーカーを読んで
あれから2年経過したわけですが、全く別の作者が、ウォール街のモメンタムウォーカー 〔個別銘柄編〕 という本を出しました。
先行のアントナッチに負けず劣らず膨大なデータを分析していて、モメンタムの教科書+論文的な印象を受けましたね。
第1章がモメンタムを理解する、第2章がモメンタムベースの銘柄選択モデルの構築というタイトルでしたが、個人的には第1章は非常に魅力的でしたが、第2章に関してはちょっと論文っぽさとデータ重視し過ぎな感がありました。
個人的にインパクトがあった項目をまとめると以下の通りですね。
モメンタム投資まとめ

- 予測エラーが、バリュー投資の場合、ネガティブなニュースに対する「過剰反応」 として、モメンタム投資は、ポジティブなニュースに対する「過小反応」で起こる。
- モメンタム投資とバリュー投資とは親和性が高く、ポートフォリオ内で互いに高度に補完し合える。
- 短期的にはバリュー投資もモメンタム投資もパフォーマンスが良くない場合がある(2008年~2014年)。
- ただし、1927年~2014年までの米国株のパフォーマンスはモメンタム>バリュー>S&P500>成長株
- モメンタム投資は相対パフォーマンスが高い証券を買う戦略で成長株投資ではない。
- モメンタム戦略で価格を見る期間に関しては、過去1年間の価格を見る中期モメンタムがもっともパフォーマンスが良い。
- モメンタム戦略がなぜ機能するのかわからない。
- モメンタム戦略でモメンタム銘柄の時価加重ポートフォリオに含まれる銘柄数を一定にすると、保有期間が短い(頻繁にリバランスするほど)年平均成長率は高くなる。
- 保有期間を一定にすると、ポートフォリオに含まれる銘柄数が少ないほど、年平均成長率は高くなる。
- モメンタム戦略では取引コストが問題になるが、手数料を差し引いた後も、1927年~2014年の年平均成長率はモメンタム13.45%>S&P500 9.92%
モメンタム戦略の概要と教養的なものが学べていい本だと思います。データの量も一つ一つ乗せてたら1000ページ超えるんじゃないか?という量をよくここまでまとめたと思いますし。
バリュー+モメンタムという投資ですので、要するに強くて安いものを買えということです。
ただ、頻繁にリバランスをした方がパフォーマンスが上がるという点と、モメンタム銘柄の時価加重ポートフォリオで含まれる銘柄数が少ないほど、年平均成長率は高くなるとありましたが、表の項目は50銘柄以下。
50銘柄規模になると、リバランスの多さと銘柄数の少なさとはいえ50銘柄以下という単位ですから、個人でやるのはなかなか難しくETFがあれば投資する方がよいのでは?と思う点もありました。
個人的には米国債のTビルを使って下落相場時は債券に避難するアントナッチの手法の方が、ETFを活用しやすく個人でモメンタム投資やるのに向いてるのでは?という印象です。
とはいえ、個別株をバリュー+モメンタムの要素で見るという視点は面白いなと思いました。
早く日本でもiシェアーズ・エッジMSCI USAモメンタム・ファクター(ティッカー:MTUM)が買えるようになるといいんですけどね・・
日本株にもモメンタム効果はあった
ちなみに日本ではモメンタム効果はないという意見もあるようですが、MSCIジャパントータルリターン指数で、手数料込且つ配当債投資で以下の通りでした。

長期データが入手可能な市場ではどこでもモメンタムは機能すると書いてありますので、日本株でもモメンタム効果を活かした投資が可能ということでしょうね。
日本株でもモメンタム関連のファンドやETFがそのうち出るかもしれません。
著者のHPを覗いてみると・・
本の最後には最新のモメンタムの研究もあるよということで載っていたので、気になってHP見てみました。
alpha architect HP
すると上にETF.siteというのがあるんですね。OUR FUNDというページに飛んだらVMOTというETFが出てきました。
Alpha Architect Value Momentum Trend ETF (ティッカー:VMOT)で経費率は0.79%とお高め。
参考記事:Alpha Architect、トレンドフォロースマートベータ ETF をローンチ
googleで調べてみると4つのバリュー、モメンタムETFに投資して且つケースによってはヘッジもかけるようですが、実際のパフォーマンスとはいうと・・

設定から半年程度ですが、S&P500を上回ってますね。これがバリュー効果なのか、モメンタム効果なのか、その両方の組み合わせの効果なのかは、比率がわからないので何とも言えませんが。
サイト内のブログは無料で会員登録も不要のようですので、Google先生に頼りながら少し読んでみようかと思います。
ウォール街のモメンタムウォーカー 〔個別銘柄編〕 (ウィザードブックシリーズ)
posted with ヨメレバ
ウェスリー・R・グレイ,ジョン(ジャック)・R・ボーゲル パンローリング 2017-10-15


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