世界のエリート投資家は何を考えているのかは、貯蓄→投資から黄金ポートフォリオの作り方まで学べる投資をする上で必読の一冊
山崎元氏が本の発売前に、解説を書いたということで、コラム内で紹介していた世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方を読みました。
ちなみに世界のエリート投資家は何を見て動くのか: 自分のお金を確実に守り、増やすためにという本とセット的な感じですので、青い方が上巻、赤い方が下巻という感じでいいと思います。赤い方も後日記事にします。
さて、著者のアンソニー・ロビンズは自己啓発作家で、著名投資家のポールチューダー・ジョーンズなどの著名人のピーク・パフォーマンス・コーチ(アドバイザー的な感じ)も務めていたそうです。
この本は2014年にアメリカで出版された本の日本語訳で、リーマンショックをきっかけに、ごく普通の人たちが安心して資産を増やしていける方法はないかということで、著者が世界のエリート投資家にインタビューして投資哲学をまとめた本です。
普通の人向けに書いた本ですが、ポートフォリオの組み立て方や、経済的自由に必要な金額の算出方法なども書かれていて、投資初心者にも投資経験者にも薦めたい一冊です。
巻末の山崎氏の解説はアメリカ人向けの内容を日本向けに噛み砕いた解説が載ってますので、要チェックなわけですが、5章の構成のうち特に以下の3つの章は特に印象に残りましたね。
「マネーゲームに勝つ」ための原則
基本的にこつこつ貯めて投資して、複利成長を徹底活用するという話です。バビロンの大富豪や生前にインタビューしたテンプロトン卿の考えに基づいていて、個人的にはこれが資産運用における大原則だと考えます。
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バビロンの大富豪を読んでテンプルトン卿の流儀を読んで
また、お金の殖やし方だけでなく、人生で究極の充実感を得るためにお金とどう付き合うかというところまで書かれていて、心理学視点からのアドバイスがあるのも特徴的です。
自分の夢の「実現コスト」はいくらか?
投資本となるとどうしても投資手法に偏りがちですが、この本はリタイアするまでにどれくらい頑張って貯めればいいのか?という点についても多く言及されています。
参考記事 >> 「お金が自分のために働いてくれる世界」に向かうために把握しておきたい、経済的自由に必要な金額
昨日、記事にしましたがセミリタイアを考える人にとっては、3章の経済的自由に必要な金額は算出しておいて損はないでしょう。
早期セミリタイア目標から、充実したリタイア後を過ごしたい人向けまで提案されていて、自分が重視する項目までもうひと頑張りして貯めることも考えておくと選択肢が広がりますし。
どんな経済下でも確実に利益を出せる「黄金のポートフォリオ」
投資経験者向けで一番読み応え有るのがこの「黄金のポートフォリオ」の5章ですね。
4章に記載のあるエール大学財団のデイビッド・スウェンセン、そしてレイ・ダリオが一般投資家が実行できるオール・シーズンズ戦略のポートフォリオが記載されています。巻末には山崎氏による日本版のポートフォリオもあります。
個人的にデイビッド・スウェンセンとレイ・ダリオのポートフォリオに米国長期債が結構な比率組み込まれているのが驚きでしたね。海外ETFで、バンガードの米国長期債ETF(BLV)をじわじわ積み立ててる状況ですので、私のNISA戦略の自信にもなりました。
関連記事 >> 2017年7月終了時点の海外ETFのポートフォリオに見る課題と今後の方針
後は、債券と株の考え方に関しては、株式100%ではなく分散を考える人は以下の考えは参考にしていいと考えます。
- 例えば株式50%:債券50%といったポートフォリオだが、リスクの点では株式は債券の3倍のリスクがあるため、先の配分ではリスクは株式95%:債券5%になる
- 経済は「想定インフレ率より高い/低い」「想定成長率より高い/低い」の4つの季節として捉えることができる。ただし自然と異なりどの順序で訪れるかは分からない
- 経済の季節は4つしかないから、各季節に適した資産配分に25%ずつ投資して、リスクを分散すればいい。リスクが同量の4つのポートフォリオを組み合わせれば、どんな経済的環境からも守られる。
バフェットが強いビジネスを持つ企業を割安な価格で買って長期保有に対して、レイ・ダリオは経済の局面の変化をパターン分けして、経済がどのパターンに動いた時でも対応できるような、経済の変化のリスクを相殺する防衛的なポートフォリオをつくってリスクの低減を図る運用スタイルです。
株式中心且つ個別株中心であるならばバフェット的になりますが、ポートフォリオ構築やリスク許容度が低い人、分散投資の方針の人はレイ・ダリオの方が参考になると思いますね。実際ETFに投資をしていますし。
2017年9月のレイ・ダリオが運用するポートフォリオでは新興国株式中心になっています。この本の内容は2014年頃までのデータですので、近いうちにポートフォリオの検証でも行ってみようと思います。インフレと成長率の話なんか個人的には興味を持ちましたので、12月のボーナス使ったNISA枠投資にも反映させたいですし。
まだ上巻の一部ですが、上巻だけでも十分に投資の勉強になりますし、ディフェンス重視の投資を考えている自分のような人間にとっては非常に参考になる本です。
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