4年連続で参加となった六本木開催のモーニングスターETFカンファレンス2017
毎年この時期になりますと、モーニングスターのETFカンファレンスが開催されます。
今年はメールが来た時の感想は、行くか行くまいか迷うなという感じがしたのですが、野村が新しいETF出すという話もありましたし、せっかくだから行くかということで行ってきました。
なお、ちゃんと引っ越し後の住所変更を行ったにもかかわらず、ハガキが来ませんでした。メールが来てるから入れるやろという感じで行ったら名前書くだけで入れました。ハガキなくしても大丈夫なようですので、モーニングスターのセミナーでもたぶん大丈夫じゃないですかね?
過去のモーニングスターETFカンファレンスの記事
モーニングスターETFカンファレンス2014モーニングスターETFカンファレンス2015に行ってきた
20分遅刻したけどモーニングスターETFカンファレンス2016に行ってきた
さて、今回の3部の内容とそれに関する所感をまとめました。
第1部「進化するETF市場とポートフォリオ戦略」モーニングスター朝倉智也氏
- 今年一年は大いなる安定。バーナンキがかつて講演を行った時のタイトル「グレート・モデレーション(「大いなる安定」や「市場全体の安定期」)」
- 日本はVIXが安定、アメリカは低位すぎる。ヨーロッパも同様。
- 来週ビットコインの先物が上場する。仮想通貨の世界は異常な値動き。株式や債券の投資家も少し注目した方がいい
- 今までてあれば大きなの要因となる政治的要素が関係なく上がっている。量的緩和の影響がある。
- 日本も量的緩和をやっているが、80兆買うと言って、40~50兆ぐらいしか買っていない。黒田総裁がリバースと言い出しているので、来年どうかわからないが世界的に金融緩和の流れが変わり始めている
- ブラックスワンあるいは灰色のサイ」(今は問題視されていないがいつか大暴落を引き起こしかねない懸念材料)。気づかないうちにおとなしいサイは暴れ出す。
- 急騰する仮想通貨と高いバリュエーションの株式はリスクの予兆が局地的に起こっている。
- セミナーで参加者に聞くと、日経平均、強気2割、ちょっと強気5、6割、弱気15%。慎重な私が強気になったらこの相場は終わり。
- 中国の債務は膨れ上がっている。世界で一番債務が多いのは中国。GDP成長率が維持できないと債務が問題になる。
- 過去10年でインデックスを上回ったのは米国大型株式ファンド 24.8%、欧州籍だと酷くて約2~3%
- 世界のETF運用会社 シェアが数%とはいえ野村は5位。日本の会社は今まで入ってなかったがランキングに入ってきた。アクティブの運用会社 JPモルガン、フランクリンテンプルトンもETFに参入。
- 運用会社が考える今後のETFの資産クラス→ESG、オルタナティブ、米国債、マルチアセット、海外債券。債券ETFはこれから面白い。
- 米国のFPがETFを組み入れる理由。
①コスト効率の高いコアのポートフォリオをつくれる
②セクター特化型の組み入れ
③サテライト戦略を作る
④コア資産 - コア戦略で上げていたETF
国内ETF:1306、1348
海外ETF:VT、VTI、VEA、VXUS、VWO、BND、VWOB - サテライト戦略で上げていたETF
国内ETF:1492、1343、1540、1699
海外ETF:VB、VSS、EEMS、HYG、TIP、GLD - 口座が色々増えたが、NISAや一般口座ならばETFがいい。
- 来年は色々危機が局地的にあることを頭に入れおきたい。仮想通貨も高いバリュエーションも株価に影響はある。分散が大事。
第二部 「NEXT FUNDSのご紹介 ~ETFを活用したポートフォリオ戦略~」
野村アセットマネジメント株式会社
運用調査本部ヘッド・オブ・インデックス・プロダクト 奥山 修氏
- 今年の売買代金上位、レバレッジ、インバースは除外。1位から5位:1321,1306,1591,1699,1615。9位の1678インド株式にも言及
- 運用残高、売買代金の国内上場ETFのシェアをかなり占めている。
- 来週の月曜に新規上場するETF 銘柄コード:2510、2513、2514、2512、2511、2515
「バンガードの考える、ETF活用法」
バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社
投資戦略部長 塚本 俊太郎氏
- 投資の指針の4つは大事。
- 楽天の海外ETF保有残高ランキング、全口座ではVT、VWO、VTIのワンツースリー。NISAだとPFFが二位で、VYMやHDVもランクイン。NISAの保有残高ランキングで上位の5つの中から選べば問題ない。
- 楽天バンガードファンド推し、楽天証券絡みの記載が増えた。
- 積立および一括投資で、ファンドとETFの投資金額でコスト的に有利不利がある。25万以下ならファンド有利。
「ETFの新しい潮流~REITと中小型株、そして・・」
三菱UFJ国際投信株式会社
法人投資家営業部シニアマネジャー 佐々木 康平氏
- ETFは25%程度の認知度。
- MAXISが二兆を突破した。
- JリートはEPSが高い。空室率が低く、賃料が上がってる。
- 高利回りJリートETF(1660)。高利回りの方が成績がいい。29億まで増えた。
- 中小型株ETF(1492)、4月から30%上昇。ひふみの名前をあげた。
- 来週水曜に高配当ETF(1499)が上場。個人投資家の要望は配当が多い。でも値下がりは嫌だ。そのニーズに応えるマーケットニュートラル戦略。
第3部「ETFでできる今後の資産形成術」
マーケットの見通し
奥山:マーケットは適温。来年に向けても適温。グローバルでみるとそう加熱していない景気拡大。インフレも高まってない。
金融政策が徐々に正常化されつつある。この一年、割高ではないが割安ではない。タイミング的には注意した方がいい。
灰色のサイはやっぱりいる。
塚本:長期投資をそのまま続けてください。上下動するときに継続することで乗り切れる。
佐々木:今年は主要国は20%程度上昇。今年一年の勝者は投資を続けてきた人。日銀しか買ってないというが認知は上がってる。
海外ETFと国内ETFの違い
- 奥山:国内ETFはかなり規模が大きくなった。アメリカイギリスの次ぐらいのETFの市場になった。日銀が買ってはいるが、金融審議会でも議論が活発になった。品揃えと流動性が課題。まだまだ国内の個人投資家の認知度が低い。
塚本:日本の市場がダメだとは考えてない。メリットは品揃え。セクター別や個別国。取り引きが多く、乖離率が低い。コストが低い。デメリットは円からの転換と取り引き時間。
佐々木:国内上場のメリットは日本株のETFにとっては一番よい環境。デメリットは流動性。売買代金は増えてきている。東証は流動性に関して取り組む模様。
ポートフォリオ戦略
奥山:ETFとインデックスどっちという話があるが、今までは国内債券のETFがなかった。投資家には選択肢が増えるというのが大きい。
バランス型投信が人気になってきているが、特定の会社に依存せず買えるようになるのは画期的。
塚本:トラッキングエラーが低く乖離率が低いのはマーケットメーカーと緊密に連絡しているのでコストが押さえられている。
佐々木:コアとサテライト。コアはTOPIX、サテライトは小型や高配当のETF。
来週出すETFは機関投資家にはコア、みなさんにはコアとはオススメしない。商品が難しいと感じるなら投資しなくていい。
この商品をこういうふうに使えばいい
奥山:金利がつかない状況で面白いのは高配当株(1577と1489)。2月に上場したものもある。
塚本:セゾンバンガードが10周年になった。新商品ではないがいい。つみたてNISAはバンガードの考えに一致するのでサポートしていきたい。
佐々木:朝倉さんも著書の中で選んでいた1348がいい。資産規模も1兆を超えてきている。NISAの総投資資産が11兆中、2000億程度がETF。
サテライトで投資する商品でおすすめがあれば紹介してほしい。
奥山:為替ヘッジ付きの外株外債。ヘッジ付き国内債券、国内株式。日本から世界に投資すると為替リスクがある。個人的にもやってみたい。
朝倉:機関投資家は為替ヘッジしてる。債券はヘッジしていいかも。一定比率為替ヘッジを組み入れれるようになったのは大きい。
塚本:配当重視であれば高配当株を入れたり、金利感応度が低いのもいい。アメリカの社債ETF(VCIT、VCLT)で利回りを高める考え方もある。
佐々木:日本株は為替の動きに影響がある。1553製造業が盛んな東海地域に投資する。円安になれば強い。
メッセージ
奥山:日本のETF市場はレバレッジやインバース型が大人気。認知度は上がったがETFはそれだけではない。
トレーディングツールではないというメッセージを込めたのが新規の6本。長期の資産形成としてETFを使ってもらえる選択肢を広がっていくと嬉しい。
塚本:長期分散低コストで続けてほしい。まずは税制優遇の口座を活用してほしい。
佐々木:ETF個人投資家が1兆円。ETFはこれから動く。今後も注目してコアとして使ってほしい。
朝倉:上昇相場ほど分散投資は難しい。分散投資を続けられるタフな精神を身につけてほしい。
まとめ
いくかどうか迷いましたが、野村と三菱UFJは国内上場ETFの環境を整えようとしている熱意を感じることができましたし、行ってよかったなと。来週野村も三菱UFJも新規に上場するようですが、出来高に注目したいですね。
資産運用の観点では「NEXT FUNDS 国内債券・NOMURA-BPI総合連動型上場投信(2510)」と「NEXT FUNDS 外国債券・シティ世界国債インデックス(除く日本・為替ヘッジあり)連動型上場投信(2512)」は直近5年で考えても円安気味の現状を考えると、運用先としては面白そうですし、分散の観点でもいいかと思います。
まずは上場して出来高がどうなのかを確認してみたいですね。
他も地域に特化したREITはあるがグローバルでは東証初のものもありますが、外国株とREITってアメリカの比率が65%とか72%で比率が高いのは気になりました。
三菱UFJの中小型株ETF(1492)とMAXIS 日本株高配当70マーケットニュートラル(1499)もスパイスとしてポートフォリオに組み入れるのは面白そうだなというのが感想です。
その他で気になったのは、今まであまり中国に警戒感抱いてなかった朝倉氏が中国の債務が増えている点にふれたことですね。成長率の実態がよくわからない国とはいえ、リスクは頭の片隅には入れておきたいなと考えます。


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