iシェアーズやバンガードよりも低コストなSPDRの米国債券ETF(SPAB,SPTS,SPTL)
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)からあらたに低コストのETFの取扱いが大手ネット証券でも始まったわけですが、株式ETFだけではなく債券のETFでもiシェアーズやバンガードのETFをコストで上回っています。
ステート・ストリート(SPDR)から超低コストETF18本が登場したので、iシェアーズやバンガードのETFとコストを比較してみた - 関東在住福岡人のまったり投資日記
ここ数年バンガードやiシェアーズの米国籍のETFで、新規取り扱いの開始がない状況が続いていますが、第3勢力的な立ち位置であったステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ社(SSGA)が動いてきました。..
ただし、米国株のSPTMや米国外先進国株SPDWをバンガードのETFと比較してみましても、コストは安いく価格変動もほぼバンガードと同じとはいえるものの、資産規模や1日あたりの取引量は小さい点はネックとなりそうです。
SPDRの米国株(SPTM)や米国外先進国株(SPDW)をバンガードのETF(VTI、VEA)と比較してみました - 関東在住福岡人のまったり投資日記
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では、債券のETFはどうなっているのか?
コスト面で見ると米国社債ETFはバンガードとコストも同じなのですが、米国債券総合、米国短期国債、米国長期国債に関してはコストで上回っています。
ということで今回は以下のETFをiシェアーズやバンガードのETFと比較してみました。
- SPDRポートフォリオ米国総合債券ETF(ティッカー:SPAB)
- SPDRポートフォリオ米国短期国債ETF(ティッカー:SPTS)
- SPDRポートフォリオ米国長期国債ETF(ティッカー:SPTL)
米国債券総合(AGG,BND,SPAB)
まずは米国総合債券のカテゴリで、SPDRポートフォリオ米国総合債券ETF(ティッカー:SPAB)をiシェアーズ(ティッカー:AGG)、バンガード(ティッカー:BND)のETFと比較してみました。
ティッカー | AGG | BND | SPAB |
経費率 | 0.05% | 0.05% | 0.04% |
保有銘柄数 | 7295 | 17405 | 4444 |
配当率 | 3.28% | 3.12% | 2.79% |
デュレーション | 6.57 | 6.08 | 6.20 |
総資産額 | $55.79B | $36.64B | $2.97B |
資産規模はAGG>BND>SPABで、1日あたりの取引量も同様の傾向でした。
組入れ数はBND>AGG>SPABの順で、配当率に関してもばらばらの数値になっていますが(※各ETFのサイトなどで確認)、債券を保有することによって利子および元本(=キャッシュフロー)を受け取ることのできるまでの期間を加重平均したデュレーションに関してはそこまで差がありません。
実際のパフォーマンスを確認してみますと・・

過去10年程度の期間で見て見ますと、AGGとSPABはほぼ同じ値動きをしていることがわかりました。BNDだけちょっと値動きが小さいですね。デュレーションが短めな影響と推測されます。
SPABに関しては気になる点というと、リーマンショック時の債券価格が上下に振れたときに一番下に振れてる点でしょうか。
米国短期債(SHV,BSV,SPTS)
続いて米国短期債のカテゴリで、SPDRポートフォリオ米国短期国債ETF(ティッカー:SPTS)を、iシェアーズ(ティッカー:SHV)、バンガード(ティッカー:BSV)ETFと比較してみました。
※バンガード・米国短期国債ETF(VGSH)もありますが、あえて社債などが含まれる同じカテゴリのバンガードのETFと比較してみます。
ティッカー | SHV | BSV | SPTS |
経費率 | 0.15% | 0.07% | 0.06% |
保有銘柄数 | 35 | 2474 | 98 |
配当率 | 1.67% | 1.71% | 1.92% |
デュレーション | 0.41 | 2.74 | 2.76 |
総資産額 | $14.98B | $25.45B | $486.46M |
資産規模がSPTSは10億ドル超えていない状況。日本だと十分な資産規模ですが・・1日あたりの取引量も総資産総額に比例して小さいです。
iシェアーズは債券ETFの区分がバンガードと異なるので、一応SHVをチョイスしましたが、短期債ETFとしては満期までの期間が短いモノです。
保有銘柄数に関してはバンガードのBSVは社債も含まれているためかなり分散しています。

値動きを見てみますと、BSVとSPTSは値動きが似通っていますが、社債も含むBSVの方が変動が大きい。
一方で、SPTSは2014年頃なぞの価格が上に突き抜ける事象が発生しています。
資産規模の小ささと分散の観点から、SPTSよりはBSVの方が運用に向いていると思います。
米国長期債(TLT,BLV,SPTL)
最後に、米国長期債のカテゴリで、SPDRポートフォリオ米国長期国債ETF(ティッカー:SPTL)をiシェアーズ(ティッカー:TLT)、社債などが含まれるとはいえ同じカテゴリのバンガード(ティッカー:BLV)ETFと比較してみました。
※バンガード・米国長期国債ETF(VGLT)もありますが、あえて社債などが含まれる同じカテゴリのバンガードのETFと比較してみます。
ティッカー | TLT | BLV | SPTL |
経費率 | 0.15% | 0.07% | 0.06% |
保有銘柄数 | 32 | 2057 | 50 |
配当率 | 2.56% | 3.64% | 3.15% |
デュレーション | 17.47 | 14.49 | 16.70 |
総資産額 | $7.52B | $2.20B | $1.02B |
SPTLを他の2本のETFと比較して資産総額の規模の差が小さいです。短期債同様バンガードのETFは社債も含めて分散しています。
TLTはデュレーションがもっとも長いのに、配当率が低くなっているのは不思議な印象ですけど。

3本のETFのパフォーマンスを過去10年程度で比較すると、SPTLはTLTに近い値動きでした。短期債とは違って変なノイズも発生していません。
デュレーションが短い分バンガードのBLVは価格変動が大人しめです。
SPLTは米国長期国債を組み込む場合には使える印象ですね。
今回の調査のまとめ
- SPDRの債券ETFはコストでiシェアーズやバンガードの債券ETFを上回るが、資産規模や1日あたりの取引量は少なめ。
- 米国長期国債ETF(SPTL)はiシェアーズやバンガードとの資産規模の差が小さい。
- 米国短期国債ETF(SPTS)は過去になぞの価格上昇が発生している。
- SPABはAGG、SPTLはTLTに近い値動きをする。
- バンガードの債券ETFはSPDRやiシェアーズと比較して銘柄数が多い。
分散や配当などを重視するかにもよってETFを選択することになりますが、選択肢が増えたことは歓迎すべきと考えます。


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