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関東在住福岡人のまったり投資日記

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投資関連本

GAFAとAIとブロックチェーンでビジネスモデルの先祖帰りが始まる?「産業革命以前」の未来へを読んで

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昨年株価が1000ドルを超えたGoogleやAmazonの株価が米国株を引っ張ってるのを見ますと、投資をする上でこれから先のビジネスモデルってどうなるのだろうかと気になります。

ただ、これから先AIやブロックチェーンや自動運転など、既存の会社のビジネスも大きく変わるでしょうから、ビジネスモデルってどうなるのだろうと普通の企業務めていても意識せざる得ないのかなと。

ちょうどビジネスモデル的なものを社内で考えるセミナー要員の順番が回ってきてしまいましたので、ネタ的に仕込む上でいい本はないかと探していました。

そしたら「産業革命以前」と「未来」という相反するタイトルでビジネスモデルの変遷について書かれた本を見つけまして、購入して読んでみました。


著者は財務相、文部省出身で一橋大学名誉教授である野口悠紀雄氏で、仮想通貨に関する識者でもあり多くの書籍があります。

AIやブロックチェーンに関して精通しているだけあって、この本の説明はわかりやすく納得できるものでした。個人的には仮想通貨に関してもこれくらいの説明をできる人間じゃないと手を出すべき投資対象(投機対象?)ではないと考えます。

基本的に著者のメッセージとしては、「産業革命によって垂直統合化、集権化、組織化が進展したが、新しい経済の最先端は、それ以前の時代の分権的モデルへと先祖がえりしつつあるので、未来を開く鍵は産業革命よりも前の時代に見いだすことができる」ということです。

歴史と経済と最新技術が絡んでいて歴史好きのわたしにとっては興味深い考察でした。

個人的に印象に残った点をまとめますと次の3点ですね。

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現代のマゼランであるGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)


野口氏は、革新的なアイデアによるフロンティア発見がきわめて大きな利益と成長をもたらす現代が大航海時代に並ぶ歴史的転換点だと本の中で言及しています。

とはいえ大航海時代のような地球上での、地理的なフロンティアはほとんど消滅した状況。

しかし情報・通信技術は、空間的な限界を超えてフロンティアを広げています。フォロンティアは、新しい情報技術であるAIやブロックチェインによってさらに拡大。

大航海時代のコロンブスやマゼランは現代に例えて言うならばスタートアップ企業の創業者で、ベンチャーキャピタルへの資金調達やリターンの配分の仕組みが、パイオニアたちの熱意を産業に発展させる原動力であったと。

その後の産業革命以降のビジネスモデルの基本は、さまざまな工程を一つの企業の中に統合し、組織を大規模化することで、効率化を図ろうとするものでした。日本やドイツがアメリカはともかくイギリスを抜いたのはこれに適合したからです。

しかし、1990年代以降、新興国の工業化や情報・通信技術の進歩でこの基本が変わりつつあります。

アップル、Google、Amazon、フェイスブックは分権的、水平統合-ファブレス、小組織の展開と大きな組織になっても、研究開発費を惜しみもなく使ってどんどん大きくなっていってます。

アップル、Google、Amazon、フェイスブックに関して、創業者など含めて詳細に記述してありますが、一方で褒めちぎるだけではなく弱点に関しても指摘しています。

仮想通貨の発展によってお金の流れが変わることでGAFAの支配を揺るがしかねないと。この点に関しては弱いかなと思いましたが、一方でGoogleやフェイスブックはとくに広告収入に大きく依存しているので、広告料の収入の減少が大きな影響を与える可能性があると。

これはその通りで、とくに広告がテレビや新聞からウェブに一定量移り切った後に伸び続けるのか?という懸念点はあるかなと思いました。

500年におよぶ衰退から巻き返しつつある中国


中国は、大航海時代当時スペインやイギリスよりも高い航海技術やより大きな船団を持っていたにもかかわらず歴史的転換に乗り遅れ、その後の500年の衰退に陥りました。

これについてはホモ・サピエンス全史の下巻で皇帝の意思決定の強さが原因とも指摘がありました。

ところがその中国も一気に500年の遅れを挽回しつつあるのが現代だと指摘しています。

実際ユニコーン企業の数はアメリカに次いでいて、アメリカ以外の国を引き離していますからね。

世界のユニコーン企業を比較すると、日本のユニコーン企業の規模ってどれくらいなのか? - 関東在住福岡人のまったり投資日記

企業としての評価額が10億ドル(約1250億円)以上で、非上場のベンチャー企業はユニコーン企業と呼ばれています。かつてのフェイスブックやツイッターのようにユニコーンのようにまれで、巨額の利益をもたらす可能性のある企業として注目されています。...


中国の躍進に関しては遅れて発展した国が、先に発展していた国よりも、新しい技術の恩恵を受けるリープフロッグで、メディアや大学の研究もそれにあたるのではと。

貨幣の信用が先進国よりも低く、クレジットカードのシステムが確立されていないからこそ、電子マネーが急成長してフィンテック関連の企業が伸びているわけです。これはインドでも当てはまる可能性がありますね。

ただし、中国の場合は政府の力が極めて強く計画経済的要素があります。

ですので、野口氏の指摘の通り民間企業の市場経済的要素といずれどこかでぶつかる可能性があります。人口も減少に転じているため、そのときに大きな問題をもたらすリスクはあるでしょう。

日本の危機とこれから日本に必要なこと


アメリカと中国に対して日本は90年代以降低迷していますが、野口氏は潜在的にはフロンティアは失われてはいないと。むしろフロンティアを積極的に作り出すものだと。

日本の高度成長期のビジネスモデルは、すでにアメリカ企業によって確立されていたから、ひたすら成長し、大きくなることを目指せばいい産業革命型でした。

ところがその状況が1980年代から大きく変わったにも拘らず日本の企業や産業構造は何も変わりませんでした。すなわち日本の失敗の真の原因は、ビジネスモデルの基本的な方向が間違っていると。

状況が変化したのなら、ビジネスモデルの方向も大きく変わらないといけない。

野口氏は500年前の中国になぞらえて日本を憂いていて、日本は制度改革を進めない限り廃墟に埋もれてしまうのだと。

そのためににも国や企業に関して以下を提言しています。

  • 抵抗勢力を排除できる経営者がいるか。
  • フリーランサーや起業家への税制的援助
  • 農学部や工学部など現実社会と大学全体がずれているため、新しい学部や学科をつくり、古い学部や学科をスクラップする。

野口氏によると人材の流動化は進みつつあるとありますが、同じ会社に勤めている人間から見ると、そこまで進んでいるか?という気がしますね。

また、専門家を育てずローテーションが頻繁で、別の部署でやりたくもない新しいことをやらせてう鬱に追い込むなどの例も見ただけにこの辺も改善が必要なんじゃないかと考えます。

結局個人でできることに関しては、一人ひとりの変化で、重要なことはいま起きていることの本質を正確に把握することだと説いてます。

最後はやや結論が弱いなという気がしましたが、1980年代から1990年代にかけて日本が失速した理由とアメリカが再加速した理由に関して歴史をもとにまとめられていて歴史好きにもおすすめできる本です。


とくにサピエンス全史とジャレド・ダイアモンドの銃・病原菌・鉄と合わせて読むと、より理解が深まります。




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