日本の大手ネット証券で取引できる米国上場ETFの時価総額トップ100の傾向を分析
SSGAからSPDRの低コストETFが登場してきましたが、バンガードやiシェアーズのETFと比較して、明らかに違いがある点として時価総額と1日あたりの取引量が上げられます。
SPDRの米国株(SPTM)や米国外先進国株(SPDW)をバンガードのETF(VTI、VEA)と比較してみました - 関東在住福岡人のまったり投資日記
SPDR S&P500 ETF(ティッカー:SPY)などでおなじみのステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)からあらたに低コストのETFの取扱いが大手ネット証券でも始まりました。...
1日あたりの取引量は時価総額に比例する傾向がありますので、それを考えるとわざわざ時価総額が少ないSSGAのSPDR低コストETFに乗り換えるメリットはコストぐらいしかないなぁという印象を持ってます。
調べていて米国上場のETFの時価総額の規模って普段意識しないけどどんなもんなんだろと記事にしようかと考えていたら、東洋経済が日本の大手ネット証券で買える米国ETFの時価総額ランキングを記事にしていました。
時価総額の大きい米国ETF100銘柄ランキング | 「米国会社四季報」で読み解くアメリカ優良企業 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
これまで5回にわたり『米国会社四季報』収録データをもとに、ランキング形式で米国企業の姿を紹介してきた。最終回の本稿では、ETF(Exchange Traded Fund・上場投資信託)を取り上げる。ETFは上場株式と同じよう…
記事の中では上位のETF中心にしか振れられていませんが、ランキング内で他になにか特徴があるんじゃないかと分析してみました。
時価総額トップ10
記事から時価総額が米国多いETFのトップ10を抽出すると以下の通り。
順位 | ファンド名 | ティッカー | 時価総額(億円) |
1 | SPDR S&P500 ETF | SPY | 293,955 |
2 | iシェアーズ・コアS&P500 ETF | IVV | 168,000 |
3 | バンガード・トータル・ストック・マーケットETF | VTI | 109,832 |
4 | バンガード S&P500 ETF | VOO | 102.270 |
5 | iシェアーズ MSCI EAFE ETF | EFA | 84,916 |
6 | バンガード・FTSE先進国市場(除く北米)ETF | VEA | 79,649 |
7 | パワーシェアーズ QQQ トラストシリーズ1 | QQQ | 73,316 |
8 | バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF | VWO | 70,811 |
9 | iシェアーズ・コア 米国総合債券市場ETF | AGG | 60,598 |
10 | iシェアーズ・コア S&P 中型株 ETF | IJH | 53,685 |
上位4本は資産規模が10兆を超えていて、5兆を超えているのも上位12本もあります。
当然アメリカで世界経済の中心と言うことで、アメリカに投資するETFが中心になっています。
一方で日本と異なり、米国株>米国外先進国>新興国と米国外先進国のニーズが高い傾向があります。また、新興国のみバンガードがiシェアーズよりも資産規模が大きくなっています(低コストのETFの設定が遅れたため)。
ETFの運用会社や資産別、投資対象の傾向
では、トップ100までの傾向でなにが見えてくるか?まずは運用会社別に見てみましょう。
ブラックロック(iシェアーズ):37本
バンガード:39本
SSGA(SPDR):17本
ヴァンエック:3本
ウィズダムツリー:3本
パワーシェアーズ:1本
ブラックロックとバンガードが40本近くでせっている状況で、SPDRが第3勢力という感じです。この3社以外となるとシェアの規模は小さくなります。
次に各資産別で見ていきますと、7割以上を株式が占めています。
株式:72本
債券:23本
REIT:2本
金・銀:3本
意外とREITの人気はなく、金の方が需要のあるように見えます。
最後に投資対象を細かく区分けすると以下の通り。※先進国+新興国に投資しているETFは全世界株としてカウントします。
米国株:46本、米国債:21本、米国REIT:2本
先進国株:10本、先進国債:1本
新興国株:7本、新興国債:2本
全世界株:6本
金・銀:3本、金鉱株2本
先進国+新興国などの組み合わせよりも、米国外先進国、新興国のように個別で投資するETFの方が順位が上の傾向もあります。
日本で人気のVTは70位くらいだった記憶があるのですが、48位とかなりランクアップした印象があります。
サイズ別やセクター別などの傾向
では、米国株に対象を絞ってみるとどうか?サイズ別で見ると、iシェアーズとバンガードはそれぞれ以下の傾向。
iシェアーズ:IJH(中型株)>IJR(小型株)
バンガード:VB(小型株)>VO(中型株)>VBR(小型株バリュー)>VV(大型株)>VBK(小型株グロース)>VOE(中型株バリュー
)>VOT(中型株グロース)>MGK(大型株)
バンガードで比較すると小型株>中型株>大型株の順番になっています。一方でiシェアーズでは中型株の方が資産規模が大きく、中型株の需要の高さも目につきます。
また、セクター別でSPDRとバンガードを見てみると以下の通りの資産規模の傾向でした。
SPDR:XLF(金融)>XLK(情報技術)>XLE(エネルギー)>XLV(ヘルスケア)>XLY(一般消費財)>XLI(資本財)>XLP(生活必需品)>XLU(公益事業)>XLB(素材)
バンガード:VGK(情報技術)>VFH(金融)>VHT(ヘルスケア)>VDE(エネルギー)>VDC(生活必需品)>VIS(資本財)>VCR(一般消費財)>VAW(素材)
バンガードはセクター数が10なのですが、公益事業と電気通信がランク外でした。
傾向的に金融セクターと情報技術セクターの資産規模が大きいです。情報技術はそれだけ単独で投資したいニーズがあると言うことかと。
それ以外にもエネルギーセクターやヘルスケアセクターも資産規模が大きいセクターといえるでしょう。
また、債券や単一国に投資するケースで見ても以下の傾向がありました。
- 米国債ETFは総合債券>短期債>中期債>長期債の資産規模の傾向
- 米国以外の単一国に投資するETFでランクインしているのは日本(EWJ)、ブラジル(EWZ)、中国(FXI)、韓国(EWY)、台湾(EWT)、ドイツ(EWG)。日本株の資産規模が抜けて大きい。
自分が所有しているETFの順位を調べてみるとトップ10に一つもなかった
最後に当方が所有しているETFのランキングも確認しました。
16位:バンガード米国トータル債券市場ETF(ティッカー:BND)
20位:iシェアーズ米ドル建て投資適格社債(ティッカー:LQD)
21位:バンガード米国増配株式ETF(ティッカー:VIG)
23位:バンガード米国高配当株式ETF(ティッカー:VYM)
38位:ヘルスケアセレクトセクターSPDRファンド(ティッカー:XLV)
48位:バンガードトータル ワールド ストックETF(ティッカー:VT)
55位:SPDR バークレイズ ハイ イールド債券 ETF(ティッカー:JNK)
63位:バンガード米国ヘルスケアセクターETF(ティッカー:VHT)
74位:iシェアーズ・コア米国高配当株 ETF(ティッカー:HDV)
90位:バンガード米国生活必需品セクターETF(ティッカー:VDC)
トップ10を一つも所有していないという。まぁ、米国外先進国株式、新興国株式、QQQは投資する案を考えてはいるので気にしませんが。
唯一バンガード米国長期債券ETF(ティッカー:BLV)がランク外でしたが、資産規模は22億ドル(約2400億)ぐらいで、このランキングの100番目が2794億とあるので、トップ100には近い規模の時価総額なので心配はしていません。
個人的に注目しているiShares Edge MSCI U.S.A. Momentum Factor ETF(ティッカー:MTUM)などのように資産規模が1兆円超えているものの、まだ日本の大手ネット証券では買えないETFもありますので、大手ネット証券での解禁を期待したいですね。


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