ファイナンス思考を読むと、日本企業を蝕む目先の売上や利益にとらわれるPL脳が見えてくる
ファイナンス関連についてはいずれ個別株をやろうと考えてる人間ですので継続して学んでいきたいと考えています。
個人的にはいままで読んだ中でよかったのは「ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務」と「「儲かる会社」の財務諸表 48の実例で身につく経営力・会計力」ですね。
各企業の実例についてか書かれた箇所もあったので、トヨタやソニーに関しては見方が変わりましたからね。
とはいえ自分ではまだ理解が足らず知識不足なのが実感としてありますので、ファイナンス思考を読みました。
PL(損益計算書)脳をやめて将来への投資を重視する方向に舵を切るべきという主張なのですが、長期視野に基づいた投資や損切を上手くやった会社の例(リクルート、日立など)をわかりやすく解説してあってこれは他の人にもお勧めしたい本です。
とくにファイナンスをわからない人は巻末から「会計とファイナンスの基礎とポイント」という、ファイナンスに関する基本的な説明も書かれてますので初心者にとってもいい本だと考えます。
個人的に感想をまとめると3点ですね。
PL(損益計算書)脳の上司って多いと思う
朝倉氏が定義したPL脳とは「目先の売上や利益を最大化することを目的視する、短絡的な思考」を指します。
半期前の決算重視のためか、期末が近付くにつれて細かい出張費や残業時間にまで口を出してくる上司っています。
ただ、正直言ってそんな細かな金額にこだわる意味あるかというところまで口を出す人がいました。
次の期に影響を及ぼしたらどうするの?というところまで手を付ける。
経営者としての在任期間が短いのも関係しているかもしれませんが、あまりにも短期志向且つ今期のことしか考えてないのはいかがなものかとはたから見て思ったものです。
創業者がトップの会社が少ない日本特有の文化かもしれませんが、スペシャリストな幹部社員が少ないのも大きいかなと。
もっと広範囲な視野から采配できる人がトップにいるといいのですが・・
将来にむけての投資に偏重するのもよくないが、目先しか見てない日本企業は多い
Amazon関連の本が多く出版される状況なため、Amazonを例に出すとAmazonが特殊なのではないかという気もしますが、他は日本企業の例も載っていて日本企業もここまでやれる企業あるんだなという印象を持ちました。
その意味でファイナンス思考という「事業内容に応じた最適な時間軸を設定し、長期的に未来に向けた企業価値の向上のために、逆算的、戦略的に事業成長を目指すこと」は重要じゃないかと。
将来を見ずに当期の利益や売上ばかり追い求めるわたしの勤務する会社含めて日本企業は考えを変えていく必要があるなと実感します。
利益至上主義でマーケティングコストや研究開発費の削減をしてる他社も見てきましたので、固執するとかえって長期的な会社価値の向上の妨げになるかと。
もちろん将来への投資ばかりに偏重するのもどうかと思いますが、目先にこだわりすぎのはよくないかと。
その意味でも四半期決算をやめるというのも必要なのかなと。
トランプだけではなくバフェットやジェイミー・ダイモンも同じ意見を言ってますので、アメリカが動けば日本でも同様の動きが出てくるかもしれません。
リクルートは面白そうだと感じた
ファイナンス思考を活かした経営として、Amazon以外は日本企業を紹介していました。
リクルート、JT、関西ペイント、コニカミノルタ、日立といった面子です。
その中でもとくにリクルートが印象に残りました。最近やたらCMを見るインディード買収の裏側も書かれています。
日本国外の知名度が低いため、海外展開に向けての信頼性や信用の向上を計る。そのために日本国内事業から資金を創出して、買収先へのユニット経営導入による収益性改善は素晴らしいなと。
2018年3月期にはインディードの業績は現在のリクルートの時価総額の半分を占めるとまでいわれてるそうですし。
それと事業間の社内競合(カニバリズム)を辞さない姿勢もおもしろいなと。たしかに「ケイコとマナブ」と「スタディサプリ」とか重複してる面もありますし。
いままで意識してなかった企業なだけにちょっと注目してみようと思います。
これは投資や企業だけではなく個人に関しても短期志向になりがちだと思うので、時間軸や評価軸を見ながら逆算的、戦略的に考えながら行動する必要があるなと気づきがありました。
ファイナンス関連以外でもオススメしたい本だと思います。


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