リーマンショックから10年で景色はどう変わったか?国別、セクター別、企業別のウェイトの変化をまとめてみた
リーマンショックから10年が経過しましたが、この間の経済的なものを見るとアメリカ以外の国は落ち込む時期があったため、アメリカ1強が進んだような印象があります。
欧州は10年前よりEUのまとまりとドイツの力が落ちた印象がありますし、日本はなんとか持ちこたえたものの東日本大震災で落ち込みましたし、中国も伸びているとはいえチャイナショックがありました。
新興国全般は原油価格の下落のダメージが大きかったですし。
アメリカの場合はAmazonを筆頭にハイテク関連が引っ張ったのが大きいでしょうね。
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AIやビッグデータの活用で、ネット上から過去のデータを容易に入手できる環境が整いつつありますが、やはりデータを持っていて損はない時代はまだ続くんじゃないかと考えます。...
iシェアーズのサイトで過去の構成銘柄を見ることができるんですね(参考記事)
世界的な株式のシェアを見る上では、先進国および新興国の大型および中型株式で構成されるiシェアーズ MSCI ACWI ETF(ティッカー:ACWI)が参考になるかなと。
ACWIの変遷から世界的な傾向も見れるのではないかということでまとめてみました。
ACWIの主要国別の変化
まずは主要国の10年の変化を見てみましょう。
韓国、香港、台湾あたりはほぼ変動もなかったので、インドを追加して10カ国。

中国がだいたい2倍に増えてるのですがまだ3%を超えた程度で、それ以上にアメリカが伸びていることがわかります。
先進国はイギリスが大きく比率が下がっている状況です。
新興国全体が伸びたかというと、米国外先進国が減った分をアメリカが吸い上げた印象ですね。
ACWIの主なセクター別の変化
次に主なセクター別の比率を見てみましょう。
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昨年、2018年9月から「電気通信セクター」が廃止され、新たに「コミュニケーションサービスセクター」が新設されることが発表されていましたが、バロンズにその概要がまとめられていました。...

エネルギーセクターは2015年頃の資源価格の下落、金融セクターはリーマンショックの影響でACWIに占める割合が減っているのがあるかと。
それ以外は横倍なのが生活必需品と資本財で、NASDAQが強い状況ですのでヘルスケアセクターと情報技術が大きく伸びていて、一般消費財がAmazon効果で伸びたという結果でした。
こうしてみるとヘルスケアと情報技術が伸びた10年だったかなと。
ACWI組入れ上位10社のウェイトの変遷を調べてみると
上位企業の変遷を見るため、9/13時点で組入れトップ10社のこの10年のウェイトの変遷を調べてみました。
Googleの2018年のデータはクラスAとCを合算した値です。

基本的に2008年→2013年→2018年と上昇を続けた企業が多いですね。
一方で、マイクロソフトのように2013年から2018年にかけて復活して伸びてる企業もあったりするのが層の厚さかなと。
逆にエクソンモービルは資源価格の下落もあってウェイトが明に低下しています。
ACWIに組入れられている日本や欧州の主要企業を調べてみた
では、これが日本や欧州の先進国の企業はどうなのか?
ACWIの中で比率が高い企業をピックアップしてみました。
まずは日本から見ていきましょう。代表的なトヨタ、ソフトバンク、ソニー、三菱UFJ、ホンダについてここ10年を調べてみますと・・

自動車のホンダとトヨタは似たような傾向。三菱UFJは低下傾向です。
一方、ソフトバンクはウェイトが増加傾向で、ソニーは巻き返したという状況です。
では、欧州の主要企業はどうなのか、イギリス(HSBC、ブリティッシュアメリカンタバコ、BP)、ドイツ(SAP、シーメンス、アリアンツ)、スイス(ネスレ、ノヴァルティス、ロシュ)と3社ずつ見てみました。

基本ウェイトが低下傾向ですね。
日本で伸びたのが、ソフトバンク、ソニーで、欧州で伸びてるのがヨーロッパ最大級のソフトウェア会社であるSAP。
これを考えると日本も欧州もアメリカのハイテク企業のような出てこないと今後も同じ傾向になってしまう可能性が結構あるのでは?と思える状況だと考えます。
今回調べてみて中国以外の新興国が伸びていないようにも見えますが、米国外の先進国はウェイトが縮小傾向。今後10年で大きな変化が起こりうるのか注視したいですね。


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