近代以降の世界のGDPシェアの変遷から見るインド復権の可能性
出口治明氏というとライフネット生命の社長であり、経済誌にも頻繁に登場すると同時に、著書も多数ある方です。
最近経済紙関連で見なくなったなと思っていたら、大分県別府市にある立命館アジア太平洋大学の学長になってたんですね。
知人が別府にいるのでいろいろと話を聞いたのですけど、立命館アジア太平洋大学は留学生比率が開学以来初めて50%超えると同時に、世界で最高水準の教育を提供する教育機関としても高い評価(国際認証)を受けてるそうで、以前よりも評判がよくなってるそうです。
そんな出口氏は読書家としても有名で、世界史関連の流れをまとめた全世界史(新潮文庫)を今年出したので読んでみました。
上下巻あらゆる地域の歴史を切りまくった本なわけですが、中世以降で中国とインドが没落した理由が言及されていて、経営者視点から見てもこうなるのかと思いました。
狩猟→農耕→科学革命の流れで社畜は生まれた。サピエンス全史を読んで - 関東在住福岡人のまったり投資日記
本を購入するとなりますとたとえランキング的なもので上位にいたとしても、やはり自分の興味の範囲に近いものではないと手を出しませんし、引っ越してから図書館の質が上がったため借りて済ませるというのも選択肢の一つになります。ですので、購入の決断は図書館の予約の人数とかも鑑みることになります。そんな中、評判が高くて私の興味対象である歴史が絡んでいるサピエンス全史は、上下巻あるとはいえ購入して読み終えました。...
もともとイスラム教、ユダヤ教、キリスト教が混合していた状況だったのに、カトリックに確定してからユダヤ人がオランダなどに逃げて没落したというのは国際大学の学長の立場からして日本の大学に警鐘を促しているようにも見えました。
さて、この本さすが経営者なだけあって1700年以降要所要所の世界のGDPシェアが載ってるんですね。
この傾向をグラフにしてみて気になったことが1点あるんですよ。インドが思ったより復権していないということが。
1700年からの世界のGDPのシェア
1700年からのGDPの推移を主な8か国でまとめたのが以下の通りです(2017年は別データから引っ張り出してきたもの)。
ロシアはソ連、イギリスは大英帝国時代を含みますが、インドは大英帝国時代があるものの1870年や1913年は単独で数値が載っていました。
ドイツも厳密にいうとプロイセンのときがあるのでいまのポーランドを結構含んでたときのGDPだったりします。

1700年からの推移をまとめるとインドと中国が下落してアメリカが覇権を取るまでの経過がわかりやすくなります。
イギリスも1870年ころはインドと足して20%を超えてる状況でした。
で、これを見るとわかりやすいのはGDPシェアの肝は領土の広さと人口ということですね。
イギリスの植民地の独立でシェアが100年以上下落傾向ですし、ドイツも第1次世界大戦前がピークですし、ロシアはソ連の解体で一気に減少しているのがわかりやすいかと。
逆にいうと日本は昔っから4%くらいで、江戸時代に2%台まで減ったもののその後は人口の増加と近代化がうまくいってある程度のシェアは確保できている状況。
高齢化は進むでしょうが一定の影響力は残るのではないでしょうか?
中国が復権しつつあるということはいずれインドも復権か?
1700年ころや清もムガール帝国も没落気味だった1820年頃(このころはイギリスが要所をかなり抑えてた状況)にも拘わらずGDPのシェアを握ってたことから、中国が復権した後はインドも復権するか考えたくなるものです。
ただ、この20年でGDPシェアが伸びていない点はやや気になる点でもあります。
インドシフトを読む限りアメリカ企業もかなり進出してきているようなので、インド発の企業がどれだけ伸びていくかが鍵なのかなと。
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BRICsというフレーズはあまり使われることはなくなりましたが、この中で投資をするとすれば?と聞かれると個人的にはインドと答えます。...
さらに付け加えると、領土の縮小でGDPシェアが小さくなったイギリスやロシアの事例は21世紀に起きそうにはほとんど起きないでしょう。
となると人口増加という要素が間違いなくあるインドはGDPシェアを一気に伸ばす可能性が結構あるかと考えます。
歴史上過去とまったく同じことがおこるわけではありませんが、韻は踏むものなだけに、引き続き歴史関連の本を読み知識を蓄えていきたいなと思います。


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