ポスト・スマホを見据えた改革内容とは?マイクロソフト 再始動する最強企業を読んで
マイクロソフトの好調さが記事になることも多いですが、サティア・ナデラのCEO就任が契機となって再び注目を集める形になっています。
企業の理念やどういう改革を行ったかに関しては、サティア・ナデラの自伝であるHit Refresh(ヒット リフレッシュ)に書かれてありますが、経営者から見た視点が中心になっています。
これを読めばマイクロソフト復活の理由がわかる。Hit Refresh(ヒット・リフレッシュ)を読んで - 関東在住福岡人のまったり投資日記
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マイクロソフトの日本法人の社長や本社の開発のキーマンなど日米の幹部へのインタビューをまとめたのが、マイクロソフト 再始動する最強企業です。
売上推移などの数値的なものが少ないという印象を持ちましたが、働き方改革のアップデート版的なマイクロソフトの労働スタイルも書かれています。
個人的に印象に残ったのは以下の3点でしょうか。
破壊的テクノロジー?MRについて
本の中でへーっと思ったのはVRとARを超えるMR(Mixed Reality/複合現実)です。
人間の感覚などの「物理的現実」と人間の感覚機能に働きかけるように人工的に作り出された物体が「仮想現実」を融合させたのが「複合現実」=MRという定義でした。
マイクロソフトはHoloLensという商品を作っていて、この技術についての説明がありました。価格は輸入品を見ても高いですね。
自動車開発、建設、パイロットや整備士のトレーニングに使えるということで、クラウドを中心にビジネス向けに力をいれてるマイクロソフトとしては目指してる方向性は間違ってないかと。
これは製造業などでニーズはあると思います。
開発者の手応えとしては、日本は出荷が9番目だったけど受け入れてるとのこと。ただ、売上的とかシェアの情報は欲しかったかなと。
グーグルグラスと被ってるような印象で、そことの差別化もどうなのかなと気になりました。
驚異的な生産性を実現する仕組みとグロースマインドセット
次に印象に残ったのは働き方。
- ほぼ100%の社員が、会社以外の場所で仕事をするテレワークを行っている。
- テレワークは週に1回から3回くらいが多い。
- 会議のオンライン化の促進
在宅勤務が増えている理由に関しては、クラウドやオンラインのインフラが整ったのが大きいかと。
マイクロソフトの日本法人の場合は、東日本大震災が契機となっているようですが、マイクロソフト製品を使う会社が多い現状では、いずれ日本企業の多くもそうなっていくのかなと。
同時に驚いたのが会社の評価方法や作業効率を定量化していることです。
- Office 365のMyAnalyticsで、定量的なデータが把握される。
- どんなことにどれくら時間を使ったかが把握可能。
- 会議の最中に他の作業をしているか。
- 誰と一緒で誰と接触していないか。
- 売上を立てるだけの社員は評価されない。
- インパクトにつながった貢献を評価する。
- 他を巻き込み他社のインパクトにどれだけ貢献したのかが評価対象になる。
ツールを使って監視される時代は日本もそう遠くないなと思いましたね。
同時にこの人事評価方法はコミュ障要素の強い、地道に一人で作業やるのを好む人にとってはかなりしんどいだろうなと思いました。
グロースマインドセットを持った自己能力の向上を計り続ける人は、在宅勤務も可能な状況に近づけるという印象。
日本で導入される可能性は部分的でもありえそうな印象を持ちましたので、対応できるようにはしておいた方がいいでしょうね。
マイクロソフトはポスト・スマホ時代を意識している
関係者のインタビューを通して、マイクロソフトがポスト・スマホを意識しているのは伝わってきました。
それに向けてAIやクラウドをフル活用して、スマホのあとでも生き残るための製品を考えてるなと。読んでいて可能性を感じさせるものでした。
たとえばオフィスも改良を行っているようで、1クリックで63カ国の言語に一発変換できるようになってる模様。自動翻訳機は期待される技術だけになんとかしてほしいですね。
20年前とは違い他社との協業を進めてますので、自動翻訳に関しては他社との連携を積極的に進めて欲しいなと。
マイクロソフト関係者のインタビューですので、視点は片方から見たものになりますし、AmazonやGoogleとの比較という点では物足りないものがありました。
とはいえマイクロソフトがどういう状況なのかと行った点が把握できるのと、今後日本でも導入されそうな働き方を知ることができるという意味ではよい本だと考えます。


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