バリュー投資への関心が強くなったので、ディープバリュー投資入門を読んでみた
市場サイクルを極めるを読みまして、市場サイクルの重要性を学ぶと同時にバリュー株に関する興味は深まりました。
逆張りの投資とバリュー株は通じるものがありますし。
投資で利益が出ているときこそ長期投資家にとっては必読の書。市場サイクルを極めるを読んで - 関東在住福岡人のまったり投資日記
投資を続けてきて幸運にも上昇相場に乗ることができましたが、リーマンショックを経験していないので、本当の下げ相場がいかほどのものか?と考える人は20代30代で結構いるんじゃないかと思うんですね。...
本も200ページもなく読みやすそうだったので購入して読んでみました。
トビアス・E・カーライル パンローリング株式会社 2018-09-16
ちなみにバリュー関連の2つのサイトも運用しているそうです。
The Acquirer's Multiple
Greenbackd
入門とつくだけあって基本的なバリュー投資の心構えが中心でした。あと、著者がバフェットの影響を受けていて複数の章がバフェットのこれまでの買収などに割かれています。
とはいえ実際に提唱している投資法のパフォーマンスは素晴らしいものがあり興味深いものでした。
魔法の公式と買収者のマルチプル
ディープバリューな投資を行う上で「魔法の公式」と「買収者のマルチプル」というキーワードが出てくるわけですが、以下のジョエル・グリーンブラットの考えが濃く反映されたものとなってます。
ジョエル・グリーンブラット パンローリング 2006-06-15
以下の公式が示されていまして、営業利益重視の考え方ですね。
優良企業=営業利益/株価
魔法の公式=優良企業+適正な価格
買収者のマルチプル=エンタープライズバリュー/営業利益
エンタープライズバリュー=株式時価総額+純負債
買収者のマルチプルとは、企業が生み出す1ドルに足し居てどれだけの価格を支払わなければならないかを示します。
魔法の公式とは、営業利益/株価(ROE)が高く、適正な価格(買収者のマルチプル)は小さければ小さいほどよいというわけです。
この公式は2社同士を比較するのに有意義だと著者は述べていて、1972年から2017年までの45年間、コンピューターでシミュレーションを行っています(対象は3500銘柄)。
魔法の公式と買収者のマルチプルが選び出した30銘柄(時価総額5000万ドル以上、等ウェート、月次リバランス、金融機関を除外)からなるポートフォリオを検証した結果が以下の通りです(ピュア・チャーリーはもっとも高い利益をあげた30銘柄に投資)。

時価総額を10億ドル以上まで上げていっても同様の傾向で、ボラティリティは高いものの買収者のマルチプルのリターンが最も大きいです。
この公式から導き出されるのはバリュー投資の2つの以下の2つの中心命題につながると著者は説きます。
- 株価は本質的な価値へと収束するので、長期的には、割安銘柄が割高銘柄や市場に打ち勝つ。
- ROEと利益の成長率も平均に回帰する。
個人的には平均回帰は好きな考え方ではありますが、あまりにも平均回帰が万能という感じに受け取れる面があるので、やや疑問点は残る印象を持ちました。
一方で、上記で上げた公式に関しては個別株に投資するうえでは一つの指標として使ってみるのは悪くないんじゃないかと思いましたね。
ディープバリューの8つのルール
最後の章にディープバリューの8つのルールということでバリュー投資を行う上での良いアイデアを選択したければ以下のルールを見てほしいとまとめてありました。
- 大衆がザグならジグ
- 割安な企業を買う
- 安全域を求める
- 株式を単なるティッカーシンボルではなく、所有権としてとらえる
- 大きな利益成長と利益に警戒する
- 間違いを避けるために、簡潔かつ具体的なルールを用いる
- 集中する、ただし集中しすぎてはならない
- 長期的な税引き後利益を最大化することが目的である
バリュー投資を行う上での心構えとして必要な8項目ではないかと思いますね。
利益を求めるものの、集中しすぎない、間違わない、状況が好調なときこそ警戒するということで、市場サイクルを極めるにも近い考え方があります。
ただ、やっぱりバリュー投資にとって一番重要なのは一番最初の項目のいわゆる逆張りなのかなと。
好調は本当に続くのか?あるいは不調だがなにか光明は射していないか?これを常に考えることを心がけていきたいなと本を読み終えて感じました。
タイトル通りにバリュー投資入門書という印象です。
トビアス・E・カーライル パンローリング株式会社 2018-09-16


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