新たにテクノロジーによる企業消滅をどう生き延びる?プラットフォームの経済学を読んで
わたしのポートフォリオではディフェンシブ関連のセクターの比率が高くなっていますが、個人的に一つの通過点と考えてる総資産を超えたときからは個別株にも挑戦してみようと考えています。
どうせ投資をするならば少額でも良いから先物買い的な企業を見つけていきたいなと思うので、いまはいろいろと最先端の技術の動向はある程度学習してますね。
その一環の一つとして、TRUSTの世界最先端の企業はいかに信頼を獲得したかあたりは非常にためになりました。
新時代の信頼を獲得したものが世界を変える?TRUST 世界最先端の企業はいかに信頼を攻略したか - 関東在住福岡人のまったり投資日記
投資のコアはインデックスファンドやETFが中心ではありますが、将来的に有望なビジネスや最新技術に関しては強い関心を個人的に持ってるんですね。なので関連する情報は書籍も含めて情報を集めていきたいと思っています。その一環として、ペイパルの創業者のピーター・ティールの本やエンジェル投資家の本について記事にしてきました。...
実際、GAFAはいずれもプラットフォーム要素が強い企業群ですしね。
その意味で、プラットフォームに関していい本がないかということで、「プラットフォームの経済学」を読んでみました。
プラットフォームの経済学 機械は人と企業の未来をどう変える?
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アンドリュー・マカフィー、エリック・ブリニョルフソン 日経BP社 2018-03-23
アンドリュー・マカフィー、エリック・ブリニョルフソンの共著ですが、2人ともマサチューセッツ工科大学のサイエンティストと大学院教授で、ビジネスを大きく変革する3つのトレンド(マシン、プラットフォーム、クラウド)について解説した本になります。
500pにわたる超大作になりますが、読んでいて必ずしも正解は書かれていませんが、最新技術と経済学を組み合わせた知見を応用して分析していて、途中から思しくなってくる内容でした。
3部構成で、1章が人とマシン、2章がモノやサービスとプラットフォーム、3章がクラウドとコアについて書かれています。ちなみにクラウドはCROWDの方で、人からアイデアや資金を募る流れを指しています。
個人的に印象に残った点は以下の3点ですね。
まだ人間が必要とされる職業
まず1章の人とマシンの関してですが、主観的な人間の判断がまだ活用されているケースでも判断を数値化し、定量的な解析に含めて、標準的な人間とマシンのパートナーシップを逆転させる事例が出てきている状況です。
著者によるといまは機械学習の普及の初期段階であるが、そう遠くない将来に機械学習は計味/社会に広く浸透するとのこと。
その意味で、人間が必要とされる職業としては、デジタル技術が人間の社会的衝動に答えるという点でお粗末なので、衝動や感情が絡んでくるような仕事はこれからも人間がやる方が良いという意見でした。
共感や思いやり、リーダーシップ、チームワーク、コーチングが例としてあげられていました。
ただ、いずれの項目に関してもデータで統計を取って情報を蓄えられる状況下です。
野球で考えてみても、体格や骨格から効率的な投球フォームや打撃フォームを解析→構築することは可能でしょうし、実際メジャーリーグ見ても極端な守備シフトが有効とデータで出てる状況(それを回避するためホームラン狙いのフライを打つバッティングが流行していますが)。
リーダーシップ、チームワーク、コーチングのいずれもデータを併せてやるという意味で、これまでよりも仕事の範囲は狭くなる可能性があると考えます。
単純労働者が機械に置き換わっているため、アメリカでも幹部社員の比率が上昇しているそうですが、そうなるとマネージメントスキルというのが重要になってくるかなと。
それと、データがあふれてる時代だからこそ、そこから分析して提案するコンサル能力の2点が求まられてくるんじゃなかろうかと1章を読み終わった後考えました。
プラットフォームの影響を受ける企業と受けない企業
2章でプラットフォームの事例を解説していましたが、プラットフォームを持つ企業の特徴をピックアップすると以下の5点かと。
- 複製の政策・伝達に要する限界費用はほぼゼロであり、複製が完全に原本と同じであるため、ネットワークではほぼ瞬時に伝達配布できる。
- ネットワーク財にはユーザーが多いほど価値が高まる性質があるため、「需要サイドの規模の経済」が商事、大規模なネットワークほど有利になる。
- ユーザーインターフェースとユーザーエクスペリエンスに多大な注意を注ぐ。
- 多くのプラットフォームは二面性を備えており、一方の側と他方の側のタイプの異なる客がいる。
- オンライン・ツー・オフライン(O2O)のプラットフォームでは、短期間での集客、ユーザエクスペリエンスの管理、既存の資本や労働資源の活用、データやアルゴリズムを駆使した受給マッチングが可能であるため、急速に成長する。
つまりプラットフォームを持つ企業に投資をするとすれば、上記の特徴がある企業に投資をすればいいですし、逆説的に言えば既存企業に投資をする際にはそれに対する防御策があるかを考えてくことになるんでしょうね。
著者の定義では、物理的なモノやサービスに差別化が図られている市場や、顧客が特定ブランドにロックインされている市場では、プラットフォームの破壊力は削がれるそうです。
たしかにAirbndとホテルで考えると、とにかく旅費を削りたい人やより現地のディープなとこに生きたい人は前者ですけど、ビジネスマンなんかはホテルになりますよね。この例を他の産業にも応用して考えていく必要があるでしょうね。
逆の例はUberで出張だろうが旅行だろうが、価格、すぐ来るといった利便性で上回っているとプラットフォームの破壊力は協力ですよね。
クラウドによってもたらされる共創
3章がクラウドとコアについて書かれていますが、wikipedia、Linux、仮想通貨の事例に結構内容が割かれています。
技術の進歩によって取引費用や調整費用が押し下げられたので、市場取引が企業に対して有利になるきっかけができつつあります。
その過程において事例で上げられていたものを見てると「共創」っていのが今後より重要になっていくのかなと思いました。
あくまでも3つの事例はより分散化された個人が各自で作り上げたものですけど、より大きな集団になるわけです。
本来、この流れが続くと市場取引が企業に対して有利になるはずなので、経済活動が分散化されるはず。とはいえ生き延びるためには個人も企業も共創が必要となってくる。
現状ではGAFAのように過去にない規模の大きな企業による寡占化が進みますし、日本の電子マネーの例なんかを見てもわかるように大きな文化圏を形成していく流れになってるのかなと。
今後、さらなる技術革新で経済活動の分散化でブレイクスルーが起こる可能性もありますが、いまのところは国よりもでかい自治体もどきな企業が出てくるの可能性の方が現時点での将来予測では近いのかなと思いました。
プラットフォームや最新技術を使用した企業がどのようにして同情してきたのかの背景も読めて、ボリュームはあるもののすらすらと読める本でした。
プラットフォームの経済学 機械は人と企業の未来をどう変える?
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アンドリュー・マカフィー、エリック・ブリニョルフソン 日経BP社 2018-03-23


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