ファクトフルネス(FACTFULNESS)を読むと、思い込みを排除して、データを重視することが大切であると痛感する
ここ数年フェイクニュースというフレーズが使われるようになりましたが、なぜそういうニュースが出てくるかというと思想的なものが入っちゃってるからじゃないかと考えます。
日本の場合、年々ニュースがワイドショー化して扇動的になっちゃってるので、ニュースを見る人が減っていく流れになってしまうでしょう。もっとも災害情報を的確にノンスクランブルで流せるNHKの強みはこれからも変わらないでしょうけど。
そんなニュースを真に受けずに判断をどうするかというとデータというのが重要になってくるんじゃないかと思うんですね。
どうしても人間は思い込みをしてしまうものですから、それを解決するには客観的なデータが必要です。
客観的なデータを掲げ、多くの人が思い込みがちな10の視点を提示して、世界を読み解くことを提案した「ファクトフルネス(FACTFULNESS)」を購入して読みました。
本のランキング見ても売れていますし、ビル・ゲイツが大絶賛したのもわかる内容です。
著者のハンス・ロスリング氏はスウェーデンの医師、公衆衛生学者で、WHO、ユニセフなどで保健アドバイザーを勤めた経験の持ち主で、アフリカでの疾患の研究で多大な貢献をした人物です。
残念ながらこの本の執筆中に癌で亡くなって、息子夫妻がまとめたのがこの本になります。
確かにデータですのでロスリング自信が抽出した感もなくはないのですけど、読み終えてこれまで自分の中で思い込んでいた部分が間違っていたのかと気づかせてくれて、データの大切さを実感できました。
個人的な感想をまとめると以下の点ですね。
世界はどんどん悪くなってるという思い込みはネガティブ本能によるもの
テレビや新聞に接していますと「世界はどんどん悪くなってる」という印象を持つ人は多いと思います。
そういう内容の番組で恵まれない子供たちへの支援というACジャパンあたりのCMが流れると効果は出そうな気がしますね。
とはいえ世界の極度の貧困の比率を調べますと、1966年で50%だったものが2017年では9%と10%を切ってます。
同様に世界の平均寿命がどうなっているかというと、直近100年で第2次世界大戦と大躍進政策の影響で落ち込んだ以外は、上昇傾向で2017年では72歳まで上昇しています。
それだけでなくHIV感染や戦争の犠牲者、飢餓やオゾン層の破壊、災害死者数も減り続けているわけです。
その意味でも2章でまとめられていたように以下の5点を意識しておく必要があるでしょうね。
- 「悪い」と「良くなっている」は両立する
- 良い出来事はニュースになりにくい
- ゆっくりとした進歩はニュースになりにくい
- 悪いニュースが増えても、悪い出来事が増えたとは限らない
- 美化された過去に気をつけよう
とくに悪いニュースが増えたというのは、技術の発達で監視の目がより届くようになったというのはあると思いますね。
東日本大震災から8年が経過したいま恐怖本能について考えるべき
東日本大震災から8年が経過したわけですが、4章の恐怖本能に関してもその内容の記述が出てきます。
メディアが興味関心を煽るために恐怖本能に訴えかけるわけですが、原発事故を煽った人間が当時多くいたのは間違いなく、いまでも放射能に関しておかしな発言する人はいます。
しかし、国際的な調査結果をみてもチェルノブイリ同様東日本大震災でも以下の結果がわかっています。
- 原発近くに住んでいた人が避難後1600人亡くなったが、原発事故の被爆で亡くなった人はひとりもみつかっていない。
- 多くは高齢者で避難による体調悪化やストレスが原因。
- チェルノブイリ原発事故の後、世界保健機関がまとめた調査報告によると原発の近くに住んでいた人も含め、死亡率が大幅に高まったという証拠は見つからない。
2015年時点で東京はあと1年で壊滅するとかいう本がダイヤモンド社からでたりしてますけど、4年で新しい国立競技場が完成しつつありますね。
こんな本を出した出版社も含めて相当批判されるべきですし、東京に住めなくなるとかいって国会議員になった人間もいるだけに、当時恐怖を煽った出版社を含めて総括し、相応の批判を受けるべきではないでしょうか?
4章でロスリング氏は恐ろしいものには自然と目が行ってしまうということに気づくことを提唱していますが、あわせてリスクは「危険度」と「頻度」、言い換えると「質」と「量」のかけ算で決まるので、「恐ろしさ」はリスクとは関係ないと説いています。
これは投資にも関係するだけに普段から意識しておきたいですね。
企業はこれからアフリカとアジアを意識しておかないといけない
ロスリング氏はアフリカ現地での医師としての勤務経験があり、アフリカ関連の話を講演で話すこともあるそうですが、その際に「アフリカの発展は無理だ」と言ってくる人が結構いたそうです。
ロスリング氏はメディアがいまだに伝えているアフリカのイメージは頭から消して欲しいと発言しています。
とくにガーナ、ナイジェリア、ケニアは最高の投資先になることを知っておいた方がいいとも書いています。
そして興味深かったのはGoogleやマイクロソフトは「アメリカ臭」がほとんどない。ヨーロッパの企業も「ヨーロッパ臭さ」を抑えた方がいいとも。
アフリカに関しては個人的にロスリング氏曰く「アメリカ臭」を抑えた企業がシェアを獲る可能性もありますが、アフリカを過小評価しすぎないということは必要かなと思いました。
同時に投資をする際に、「アメリカ臭」のしない企業というのはアメリカを日本でもヨーロッパでも当てはまるだけに、特定地域の臭いが強すぎないかという視点は持ちたいですね。確かにマリオとかピカチュウとか日本臭しませんし。
ファクトフルネスの大まかな10のルール
ロスリング氏もメディアは中立性を保ってドラマチックではない世界の姿を伝えることは難しく、メディアが退屈な方向に行くとは思えない。結局ファクトフルネスの視点でニュースを受け止めるかどうかは、消費者にかかっていると言及しています。
その意味で、ファクトフルネスの大まかな10のルールは普段から意識しておく必要があるかなと思いました。
- 「分断本能」を抑えるために、大半の人がどこにいるかを探そう。
- 「ネガティブ本能」を抑えるために、悪いニュースの方が広まりやすいと覚えておこう。
- 「直線本能」を抑えるために、直線もいつかは曲がることを知ろう。
- 「恐怖本能」を抑えるために、リスクを計算しよう。
- 「過大視本脳」を抑えるために、数字を比較しよう。
- 「パターン化本能」を抑えるために、分類を疑おう。
- 「宿命本能」を抑えるために、ゆっくりとした変化でも、変化していることを心にとめよう。
- 「単純化本能」を抑えるために、ひとつの知識がすべてに応用できないことを覚えておこう。
- 「犯人捜し本能」を抑えるためには、誰かを攻めても問題は解決しないと肝に銘じよう。
- 「焦り本能」を抑えるためには、小さな一歩を重ねよう。
とくに9番目はいまの日本に必要なことじゃないかと思いますね。問題の根本の可決や、予防策の方が重要なことを国会議員やメディア関係者は理解すべきでしょう。
同時に問題を見た時に思い込みを抱かないように、違った視点から見てみるという観点が今後重要になってくるのはないかと思いました。
売れてる本ではありますが、投資でも通じる教訓を得ることができますし、ニュースに流されない視野を身に着けるという意味でもお勧めしたい本です。


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