米国32業界の代表的な企業の利益率から見る、過去50年高い利益率を維持してる業界とは?
個人的に生活必需品セクターとヘルスケアセクターを重視して投資しています。
これは自分の性格によるところもありますが、守備重視で株式を運用したいという意識によるものです。
加えてまだ大きな暴落を経験していないため、まだ資産の土台部分を築いている段階と考えてますので(土台と行っても一つの大きな目標までは折り返してはいるのですけど)、ボラティリティは抑えたいなと。
ディフェンシブなら値動きの激しいバイオ関連も含むヘルスケアじゃなくて、生活必需品セクター単騎でもいいのでは?という話もあるでしょうけど、先の伸びしろという意味では物足りない面もあるかと考えてヘルスケアセクターにも投資しています。
で、こういう特定の業界を重視して投資するという考えはメリットデメリットあると思います。
自分が働いてる業界での新しい技術とかを早く知ることができる立場でしたらそれ活かすべきと考える一方で、どうしても自分が深く関わる業界というのは良くも悪くもバイアスがかかるので判断を誤る確率もあるでしょう。
とすれば投資をするにあたって、高い利益率を維持する業界に投資をするというのは一つの手ではないかと。
以前紹介した「ティリングハストの株式投資の原則」には1964年~2014年の50年間の合計32の各業種別の利益率が載っていました。
過去30年S&P500を圧倒しているファンドマネージャーは小さな範囲で考える。ティリングハストの株式投資の原則 - 関東在住福岡人のまったり投資日記
インデックス投資寄りの投資方針を取ってますが、個人的にいろいろと調べて分析することが好きなので、完全に機械的に投資するという形ではなく、自分の判断で投資対象の比率の変更とかはやりたいという考えです。...
もちろん高い利益率を維持しているからといってブレイクスルーの波にのまれてしまうこともありえますが、やはり50年高い利益率を維持している企業はなにかしらの強みを持ってるのはないかと考えます。
ということで、各業種別の利益率をおもに3つにカテゴリ分けでして見ました。
50年間比較的高い利益率を維持している企業・業種
調査の対象は最大の売上高、最大の時価総額、最大の利益率の組み合わせを用いて、各業種の代表企業を選び出しています。
まずは高い利益率を維持している業種。
企業 | ティッカー | 産業 | 1964年利益率 | 2014年利益率 |
ブラウン=フォーマン | BF.B | 酒類 | 27 | 33 |
スリーエム | MMM | 製造業 | 22 | 22 |
インターナショナル・ フレバーアンド・ フレグランス | IFF | 香料 | 24 | 19 |
IBM | IBM | コンピュータ | 27 | 19 |
ハーシー | HSY | キャンディ | 23 | 19 |
レイオニア | RYN | 林業 | 22 | 16 |
IBMは2014年のデータですので、利益率がいまは下がっている可能性もありますが、それ以外の面子を見ると林業や酒類、香料、キャンディと意外な業種なんですよね。
個人的にこの中で一番買いたいとすれば、スリーエムですね。
電気・電子分野の素材や医療・保健・ヘルスケアといった分野を持ってるのは強みです。
50年で利益率を大きく下げた企業・業種
では、50年で大きく利益率を下げた企業・業種はというと以下の通り。
企業 | ティッカー | 産業 | 1964年利益率 | 2014年利益率 |
アボット | ABT | 医薬用品 | 21 | 13 |
デュポン | DD | 化学 | 25 | 12 |
キャタピラー | CAT | 建設機械 | 21 | 10 |
ゼロックス | XRX | 印刷機器 | 30 | 7 |
BP | BP | 石油 | 22 | 6 |
エイボン | AVP | 化粧品 | 27 | 5 |
意外と医薬用品でも下げ幅は強烈です。
ペーパレス化が進んで厳しくなりつつあるゼロックスや、化粧品なんかもネットで買えて販売形態が180度変わってるので、利益率は下がっていまいます。
継承および破産した企業
50年たってますので、吸収合併などで継承企業としてカウントしている産業もありますが、継承企業が利益率を維持しているケースもありました。
- レイノルズ・アメリカン(タバコ)
- キンダー・モルガン(ガス)
- グラクソスミス(製薬)
- ディズニー(テレビ・ラジオ)
- P&G(カミソリ)
テレビ・ラジオって継承企業がディズニーになってましたが、これは例外でしょう。
そもそもディズニーの持ってるコンテンツが桁違いですし、ここ10年くらいの買収でさらに強固になっていってますし。
逆に上場廃止・破産した産業に含まれるのは以下の通り。
- ベン・セントラルRR(鉄道) 1970年破産→継承企業:ノーフォーク・サザン・レールウェイ
- ハービソン・ウォーカー(耐熱製品) 2002年破産→継承企業:ハリバートン
- ストーン・アンド・ウェブスター(エンジニアリング) 2000年破産→継承企業:シカゴB&I
- アメリカン・コマーシャル・ライン(商船) 2009年上場廃止
- ノースウェスト航空(航空) 2005年破産→継承企業:デルタ
- チャンピョン・スパーク(自動車部品) 2001年破産→継承企業:フェデラル・モーグル
- イーストマン・コダック(写真) 2012年破産
平均すると非耐久消費財を生産する企業はほかの産業よりも高い利益率を維持してきた
ちなみに調査によると、営業利益率が20%を超えるか、1964年よりも改善している会社は1000社中90社で、鉄道、製薬、消費財メーカーが多かったそうです。
一方で、小売り、陸運、鉄鋼、自動車、無銘の食品業界には20%の利益率を達成した企業は存在しなかったとのこと。
結果として非耐久消費財を生産する企業はほかの産業よりも高い利益率を維持してきたがあったとのこと。
やはり収益性、ライフスパン、確実性などを満たしているのが大きいのでしょうね。これに成長性が加わると鬼に金棒と。
個人的にはやはり生活必需品の強さを実感する調査結果だと考えますが、同時にいずれいまのGAFAがその立ち位置に至る可能性は結構あるかなと考えます。
とはいえ収益性、ライフスパン、確実性、成長性はなかなか計りにくいものではあります。
「ティリングハストの株式投資の原則」のなかで言及されているように、過去利益率が高かったのに破産に至った、あるいは大きく利益率を落とした会社を調べてみて、事例から学習するしかないかと今回結果をまとめていて考えました。


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