米中貿易摩擦と歴史に見る、閉じられた中国と開かれたアメリカ
連休明けに米中貿易摩擦の協議が揉めてしまい株価も急落、為替も円高と令和の始まりでつまずいた印象です。
とはいえ2019年になってからの上昇が大きかったこともあるので短期的な調整が起きるのは悪くないかと。
流石にこのまま低ボラティリティで上昇が続くと2017年の再現で、翌年株価が不安定になるでしょうし。
米中貿易摩擦に関しては中国の体制がアメリカや欧州、日本と異なりますし、閉鎖的な経済市場という側面を歴史的なものから見るべきかなと思いまして、中国史の本について連休中呼んでました。
その一つが「逆転の大中国史」で、中国ではなくユーラシアや遊牧民のより広範囲の視点から見てみると、なんで中国がいまの体制になったのかが見えてきてやはり書籍で歴史面は読んでおく必要があるなと。
著者の楊海英氏は内モンゴル出身、中国で大学を出た後、日本留学→日本国籍を取得していて、どうしてもモンゴルや遊牧民のバイアスがかかってるとは思いますけど、留学後からユーラシアの研究者と交流してきてるだけに、ユーラシア学の蓄積を押さえた上での著作で的を得ていると思いました。
そして、中国の歴史を読んで現状を見ると、閉じられてる中国と開かれたアメリカが現状の差になってるのかなと。
漢民族(漢人)の王朝は内にこもる傾向がある
中国というと元はモンゴルだけどそれ以外はとなりかねないですが、隋や唐は遊牧系民族の建てた王朝ですし、元はモンゴル、清も遊牧民国家に分類されます。
唐時代は阿倍仲麻呂や安禄山などが登用されてますし、元や清を見ても宗教や人材の確保に慣用的なものがあります。
ただ宗教が寛容すぎたせいで宗教関連の反乱が起きて元や清も滅亡の一因となりました。唐も遊牧民系の安禄山の反乱で傾いていますし。
一方で漢民族の王朝は版図が小さい傾向で、宋は遼(キタイ)、西夏(タングート)と東ユーラシアを3分していたので、統一王朝とは言えないまで書いてます。そして他民族を内心では恐れ、国際的にも引きこもる傾向を指摘しています。
その宋の時代に経済が発展したとは言え、朱子学がおこり、日本でも台頭した江戸時代に鎖国政策をとっていたのも偶然ではないでしょう。
明の時代に鄭和の大航海がありましたが、鄭和はペルシャ系のイスラム教徒ですし、航路に関してもモンゴル人の築いた土地や航路をたどっていったものです。
宋や明に見られるように、漢人の閉じこもる傾向は、城塞を築いて立てこもった歴史から来ているという。そして、城塞を広げる際はその限界はない、中国の支配領域は理論的には全世界であるからと著者は指摘しますが、これはまんまいまの中国だなと。
世界の移民の数を見るとアメリカは抜けている
現代の中国が閉じてるというのは経済市場もありますが、移民の割合を見ると移住しにくいのは明らかかと。
参考記事:アメリカ日々是発見
移民の人数を見てもアメリカは4663万人。2位のドイツが1201万人、3位のロシアが1164万人で、アメリカは世界の移民の2割を占めています。
一方で日本が244万人、中国は85万人ですのでいかに中国の移民の数が少ないですよね。
逆にいうとアメリカの強さは移民や宗教に寛容な国というのは大きいと思うんですよね。
実際直近40年の移民人口の増加率と、GAFAなどの大企業のCEOがインド系になってたりするのを見れば明らかでしょう。

参照:社会実情データ図録
トランプが不法移民を帰省しようという話ですが、あくまでも不法移民でメキシコからの流入の対策という側面はあるでしょう。
ただ、移民として出ていく人が多い国は1位のインド1558万人と2位.メキシコ1234万人は明らかにこの2カ国が大きい。
ロシアも中国も1000万前後ですが、これから人口が増えるインドとメキシコから移民の流れがあるアメリカの強さの要因の一つですから、今後この流れが変わったときこそアメリカ1強が揺らぐといってもいいかもしれません。
中国がアメリカを抜くとすれば、外部人材の流入が大きくなったときでは?
逆に考えると中国がアメリカを抜くとすれば外部人材の流入が大きくなったときじゃないかと考えます。
いまは中国が将来覇権を握ると発言する人も中国にいる人少ないですからね。ジム・ロジャースなんかいかにも中国株が上がると言ってるにもかかわらず住んでるのシンガポールですし。
企業で駐在している人は多いとはいえ、完全に移民が増えるとこまで行く必要があるでしょう。
中国のいまの体制で開放的になるのか怪しさはありますが、外の人材を採るというのは各国共通課題となると考えます。
とくに移民で出ていく数が多いインド、メキシコの系の人材は重要だと思うんですよね。
これは日本にも当てはまることですし、アメリカや中国以外でも人材が流入している国があれば投資をする価値があるのではないでしょうか。


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