金融庁の貯金2000万が心配な人は「逃げられない世代」を一度読んだほうがいい
金融庁報告で平均で2000万円貯蓄しろといったことを政争にしようと躍起になってる特定の政党があるようですが、散々twitter上で見かけましたけどなにもわかってないで叩くのはいかがなものかとしか思えないですね。
夢見る父さんのコツコツ投資日記に書かれていましたけど、そのそも金融庁の報告書は平均の数字で実情によって数字が異なってくるのが実情でしょう。
年金2000万円問題でっちあげ 与野党とも政治を放棄 - 夢見る父さんのコツコツ投資日記
前回のエントリーで危惧したように、野党はやはり「年金2000万円問題」をでっちあげ、政府攻撃の材料にしています。...
そもそも退職金でも企業によっては入社年度で異なる制度という場合があるのですから、平均の数字を取り上げてあげつらうのはどうなんでしょうね。ところで、「2000万円」ためられる、ためられないというはなしがネットでもでていますが、実はこれは平均の数字での計算でしかありえません。元の報告書にあるように、それぞれの実情に応じて数字は全く違ってくるのです。実は驚くべき数字があります。内閣府の国民生活基礎調査によると、現在年金をもらっている高齢者のうち、過半数の52%が年金のみで生活していると回答しています。つまり2000万円足りないどころか、高齢者の半数は年金だけで十分足りているというのです。
同じような傾向は他の調査でも出ています。内閣府の世論調査だと70代以上の人の75%の人が、「生活に満足している」と答えているのです。だから、年金で足りないというひとは支出が多いか、もらえる年金が少ない(国民年金だけなど)というわけになります。
年金だけでは足りないからあと2000万用意しろの報道は内容がかなり違う - More Access! More Fun! %
いつものように麻生くんが言わなくてもいいことを言って、「100年安心はうそだったのかガー」「だから自民党はガー」と騒いでいる人が多いですが、年金問題は超少子高齢化でこうなることはとっくに分かっていたし、少子高齢化対策に無 ...
で、このニュースで将来が不安になるような20代~40代くらいの人は、まず元経産省官僚の宇佐美典也氏の「逃げられない世代」を読むことをオススメします。
帯は2036年完全崩壊と煽ってますが、中身は多角的に分析していて、帯のような結論にはなっていません。
むしろデータを基にこれくらい必要という金額が書かれていて、それは金融庁のレポートと近い内容でした。
ぶっちゃけわれわれ20代30代の世代はどれくらいの年金がもらえると想定されるのか?
われわれの世代はどれくらいの年金がもらえると想定されるのか?という予測が書かれています。
寿命の伸びからして90歳ぐらいまで生きることを想定して、年金と関連する予測は以下の通りです。
- 政府部門の赤字が25兆円ペースで増えていますが、このペースで行くと政府の債務規模と民間金融資産の規模が拮抗するため財政再建が必要になる。
- ハイパーインフレに関しては極めて可能性が低い。
- 現役期間の可処分所得のうち何%を年金としてもらえるかという指標の所得代替率が財政危機が起きる想定で32%まで落ち込む。
- 現役時代の3分の1強の収入しか得られない。
- 70歳年金支給開始で、現役時代の50%の所得を確保するためには現役時代の15%~25%の収入を確保する必要あり。
所得代替率は直近の検証結果が2014年6月にあるわけですが、出生率や死亡率を考えて検討した結果が50%は維持されるとされてます。
なので財政再建が必須となるという前提で32%になってることの留意は必要です。
ともあれ年金の支給開始の年齢と減額は避けられないでしょうね。
平均給与収入と高齢者世帯の平均支出から算出すると金融庁の貯金2000万は妥当
平均給与年収は男性が521万、女性が280万となりますので、これを基に算出すると年金支給額は年間205万、月17万となります。
高齢者世代の平均支出は月25万ですので、毎月8万赤字になりますね。
年金が減額されると仮定して、副業なり投資なりで将来的に確保したい収入は月7万~8万円? - 関東在住福岡人のまったり投資日記
残業規制や作業効率化を求められる状況が年々強くなってますので、これから先に収入増というわれわれの親世代とは異なるライフプランが必要となりそうな状況です。...
95歳推定で宇佐美氏よりも所得代替率の推定は甘めでしょうね。ただ、95歳となるとそれまでの認知症発症率を見る限り、95歳推定は流石に年齢設定が高すぎ感は否めません。
70歳まで働かなきゃならんのかという意見もありますが、退職金やらで埋めることができれば前倒しは可能でしょう。
金融庁と宇佐美氏の金額は非常に近い値ですから、割と悪い想定でもこれくらいもらえるということであれば、不安を煽るような人間やマスコミの言説は信用せずに自分である程度貯めていけば道は開けるのではないでしょうか。
年金返せデモで思い起こされる、絶望先生の主語のデカい人
今回年金返せデモをやるようですが、それで思い出したのは絶望先生の主語のデカい人。
主語のデカい人という「1人しかいないのに私たち住民は断固反対する」「全員に聞いたわけでもないのに我々都民は我慢の限界」など自分の意見をみんなの意見のように言う人いますよね。
主語のデカい人が騒ぎまくった人間の意見にマスコミがタダ乗りした結果の典型例が築地市場の移転で、築地の汚染&老朽化が全く考慮されてなかったり、東京五輪向けの道路の拡張が遅れたりと負しか生み出しませんでした。
年金関連の問題もそれに近く、安全安心とまったく定量的・現実的ではない言葉が先行して、ちゃんとしたデータや推量をいっさい無視して対案も無茶苦茶なのはいかがなものかと考えます。
このデモに国会議員が出てきたりする可能性は高いと思いますが、まーた戦争反対やら原発反対やら関係ない問題を絡めて「我々は」とか「市民は」と主語がデカい人が騒ぐんでしょう。
ましてやお金をもらう老人層が騒いでるの見たら、現役世代からするとこっちがおまえらに払うかとなりかねないのを意識しておかないとダメでしょう。あ、そういえば高齢者に支持層が偏ってる政党というと(以下略)
ちゃんと年金の仕組みやらを知っていれば「年金返せ」とかバカなこと言えないはずですので、義務教育内での金融教育ってこれからやっていったほうがいいんじゃないかとニュースをみて思いました。


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