挑戦と進化の経営を読んでいて、SBIグループがバイオ関連事業をやっていることをいまさら知る
マネックス証券、楽天証券、SBI証券の米国株式最低手数料の値下げ競争で各証券会社の証券口座数の推移なんかを調べたのですが、じゃあこういう推移になった流れとかは知りたいなと思いました。
SBI証券、米国株式最低手数料を7/22現地約定分より、5ドルから0ドルに引き下げ - 関東在住福岡人のまったり投資日記
マネックス証券が米国株裁定取引手数料で奇襲に出て、その後楽天証券が反撃するという競争がありましたけど、ネット証券トップで、口座数でも野村證券を追い抜こうとしているSBI証券は音沙汰なしの状況でした。...
ちょうど口座数の推移を調べるタイミングでSBIホールディングス代表取締役社長の北尾氏の本が出ていたので、買って読んでみました。
大まかな本の流れとしては野村證券からソフトバンク入社、SBIグループ創業から新潮流、最後が経営の哲学という感じです。
これまでのSBIグループの歴史の流れ的なものがコンパクトにまとめられてますし、事業の再編もうまくやってるなという印象を持ちましたね。
その中でいままで知らなかったんですが、SBIグループがバイオ関連事業をやってたんですね。
SBIグループはバイオ関連事業もやっている
第2章の企業生態系でグループ内企業間で相互にシナジーを発揮できる体制について書かれていましたが、グループ内でSBI証券、SBIマネープラザ、損保、生命、モーニングスター、アセットマネジメントとグループとしてうまく統合しつつ体制を構築した印象をもちました。
同時にリーマンショック時の危機対応に2007年から影響を最小限に食い止めたことで、口座数で大和を抜いたことにつながったんだろうなと思います。
次世代の対応として当然金融業ですからブロックチェーン関連に関して1章割いてますけど、それ以外で意外だったのはバイオ関連事業。この事業にも力をいれているようです。
2018年3月と2019年3月の売上と利益はサイトで確認できましたが、赤字が続いていて、2019年3月は前年比でマイナス4億。ただし、売上規模は40億程度あるようです。
個人的には次世代事業の中核産業とするのは個人的にヘルスケアセクターを好んでいるのでいいと思いますが、収益的に黒字になんのかな?と思うのが正直なところ。
アミノ酸の一種によるがんや成人病の予防、改善剤の特許を50件程度取得していて、関連する海外企業も子会社化していってるようです。ここの部分の詳細はもっと書いて欲しかったですね。
対面店舗の拡大と地銀との連携
意外だったのは対面店舗型のSBIマネープラザを地域金融機関との共同店舗を展開していることですね。
ネット証券がコアだとは思いますが、割と店舗に関しても必要という認識のようです。
とくに地域金融機関との連携はいい取り組みだと思います。地方いくと人口減るのにやっていけんのか?という銀行はありますし。
福岡県で福岡銀行と西日本シティが7割占める中で、県内4%くらいのシェアの筑邦銀行なんかはまさによい対象だと思いますね。
地銀の再編はローカルの信金も含めて進むことは間違いないですから、地方創生に関して力を入れる取り組みは素晴らしいと考えます。
経営哲学は強固のなものができているが後継者問題はありそう
ここのところ野村證券で不祥事のニュースを結構見かけますが、野村證券出身の北尾氏はそれを意識してか、人徳とか社徳などモラルを意識したフレーズが多いです。
とくに中国古典や日本の商人の考えを重視しているという印象でした。ブログの記事読んでみても古事が引用されています。
古事の人徳や儒教思想などの重視は、バブル後の野村證券の経験を反面教師にしてるんでしょうね。
とここまで本の感想を書いてきましたが、SBIを企業としてみたときに事業はよいけど、70近い北尾氏の後継の問題はあるかなと。
継承が近いので、20周年の機会に社史や経営理念をまとめたのがこの一冊という側面はあるかもしれません。


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