95歳現役投資家が投資で重視するのは配当と安定株
NISAで投資を行う人の統計を取ったところ高齢者が大半だったというニュースがNISA開始時にありましたけど、平成30年3月の結果でも60歳以上で半数という結果でした。
この結果を見ていますと、80代や90代でも投資をしてる人はそれなりにいるんじゃないかと思えてきますね。
では、上限はどこまでだろうと思ったら、なんと95歳の現役投資家の人の本を見つけました。
著者の外山滋比古氏は230万部売れた『思考の整理学』の著者で、英文学の博士号を持ち、お茶の水女子大の名誉教授の方です。
現在は老人ホームに入られてるようですが、現役投資家でシニア層に向けて「おカネ」との付き合い方をアドバイスする本となっています。曰く脳機能の低下の防止として起業や投資がよいとのこと。
内容に関しては同意できない部分もありますが、興味深かったのがその投資手法ですね。
外山滋比古氏の投資の考え
老後のお金の考え方について書かれた本ですが、投資に関して5章、6章で3分の1を占めています。
外山氏の投資に関する考え方や経験則をまとめますと以下の通りです。
- 日本とドイツは戦後の過程は一緒だったが、ドイツは株投資を増やすための政策を1970年代から打ち出していた。日本は何もしていなかったから投資をする人は少ない。
- 安定して高配当の株を探すことが重要だが、新日鉄系などのお役人精神が引き継がれている株には手を出したくない。
- 株を買うのも「社会貢献」
- 60年以上投資をしてきたが、投資歴のなかで出した成果の大半はインフレに助けられたもの。
- いまは低成長の時代になったから考え方を変えなくてはいけない。
- 有効な投資手法の一つはなるべく保守的で安定した会社を探して長期投資
- 投資には持ち金の1/3、生活で使う金を1/3、万が一のお金を1/3の財産三分方がいい。
- 証券会社に相談してはいけない。
- 安定株への投資に面白みを見出す人はなかなかいないが、市況が悪くなって多くの人が損を出したときに効果が出る。
- 技術革新で世の中は激しく変わっていくのでどの株を買えばいいかわからないが、長期的な視座での「未来の安定株」を探すことを楽しんでほしい。
この銘柄がいいとは書かれてなくて、強いて上げるならドローンは面白そうぐらいでしょうか?
基本的には配当や安定株を重視という感じでした。
もちろんこれまでは安定株だった銀行は今後厳しくなる可能性がありますし、電力会社も東日本大震災時の東電のようになる可能性は指摘していました。
ただ、考え方は一理あると思いましたし、すべて安定株というわけにはいかないでしょうけど配当や安定株を意識してポートフォリオを組み立てて長期投資というのは共感できます。
時代の変化は確かでいかに未来の安定株を探すかというのは、日本だけではなく低金利・低インフレが常態化している欧州などの海外にも通じるものがあるんじゃないでしょうか?
安定株という意味ではマクドナルドとかP&Gとか米国株にという話にもつながる面もあるなとは感じました。もちろん人口規模が減っても欧州のドイツとかイギリスよりは多い日本でもあると思いますけどね。
外山氏は昨年週刊ポストでインタビューを受けた際に「高齢者は株投資をやったらいい。こんなに面白いぞ」と話したところ、周囲から不評だったそうです。
その反論として、「株投資も損をリスクはあるが、失敗するかもしれないから工夫も生まれる。株だけを悪と決めつける理由がないはずだ」というのはその通りかと。
本全般として、外山氏が言及する「自分の意志で価値判断を下すための思考力」はこれまで以上に欠かせなくなると考えます。
情報があふれる時代だからこそ投資以外でもそうですけど、「思考の重要性」を意識しておきたいですね。


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