ビジネスで勝つネットゲリラ戦術詳説から見ると、N国党躍進は必然だった?
各報道機関の選挙予測がほぼ当たっていたのと、タレント候補が軒並み落選しまくったので、「NHKから国民を守る党」、通称N国党が選挙後報道で目立ってる印象を持ちます。
NHKに対してそれぞれ意見はあるでしょうけど、個人的に災害時に真っ先に見るとすればNHKです。
もちろん紅白などの宣伝がウザくなった、ニュース番組が明らかにワイドショーっぽくなってるなど問題が多くあると考えますが、スポーツ中継のアナウンサーの質は競馬を除いて民放を大きく上回りますし、英雄達の選択などBSハイビジョンの高クオリティ作品は受信料あってのものですから、そういう面も含めると受信料払う価値はあると考えています。
そんなN国党が参議院選挙で議席を取るのを予知していた?ように現代のビジネスモデルのケーススタディとしてとりあげていたのが、えらいてんちょう氏の「ビジネスで勝つネットゲリラ戦術詳説」です。
えらいてんちょう氏は慶応義塾大学卒業後、会社員として働くのがいやで、リサイクルショップやら学習塾やらイベントバーを経営している人ですが、ビジネスとして軌道に載せている人でもあります。
前著しょぼい企業で生きていくも読みましたが、普段人が入って見えるように思えない通りの店はなぜつぶれないのか?という小さなビジネスを起こすという側面から見た観点が書かれていて面白かったです。
N国党躍進は必然だった?
ビジネスゲリラの例としてDJ社長や岡崎体育の例が多く載っていましたが、巻末のN国党は参議院選挙前に書かれているので、新聞や雑誌などよりもN国党に関する説明は的を得ていると思いました。
- 誰にでも理解できるわかりやすい主張を掲げる
- 主張は平凡ではない
- 話題を提供し続けることで単純接触効果を狙う
- トライ&エラーを続けると信頼感も生まれる
- わかりやすい敵をつくる
- 長く話し続けると単純接触効果でファンをつくれる
- 根拠や論理にこだわらず断言すると、一部に熱狂的なファンができる
- 秀逸な贈与戦略(無料配布シール)
- 独裁と自治のゆるい組織
断言とか一部の炎上系インフルエンサー()に通じるものもありますけど、確かにこれはあるなと。
とくに話題を提供し続けることとトライ&エラーでクオリティが微妙とはいえ動画を量産している点は、ネットゲリラ戦術の観点から見ると有効なのかもしれません(れいわは旧来の野党の手法に近い)。
とはいえこの方向性でいくと内容がより過激になっていく可能性は否めず、えらいてんちょう氏もその懸念点には触れています。
実際、マツコ絡みの話題はちょっと危ない方向に行きかけてますし、曰く付きの人間を引き入れたりしてますので、ゆるい独裁で排除とかを続けられるかが、今後生き残れるかの鍵となるでしょう。
上杉はNHKに勤務した経歴はない。裁判で認めた。│親分・上杉隆氏N国党幹事長に就任“ダブルたかし”でNHKをぶっ壊す!|ニフティニュース https://t.co/4mdFBWho3n
— 池田信夫 (@ikedanob) August 9, 2019
ネットゲリラビジネスに近いのはグラドル自画撮り部とサカナクションか?
N国党の例は極端すぎる感があるかなと思いまして、じゃあ現実的なの何かなと思ったときに思い浮かんだのは、主張的なものとか敵とかいうものは除いて考えると「グラドル自画撮り部」と「サカナクション」でしょうか。
前者はグラビアアイドルの倉持由香がTwitter上で自らの写真を頻繁にアップロードしていく活動を始めたものですが、グラビアアイドル達から賛同され、いまではかなり広がっています。エロはやはり強い。
グラドルのパイが小さくなってる時こそ、ティッシュ配りの要領が必要だと戦略的に始めたことだそうですが、いまの30代が高校生だった頃と比較して、グラビアにはAKB系がかなり参入してきていますし、漫画雑誌だと女優だけでなく声優までグラビアになる時代。
その中での生き残り策として広がったわけですから、SNS時代のビジネスモデルの1つと言っていいでしょう(※もちろん倉持由香本人の戦略がすごいのもあるのですけど)。
サカナクションに関しても単純接触効果に通じるものがあるかと。以下の点で不快になる人は少ないでしょうし。
- CDを下北沢で手売り&サイン会
- ドリフ大爆笑や80年代シティポップ(杉山清貴)のパロPV
- 8cm版シングル追加生産
- サカナクションの曲を使ったMAD動画をボーカルの山口一郎がリツィート
この辺がうまいと思いますし、MAD動画に関しては2000年前後学生だった我々世代に近いものがあるでしょう。PV見ててもそう思うし。
CDの売上が減るというパイが縮小する中でどう収益を上げていくかという点で興味深い事例かなと思います。
PVに金をかけても・・となりがちですが、新宝島の再生数が1億回突破しているのを見たら一概には言えないでしょうし。
ネットゲリラ戦術の中で頻出するフレーズである贈与という観点からグラビア自撮り部とサカナクションはうまくやってると思いますね。もちろん倉持由香やボーカルの山口一郎の能力にもよるところもありますけど。
SNSが使えるようになったのと、コミュニティの細分化が今後も進むことが予測されるため今後ネットゲリラ戦術で大きくなるビジネスもあるでしょうし、起業とかを考える人にとっては活用する手はないでしょうね。
ただし、炎上の問題がつきまとうことはえらいてんちょう氏も書いてることですので、N国党の例から見習うべき項目を考えるとすれば「単純接触効果」「トライ&エラー」「贈与戦略」ではないかと考えます。


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