海を制するものが世界を制する。海軍の世界史を読んで
先週は終戦記念日の週でしたので戦争に関する本を読もうと考えまして、「海戦の世界史」を読んでいました。
海戦は日本にとっても切り離せない要素ですし、中東の雲行きが怪しい時期だからこそ、戦争はやるべきではありませんが、今一度シーレーンについて考えるべき時じゃないかと考えます。
著者のジェレミー・ブラックは近世イギリス史およびヨーロッパ史の権威であり、これまでに100冊以上の多岐にわたる著作を発表している人物です。
ジャック・アタリの「海の歴史」とは異なり、装甲艦が登場した19世紀後半から現在に至るまでの歴史を技術の発展や地政学も絡めて広範な研究がまとめられています。
第一次世界大戦と第二次世界大戦も含めて海軍の総合能力の重要性がわかると同時に、やはり海に囲まれた国の重要性がよくわかる内容だと考えます。
同盟・輸送・兵站も含めた海軍の総合力の重要性
個人的には以下の2つは予想以上に効果的だったなと思いました。
- 第1次世界大戦の太平洋における日本
- 第1次世界大戦、第2次世界大戦の地中海におけるイギリス
そして、第1次世界大戦後日本を脅威に感じてアメリカとイギリスが警戒感を高めていった描写もリアルでした。
両方で負けたドイツや第2次世界大戦の日本を見ておりますと、アメリカとイギリスの海軍力で劣っていたのもありますけど、アメリカもイギリスも判断的に失敗していると著者に指摘されている部分もあるわけです。
それを考えると、同盟(第1次の日本、第2次のオーストラリア)、輸送、兵站も含めた海軍の総合力が重要だと感じました。
中国に関する記載の中で、実際の戦闘経験などの観点で中国海軍に関しては問題もあると著者は指摘していますが、過小評価はすべきではないと考えます。
フランス艦船が異例の台湾海峡通過 中国を牽制 - 産経ニュース
【ワシントン=黒瀬悦成】ロイター通信は24日、複数の米当局者の話として、フランス海軍のフリゲート艦「バンデミエール」が今月6日に台湾海峡を航行したと伝えた。仏軍…
いかにアメリカ以外と連携して監視体制を作るかという意味で、他の国と連携していけるかが重要じゃないでしょうか。
ジャック・アタリが勝ち組と予測している国から考えると、オーストラリアは価値がありそう
海軍の重要性と同時に、ジャック・アタリが「巨大勢力となるためには自国の水域と海底の価値を理解し、それらを保護することを実施してきた国であり、近隣国との紛争に巻き込まれないことだ」と発言していました。
海を制するものが世界経済を制する。海の歴史を読んで - 関東在住福岡人のまったり投資日記
競馬の予想スタンスとしても過去のデータを重視するのが性に合ってますので、歴史の本を読むのもまた習慣となっています。...
これらの国のうち、新興国ならばインドネシアとベトナムは今後注目すべきだと考えます。
同時に、第2次世界大戦でオーストラリアが日本に対して有効だったことを考えると、今後オーストラリアの存在感は資源面や太平洋上の地政学においても重要かなと。
賛否ありますけど、TPPにオーストラリアが加入したのは大きいと思います。
資源国であるので資源価格には注意が必要ですけど、旧イギリス植民地であり地政学的に南半球にあるという意味で、投資をするのも面白いかなと読んでいて感じました。
ともあれ中東情勢が不透明で南シナ海も火種を抱えてる状況下で、法律上の制約もある日本はどうすべきかイデオロギーに関係なく議論していくことが必要だと感じさせてくれる一冊だと思います。


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