アレクサVSシリから学ぶ、GAFMAのボイスコンピューティングに関する動向
個人的にはアレクサかグーグルホームがもう少し進化したら買おうと考えていますし、直近で伸びる可能性のある分野だと思いますので、アンテナを張って情報を集めています。
行き着くといま円柱っぽいモノが人形→人型へと進化していくのではないかと思いますし、それとキャラを組み合わせるとかそういう方向になっていくかと考えます。
そんなボイスコンピューティング関連のいわゆるしゃべるAIはどのようにして進化してきたのかを知りたいなと思って読んだのが「アレクサ vs シリ」です。
著者のジェイムズ・ブラホス氏は技術ジャーナリストで、ニューヨーク・タイムズやナショナル・ジオグラフィックなどで、テクノロジーの未来に関する記事を執筆しています。
ボイスコンピューティング関連の歴史から最新の動向がわかりやすく整理されていますし、読みやすくて技術関連の本としてオススメの本です。
そんな中、気になったのは最新の動向。もちろんアメリカで出版されたときからタイムラグが若干あるとは言え、情報を整理してみました。
デジタルアシスタントで重要なデータの蓄積状況
デジタルアシスタントでは会話などのやりとりのデータの蓄積が重要となります。
人間の会話は突拍子のない方向に飛ぶことがありますけど、基本は流れがありますし。その動向は現状以下の通り。
- アップルとグーグルはそれぞれ自社のデジタルアシスタントのユーザーとのやりとりを大量に蓄えつつある。
- ただし、やりとりの圧倒的多数は実用目的の短い会話なので雑談のデータをあまり蓄積できていない。
- フェイスブックは10億を超す利用者のやりとりにアクセスできるが、チャットボット訓練のためにデータを使っているかは不明。
- アマゾンはアレクサ賞で会話のデータを蓄積している。
短い会話のデータの蓄積はアップルとグーグルも蓄積しているものの実用目的のデータは少ない。
ケンブリッジアナリティカの問題でフェイスブックはチャットボットではなく、仮想通貨の方に行ってる面もあるのかなと思いました。
そんな中で、アマゾンの技術を進歩させるためのアレクサ賞の取組の詳細とかは、地道な感じですけどこういうのが重要なんだろうなと思いました。
どのような疑問にも答えられる音声検索のAI賢者
ブラホス氏はどのような疑問にも答えられる音声検索をAI賢者定義しています。
音声検索に関してもグーグルが肝になるのは変わりないでしょう。で、そのグーグルは検索の半分以上に即答するようになった状況下では、ワンショット・アンサーがグーグルの検索の考え方になりそうです。
音声検索の時代になると、アマゾン、グーグル、その他のサイトで有料であれオーガニックであれ検索で見つけられることを望む企業は是が非でも検索結果のトップに出なければ生き残れないというのはブログにも通じるかと。
その意味で、検索順位を上げるためのビジネスや広告やサイトの表示を販売するという話も大きくなっていく可能性があるかなと思いました。
で、その音声検索の取組状況をグーグル以外で整理すると以下の通り。
- アップルは検索ビジネスに真剣に挑戦しようとしていない。シリの検索エンジンを他社に頼ってきた。ものを売ってる企業なので検索業界に強引に割り込む必要はない。
- マイクロソフトは検索に向かって走っていて、アメリカのデスクトップでは33%、世界では9%。ただし、モバイル検索の市場占有率が一桁前半で、この領域で悪戦苦闘するだろう。
- フェイスブックは検索に無関心だったが、ニュースと情報のポータルとしてグーグルに比肩するので無視はできない。やがて有力な戦闘部隊になるかもしれない。
- アマゾンはグーグルの脅威になっている。質問応答の技術ではグーグルに遠く及ばないが、商品検索では専門知識を持っている。また、アレクサには先行者利益がある。
著者は「従来型の検索エンジンがAI賢者(音声検索)に移行すると、アマゾンが最も利益を得る。それに続くのはマイクロソフト。グーグルは失うものが最も多いが、その地位は依然として強固だ。」
bingはそれなりにシェアがあるでしょうけど、マイクロソフトが2番手までいけるかは、グーグルが欧州でどれだけ規制をかけられるかによるかなという印象を持ちました。
商品検索で世界帝に強いアマゾンというのはやはり音声検索になると強さが増すのではないかという印象を持ちました。
全能のアシスタントAI
次に全能アシスタントAIに関する内容です。現状のスマートホームスピーカー市場を整理してみました。
- サポートするデバイスがコルタナが39、アップルのシリは194なのに対して、グーグルアシスタントは5000以上のデバイスで、アレクサは2万に上る。
- スマートホームスピーカー市場のシェアはアマゾンは65%、グーグルは20%
- 技術はまだ始まったばかりで、いまはまだユーザーを満足させる方法を模索中で、それがわかれば利益はついてくる。
- いずれ広告を流すようになるだろう。
- グーグルは音声AIの世界で急速に成長している有望なナンバー2。アレクサは他をはるかに話して先頭を走っている。
アマゾンとグーグルの寡占になりそうですが、アップル、マイクロソフト、フェイスブックの各社の展望について著者は以下のように展望しています。
- アップルのシリは世界で最も広く使われるデジタル・アシスタントで1カ月当たり100億ものリクエストを処理し、話せる言語は20を超す。ただし、開発者の理想に反してシリを低レベルのアシスタントにしてしまった。
- アップルのアメリカのスマートスピーカーのシェアは4%
- マイクロソフトは国際レベルのAI部門があり8000人が働いている。検索エンジンもBingやコルタナを持っている。
- ただし対話型のテクノロジーを顧客に届けるのに苦労している。スマホ市場でも5%に届かず、スマートスピーカーのインヴォークもシェアが測定できないほど小さい。
- 苦しい状況にも関わらず、職場のアシスタントとして売り込むようになったのはビジネスを提供するマイクロソフトの最近の企業戦略と合致している。今後ビジネスの分野で強力な競争相手になりそう。
- フェイスブックは対話型AIを熱心に研究しているが実用化には及び腰。
ブラホス氏は3社について言及した後、「どの指標から見てもグーグルとアマゾンが圧倒的な優勝候補になる」そうです。
個人的にはこのままの流れだとそうなるかなと思いますが、アウトサイダーが現れるのか、3社が巻き返すのか?動向は追っていて損はないかなと考えます。
アマゾンはPEGレシオで見ると1前後で買うのありかなと思わなくもないのですが、PERの高さと1株2000ドル近くっていうのがちょっと手を出しにくいので、ETFで投資とかも考えていきたいですね。
ともあれボイスコンピューティングの未来を考える上でも非常に有意義な一冊でした。


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