米国債ETFのBNDが2012年以来久々に85ドル台になりそう
9月最後の週にやや雲行きが怪しくなっていましたが、10月に入って株価の下落が数日続きました。
一応、金曜日に米国の失業率が過去最低になって株価が上昇しましたけど、アメリカはともかく欧州(とくにドイツ)と中国の指標は悪いものが目立ち始めているので、10月中に300ドルとか400ドルニューヨークダウが下がる展開はありうるでしょう。
調整が起きるなら安全資産に逃げるかという話になるのでしょうけど、米国債ETFのバンガード・米国トータル債券市場ETF (BND)は2012年以来の85ドル台を超えそうな状況。
チャイナショックやアメリカ大統領選挙の頃よりも高いレベルにあって、正直去年の誰も見向きもしなかった頃からの景色の変わりっぷりに驚きます。
では、85ドル台までBNDが上昇した2012年のアメリカ市場はどういう状況だったのか?
2012年は量的金融緩和第3弾(QE3)が行われていた
2012年のアメリカの金融政策を見てみると、9月に量的金融緩和第3弾(QE3)が行われていました。
2012年9月の政策対応をまとめると以下のとおり。
- 住宅ローン担保証券(MBS)月額400億ドル
- 米長期国債も月間450億ドル購入
- FOMCの利上げ再開時期の公表を取りやめる
- 失業率目標を導入し、低金利政策は失業率6.5%、期待インフレ率2.5%以上の条件を満たすまで継続する
2012年はニューヨークダウの年間のパフォーマンスが+7%程度で、前年の2011年+5%なのでリーマンショックからの回復がやや腰折れになりつつあったタイミングでした。
その効果もあり結果的に2013年はバーナンキショックがありながらもニューヨークダウは+26.5%上昇しました。
QE3は2014年10月に終了決定、ゼロ金利政策は2015年12月に解除
その後の経緯は以下の通り。
2014年10月29日にFRBは開催した連邦公開市場委員会で、量的緩和第3弾(QE3)の終了を決定
2015年12月16日に「政策金利の0.25%引上げ」を決定し、2008年末から続くゼロ金利政策を解除
バーナンキ→イエレン体制で施策として上手くいった結果が、現状アメリカが一番マシという状況だと考えます。
いまのパウエルFRB議長が果たして同じように立ち回れるかというと、トランプからの攻撃をかわしきれない感があります。
そのときにどうなるかというと不安な面はあると考えます。
米国の金利を考えるとBND85ドル台超えもありえる
過去を振り返ったところでじゃあ現状はどうかというと、わたしも含めてマイナス金利になってる日本、スイス、ドイツと比べてアメリカの金利はマシなので米国債に投資しているという人は多いかと。
今年に入ってからのBNDとは思えない価格の上昇の原因はまさにそこかと。
金利の上昇余地などを考えていくと、さらに経済指標や相場が冴えない状況にBND85ドル超えもありえると考えます。
実際直近1週間のETFの資金流入では、BNDが上位10本に入ってきている上に、資金が流入しているのは債券ETFやディフェンシブな低ボラティリティETF(USMV)、クオリティ(QUAL)、リーマンショック時に下落幅が小さかったVIGです。

まだVTIやIVVにも資金が流入していますが、投資家はリスク回避に動いてます。
わたしは冬のボーナスの投資でもBNDにはいまの価格でも投資をしようと考えていますけど、1つ気になるのは適格社債がリーマンショック時からかなり増えていること。
BNDは社債も含んてますので、投資をする上では長期債とも組み合わせて、一定の備えは必要と考えています。


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