「ティム・クック」を読むと、スティーブ・ジョブズよりもティム・クックの方がCEOとして一流であることがわかる
GAFAの書籍は多く出ていますが、これをアップルに限定するとスティーブ・ジョブズ関連の書籍は多く出ています。
しかし、ジョブズがなくなってから既に8年経過していて、その間にアップルは時価総額世界1位となりました。
この事実から考えると、2代目のティム・クックの手腕も評価されるべきという話になります。
とはいえティム・クックの人物像は日本だとあまり明らかになってない印象です。
そんなクックという人物を、出生から現在に至るまで、丹念に紐解いていたのが「ティム・クックアップルをさらなる高みへと押し上げた天才」です。
ティム・クックーアップルをさらなる高みへと押し上げた天才
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リーアンダー・ケイニー/堤 沙織 SBクリエイティブ 2019年08月23日
著者のリーアンダー・ケイニ―は20年以上にわたって、コンピューターやテクノロジーに関する記事の執筆を行っており、4冊の書籍を出版しているベストセラー作家です。
アップルの最高デザイン責任者を紹介する「ジョナサン・アイブ」も書いてるようなので、書いてあること全て鵜呑みというわけにはいきませんが、様々な証言(アップルにとってよくない反対意見)なども載せていて、アップルという企業の内情を知る上でも貴重な本だと思います。
個人的に印象に残った点をまとめると以下の2点でしょうか?
徳川秀忠的存在?スペシャリストではなくゼネラリスト型CEO
GAFAではアップルはジョブズを崇拝する宗教、iPhoneはセックスだとまで書かれていましたけど、そこまで企業としても製品としてもブランドとして確立された状態だったということでしょう。
ただ、ここから成長は厳しいのでは?という状態からさらに成長させたのだから、ティム・クックもただものではないということでしょう。
ティム・クックは内向的で経験に裏打ちされたオペレーション能力にあり、生前からジョブズが評価していたのもわかる人物なのは間違いありません。
アップルに転社して4年後に担当副社長→2年後にMacintoshのハードウェア部門の責任者→1年後の2005年にCOOに任命させるというジョブズががんを患う前から、ゼネラリスト的に育成していました。
ピクサーに書かれているようにジョブズは製品開発こそ超一流のCEOでしたが、振る舞い的にそりゃ会社追い出されるよという感じでしたし、株主としても厄介です。
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ゼネラリスト型で大局的な人物だからこそジョブズも重宝し、アップルの将来を考えて後任にしたのかもしれません。ジョブズが家康という例えにはなりませんが、江戸幕府の徳川秀忠的な人物ともいえるかもしれません。
クックの下、アップルは未征服の業界(ヘルスケア、フィットネス、自動車)に参入する準備を進めていますけど、ヘルスケア関連は順調ですが自動車に関しては社外から人材を入れたらアップルの文化になじまず上手くいってない模様。
自動車でどこまで巻き返せるかわかりませんが、今後自動車は諦めてヘルスケア関連をさらに重視の方向に行く可能性もあるでしょうね。
リベラルすぎる感のあるアップル
印象に残った2点目としてはザ・リベラルという感じです。
LGBTであることを公表し、マイノリティを大切にするリベラルさが裏打ちされているため、犯罪事件があっても個人情報の開示を拒んだりするのはどうなのかと思うところがあります。
一方で、はっきりいってモンスタークレーマーのグリーンピースに店舗前でデモされて、追っ払えばいいのに、抗議の意見を反映してちゃんと環境問題に取り組んでいます。
環境問題やプライバシーとか賛否両論あるものの、しっかりと取り組むことでアップルというブランド価値を上げるのをわかってやってる印象を持ちました。
先週ユニクロ行ったときにやたら二酸化炭素削減などについて言及するようになったと思ったのですが、企業的に取り組まざる得なくなりつつある流れを捉えてるってことなんでしょう。
リベラル色が強いのですけど、欧米のリベラル同様他にやることあるやろという面もあります。慈善団体への巨額の寄附をやるならフォクスコンの劣悪な労働環境の改善に投資するべきとは思いました。
ともあれティム・クックがどういう人物で、ジョブズの死前後からアップルがどういう困難に立ち向かったのかがわかるという意味で貴重な一冊だと思います。
なぜアップルがジョブズの死後これだけ株価が上昇したのかについても理解できますし。
ウォーレン・バフェットがアップルに投資した時にニュースになりましたけど、ジョブズのままだと投資をしてないんじゃないですかね?
アップルに投資したのはなんとなくクックという人物がバフェットの考えに合致するのもあるのではないかと思いました。
ティム・クックーアップルをさらなる高みへと押し上げた天才
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リーアンダー・ケイニー/堤 沙織 SBクリエイティブ 2019年08月23日


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