情報理論の父、クロード・シャノンは家族そろって投資に趣味として夢中になった
情報、通信、暗号、データ圧縮、符号化など今日の情報社会に必須の分野の先駆的研究を残し、「情報理論の父」と呼ばれている、クロード・シャノンの伝記を読みました。
数学者でありながら、工学的なものに対する興味を失うことなく、機械いじりに終生こだわり、ジャグリングなどの遊びにも興味を抱いたり、考えついた案を論文化するのを嫌がってもっと新しいことを発見していたのではないかといわれる人物です。
ベル研究所とMITで活動していましたが、30代で名声を確立させたあとは、ほとんどが余生で迷路を解く電子マウスなどおかしな機械をつくったりしています。
70年前にチェスのコンピュータを作っていたり、MITで同時期にいたエドワード・ソープ夫妻とカジノで必勝法を実践した際に使ったものは世界初のウェアラブルコンピュータだったとのこと。
そんなクロード・シャノンはエドワード・ソープ同様、投資に関しても熱中していたようです。
テレダインの創業時の取締役会のメンバーになり25年間で27%の年複利収益
エドワード・O・ソープは理論を株式市場に応用し、ヘッジファンドの運用を行ってガサ入れまで喰らいましたが、クロード・シャノンは純粋に個別株の投資を行っていたそうです。
天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す(上)は、投資もギャンブルもエッジを特定することが重要だと教えてくれる - 関東在住福岡人のまったり投資日記
投資と並行してギャンブルをやる人はtwitterやブログなんかでも見かけます。だいたいはわたしのように投資+競馬の組み合わせが多い印象ですね。...
大きな収益となったのは、情報理論の父というだけあって、ベル研究所などの人脈を通して多くのテクノロジー関連企業のスタート時に関わっていたこと。
ただ、シャノン自身はお金に執着心がなかったのですが、婦人が株式市場に興味をそそられていて、婦人が小切手帳などを管理していたため投資が趣味になったようです。
ちなみに富の大半はテレダインとモトローラ、ヒューレット・パッカードに集中。
具体的な収益としては、テレダインへの投資は創業時の取締役会のメンバーになり25年間で27%の年複利収益があったそうです。
株式投資に関する言葉
シャノンがMITで株式市場に関する講演を申し出ると、噂があっという間に広まって、有名なドーム下にある最大の講堂に会場を移さなければならないほどだったそうです。
そんなクロード・シャノンですが、様々な言葉を残しています。
- 価値が減少している銘柄から投資家が利益を引き出せる理論を活用したのかという質問に「いや、手数料が馬鹿にならない」
- 「原理に忠実でありテクニシャンではなかった」
- 「価格チャートやヘッド・アンド・ショルダーの公式化、ネックラインの割り込みについて熱心に研究するテクニシャンは、僕から見れば、ノイズの激しい状態で重要なデータの再現を試みているようなものだ」
- 「本来なら基本となる会社やその収益に注目すべきなのに、多くの人たちが株価にばかり目を向ける」
- 「会社の収益と言った確率過程の予測には、多くの問題が関わってるので、短期間の変動を予測するよりは、成功しそうだと思う会社を選ぶ方が簡単ではないかな」
- 「せいぜい何週間~何ヶ月しか継続しない変数にこだわり経済雑誌を眺めて心配するのは勧められない」
- 「株価の動きはあでたらめで何が起きるか予測できない。だからみんな惹きつけられて、株を売買しているのだろう」
- 「自分はタイミングだけでなく、一部の創業者と知り合い、早い時期の投資で利益を確保する特権にも恵まれた」
- Q:どんな種類の情報理論が投資にベストか?→シャノン「内部情報」
- タイミングやトリッキーな数字にこだわるよりも、有望な成長見通しと健全なリーダーシップに支えられた手堅い会社を評価すべきだ。
考え方は経営者と成長見通し重視で、フィリップ・フィッシャーあたりの考え方に近いような気がします。
当時とは状況が違いますが、結局は株価の変動確率与える短期の影響は読み切れないので、長期で成功しそう且つ経営者が有能な企業に投資するというのは現代にも通じることかなと。
80年代後半頃からは認知症を患っていていましたが、高速取引やヘッジファンドに関してどう考えてるのか気になりましたね。
個人的には数学の重要性がわかると同時に、実際に理論を実践するためにマシンを作って色々といじることは大切だなと思いました。
投資に関しても得た知識をいろいろと試してみる・経験するということは重要じゃないかと思わせてくれる本です。


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