愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。お金は「歴史」で儲けなさい
数年前読もうとしていた本があっても、他の本を優先していたらいつの間にか忘れてしまって、文庫本が出た時に読もうとなるときがちょくちょくあります。
最近はさらにバビロンの大富豪みたいに漫画版というパターンも増えてきている印象ですね。
そんな一冊として加谷珪一氏の「お金は「歴史」で儲けなさい」がありました。買おうとしていたのにいつのまにか忘れてしまってましたが、この度文庫本が出て気づきました。
個人的にはお金持ちの教科書の「5000万貯めると違う世界が見えてくる」という考え方は気になるなと思ってるので、現時点での当面の目標としているのは5000万です。
お金は「歴史」で儲けなさいは5年前出版の本なので、加筆修正されている点と、歴史から長期にわたって予測する点のを考えると読んでよかったなと思います。
そして、今後インフレがじわじわ進むことや、円安になることなど個人的な考えに近いことが書かれてますので、本の内容で書かれたことについて自分の考えを整理してみました。
人間の性が変わらないとすれば、経済も同じような動きをする
「愚者は経験に学び、賢者は歴史から学ぶ」という言葉がありますが、人間の性が変わらないとすれば、経済も同じような動きをすると考えられるというのはまさにその通りだと思います。
個人的に印象に残ったトピックをまとめると以下の通りです。
- 世界恐慌(1929年)をリーマンショック(2008年)に、関東大震災(1923年)を東日本大震災(2011年)に、国債の直接引き受けを異次元の量的緩和策に置き換えれる。
- 経済成長を決定する基本要素は①労働、②資本、③イノベーション(技術革新)
- 人口が増加する米国は、黙っていても一定の経済成長を見込むことができる。
- バブルが崩壊する水準というのは、ほぼ一致していて総融資残高がGDPの1.5倍から1.6倍になってくると危ない
- バブルは単なるマネーの移動であり、今後も継続的に発生する。
- ある程度の基礎体力があり、グローバルに展開している、あるいは需要が減らない商品を扱っている企業の株を買えば、スタグフレーションから資産を防衛することは可能
- 過去130年間で日本の株価は約8000倍まで。年間収益率に換算すれば平均約7%ということ。
- 長期的な株価の流れをしっかりと見ておけば、少なくとも、バブルの頂点で買って、下落の最終局面で売ってしまうという事態は避けることができる。
- 本当にイノベーションを起こすのであればその株価上昇は10~20年続く
- 長期投資を行ったからといって、確実に資産形成ができるわけではない。短期でも長期でもリスクは同様に生じる。10年間の長期投資のシミュレーションでも想定リターン以上も元本割れも3割いる。
- 今後も株価は継続的に上昇を続ける可能性が高い。企業に対して起業家が求める利益水準が低下するとは考えにくいからである。
歴史は韻を踏むといいますが、歴史を通してみると、ある程度の法則性が見れることもある。
どのように自分で咀嚼して活かせるかを考えるというのは長期投資という意味では必要じゃないかと。
とくに日本における戦争と投資の関係は非常に興味深い内容でした。GDP10%以上戦争に費やすのは難しく、戦時中株価は国の介入で安定していたそうです。
個人的にコンドラチェフサイクルのことが書かれていた本を読んでも納得できないことが多かったのですが、イギリスのサイクルの図でイノベーションに関して説明してあるのはわかりやすかったです。
今後20年間で画期的なイノベーションが登場する可能性は高くなりそうです。
インフレと円安方向に進むと考える
個人的にインフレになる可能性と、長期で見たら円安になると考えてるのですが、加谷氏の意見は非常にシンプル且つわかりやすかったです。
- 米国はエネルギー自給が可能となったので、米国の経常収支は改善しドル高が進展
- 米国は人口が増加するので相対的に有利な立場にある
- 日本は、米国とは逆に経常赤字が進展
- 経常赤字が進むことで円安
- 円安が進むことでインフレが進行する
ハイパーインフレになったときにどうするかということもかかれてますが、現時的に可能性が結構あるのはスタグフレーション(景気が後退していく中でインフレ)かなと思います。
米国株に投資をする理由としては、米国株投資の本よりもシンプルにかかれてますし、5年前に実行していれば為替面では微妙ですが大きな利益をあげれたでしょうね。
スタグフレーションになった場合にどういう企業に投資をするのがいいのか?
スタグフレーションになった場合には、ある程度の基礎体力があり、グローバルに展開している、あるいは需要が減らない商品を扱っている企業の株を買えば資産を防衛出来るとかかれてありました。
具体的な米国の優良銘柄、P&G、ジョンソン・アンド・ジョンソン、ウォルマート、ホーム・デポ、コストコ・ホールセールなど。
ネット関連に注意が必要な小売店以外ではGE、キャタピラー、ダウ・ケミカル、マイクロソフト、インテルもあがってました。
GEというのは2015年時点での話でしょうが、マイクロソフトを5年前にチョイスしているので悪くないんじゃないでしょうか?
日本企業なら、米国で稼げる企業が良いということでトヨタ自動車、ジャムコ、東レ、LIXIL、花王、化学メーカー(米国に工場ある企業)、ソフトバンク、インフレ期待でREIT(為替と金利には注意)。
日本株に関してはあまりピンとこなかったですね。
本当にイノベーションを起こすのであればその株価上昇は10?20年続くということで、将来の有望事業についても書かれていて、
それは「人工知能」や「ロボット分野」が可能性を秘めているとのことです。
実際の普及率はS字カーブになるが、10%台の投資タイミングが理想的とあるので、人工知能とロボットに関して色んな指標を見ていると面白いのかなと思いました。
GAFAにしろ先行者じゃなかったり、危機的状況に陥った時期があったのを見ますと、なかなか指標だけでは将来を見通せない部分があると思います。
それは世界経済に関しても同様。となると、判断材料として歴史から考えるのは重要ではないかと考えます。
時間をかけて投資を行う上で、考え方を取り入れていきたい一冊だと思います。


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