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「無形資産が経済を支配する」は世界経済最大のトレンドを理解する上で重要な一冊

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無形資産と言われて想像できるものとしては、特許や商標権や著作権などといった知的資産といったものを上げる人が多いかと思います。

定義的には従業員の持つ技術や能力などの人的資産、企業文化や経営管理プロセスなどといったインフラストラクチャ資産あたりもカテゴリに入るようです。

ともあれ無形資産の反対の有形資産である現金、証券、商品、不動産あたりの価値が下がったとはいいにくい面がありますけど、特許、商標権、著作権といった知的資産の重要度が上がっているのは直近20年のディズニーの動きを見ていれば明らかでしょう。

そんな無形資産について書かれた「無形資産が経済を支配する」を購入して読みました。


フィナンシャルタイムズのベスト経済書に選ばれてますし、ビル・ゲイツも絶賛しているそうです。

実際読んでなるほどなと思うところがありましたので、個人的に無形資産で気になった部分に関して自分なりにまとめてみました。

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マイクロソフトの企業価値の中の有形資産の割合は1%になるほど、無形資産は重要になってきている。


では、有名企業で無形資産の割合ってどうなってるのか?

マイクロソフトの企業価値の中で有形資産が占める割合は株価の1%に満たないそうです。

総資産の内訳をみると、現預金や金融資産が大半を占め、オフィスビルやサーバーのような実物資産はわずか。

にもかかわらず株式の時価総額で世界のトップクラスに上り詰めたのはブランドやアイデア、デザインなど無形資産に対する評価が高くなったためとのこと。

これはマイクロソフトのみの特徴ではなく、アメリカの有形投資と無形投資の産出額に占める比率の推移をみると、1993年頃を境にして無形投資が有形投資を上回りつづけている他、イギリスも1999年頃を境に無形投資が上回っているそうです。

こうした各種グラフをみていくことで、一部の先進国で無形投資が有形投資を上回っていることや、有形投資の方が上回っている国においても、有形投資は着実に減りつつあり、逆に無形投資は増え続けていることがわかります。

加えて無形資産の増大に関連する事象も説明されています。

イギリス、アメリカなどで低金利なのに低投資状態で、それにも関わらずアメリカその他の企業利潤は過去数十年で最高の水準な状況が続いています。

また、収益性の面でトップ企業とそれ以外によって大きな差が開いているなどの状況がありますが、そのうちの以下のように、無形資産の増大と関連して説明することができるそうです。

  • 無形資産はスケーラブルなので先進企業は追随企業を引き離してしまえるから企業間格差が広まる傾向。
  • スピルオーバーやシナジーの利益を享受できるのも潤沢に資産があり、不確実性や回収不可能性を許容できる先進企業なので、先進企業と後塵企業の差を拡大し、後塵企業の投資インセンティブを下げるなど。
  • 無形投資の多い世界では、不確実性が高まるから、企業は才能ある従業員を雇うことでその不確実性を乗り越えようとする。
  • 何が良い結果があった時にそれは何らかの要因のおかげ(CEOの技能)であって、ツキや偶然ではないと思ってしまうので、因果関係がないままに一部の人間の給料が青天丼であがっていく。

これまでもCEOの能力が問われていましたが、マイクロソフトでラサラ・ナデラで再度成長しているのはその象徴といえるかもしれません。

無形資産の4つの特徴


本の中で最も印象に残った点としては、無形資産の4つの特徴ですね。

  • 無形投資の特徴1:サンク性(埋没性)
    無形投資はサンクコスト(埋没費用)を表すことが多い。
    家などの有形資産であれば比較的転売が容易であるのにたいして、まったくヒットしなかったソーシャルゲームを終了しようとした時、それは通常、買い手がつかないか買い叩かれる。
    スタバのマニュアルなども、スタバ独自のものになっていて、別のコーヒーチェーンでは通常利用できない。つまり、無形資産は簡単には売却できない。
  • 無形投資の特徴2:スピルオーバー(波及効果)
    無形投資特徴は、スピルオーバー(波及効果)を作り出すということだ。
    これは他の企業が他人の無形投資を活用するのが比較的容易であることである。有形資産は鍵などをかけることで盗むのが難しい。
    アップルがiPhoneが出たらすぐにAndroidが出てきたり、ヒットしたゲームがでると、すぐにそのコピーゲームが出回るように、アイデアは容易く盗むことができる。
  • 無形投資の特徴3:スケーラブル(拡張可能)
    無形資産はまたスケーラブル(拡張可能)であることが多い。
    スターバックスが適切な従業員マニュアルを一回作れば、あとはそれを中国語などに翻訳する僅かなコストで世界中で使うことができる。TwitterやFacebookや各種ゲームも
  • 無形投資の特徴4:シナジー
    最後に、無形投資はシナジーを持つ傾向にある。
    軍事情報技術が電子レンジを生み出したように、時に無形投資は予想もつかないほうこうとシナジーをして価値を生み出す。それは生物学的進化のようなもので、どのように転ぶかの予測が非常に困難である。

サブスクリプションとかもあてはまる項目がありますけど、仮に個別株、とくにハイテク株とかグロース株あたりに投資をするのであるならば参考になるでしょう。

こういう項目まで検討の範囲に入れておいたほうがいいんじゃないかと思いましたね。

サンフランシスコの不動産価格はなぜ上がり続けるのか?


個人的に昨年からREITのETFに投資をするようになったのですが、不動産価格が上がるプロセスもわかりやすかったですね。

格差は所得だけでなく富の問題でもあることを知らしめたピケティの『21世紀の資本』への批判で、アメリカの最富裕層の富の増大は、彼らが元から持っていた所有物件価値上昇からきているだけだというものがあります。

実はこれも無形資産の特徴である「スピルオーバー」と「シナジー」を最大化させるために企業および従業員が都市に一極集中して土地や家の価値が上がり続けているからだそうです。

無形資産のシナジーを深めるには、人間同士の交流が欠かせません。

Skypeなどの発達はあるにせよ、現代でも依然として対面コミュニケーションが最も効果的な交流方法であることは言うまでもないでしょう。

すると、対面コミュニケーションを容易にし、シナジーを深め、無形資産を活用するためには都市への集住が更に求められるようになる。その結果、都市における土地価格が上昇するわけですね。

シアトルやサンフランシスコなどの都市、とくにアメリカの西海岸と東海岸の状況をよくあらわしていると思います。

もちろんリモートが当たり前になったときに多少傾向が変わる可能性はあるでしょうけど、都市部に投資するREITはまだ上がる余地があるなと思うんですよね。

福岡市が積極的に企業の誘致を行う理由もこれに通じるものなんじゃないでしょうか?

その意味で規制緩和は必須だと本を読んでいても思いましたし、提言もされています。

ここでピックアップした3点以外にも「無形経済」の広がりをどう計測し、分類するかを点検しつつ、生産性や投資、金融システムなどに及ぼす影響を丁寧に解説しています。

2人の経済学者は無形資産を照らす視点を社会を支えるインフラや世直しのための政策にまで広げ、資本主義の変貌を証明しているのは見事だなと思います。

今後の投資を行う上でも参考になりますし、とくにハイテク株に投資したい人にはオススメしたい一冊です。

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