株価が大きく下がったこの時期に、時間分散✕レバレッジの「ライフサイクル投資術」を読んでみました
今週に入って日経平均もNYダウも下がっておりますが、株価が下がるって割安になると買いたくなるというのが、競馬もやってる人間の正直な気持ち。
まぁ、こじらせすぎて中山競馬が雪で中止になった分、本命でもない15番人気のクリノガウディー絡みを買っちゃう境地まで行くと、捻りすぎて失敗しそうですが(降着制度によって外れてしまいましたが・・)。
で、株式下がると投資する金額倍にすればいいんじゃね?という考えになる人はそれなりにいるでしょう。
投資の場合、もう1つの手段としてレバレッジをかけるということも選択肢の1つとしてあるわけです。
そんな中、一部で話題になっていた「ライフサイクル投資術」を読みました。
望月氏は去年評判の良かった「天才数学者ラスベガスとウォール街を制す」も監訳しているので、オプションやクオンツなどの智識も豊富ですし、iFreeレバレッジ S&P500やiFreeレバレッジ NASDAQ100を出してる大和証券投資信託に勤めてるのがあるかと思いますね。
個人的にこれを読み終わってもレバレッジをかけることに関しては、理解はできるけど手は出したくない思うの方が強いです。
ただ、本に書いてある「時間の分散」に関しては意識したいと思いますね。
時間の分散投資
ライフサイクル投資術は、「人生全体で見たときに各年の株式投資額は均一化すべきであり、そのために低レバレッジ(2倍)の活用はリスクリターンバランス的に合理的」という考えます。
例えば市場に投下している資金量が、投資期間の初期と末期では、全く異なる30歳から60歳まで30年間、毎月10万円を積み立てている投資家がいるとします。
この投資家が最初の1年間の投資金額は120万円ですが、最後の1年間の投資金額は3600万円になります。
120万円と3600万円ではリスクが異なりすぎており、適正なバランスが図られていないというわけです。
また1年目に50万円、2年目に100万円、3年目に150万円を投資する場合、このトータル金額年数は300万円/年となります。
1年目に対して3年目の方が3倍も投資額が大きいため、時間当たりのリスクが3倍増大しているんですね。
真の時間分散投資とはこのトータル金額年数を固定した場合に各年の投資額が一定となることであり、本来やるべきことはこの例だと1年目に100万円、二年目に100万円、三年目に100万円というように投資額を固定することになります。
そこで考えだされたのが、ライフサイクル投資術で、現時点で保有している資産と、これから貯金にまわしていく未保有の資産額の現在価値を「真の総資産」として算出し、株式:債券の投資割合を「真の総資産」に基づいて定める。
そして、投資期間の初期はレバレッジをかけて、投資期間全体のポートフォリオ内の資産割合に近づけます。
基本的に若いうちは、レバレッジ(2倍)を使って、より大きなリスクをとって株式投資を行い、年を経過するとともに徐々にレバレッジ比率を引き下げていくというものです。
個人的に「時間の分散投資」に関してはなるほどなぁと思うところがあります。
30代前半で給与が多少なりとも伸びて、投資に回せる金額が大きくなった条件下で、資産は順調に増やせたものの、リスクは増大してるよなというのはあるので、時間の分散投資の考え方はリスク管理も含めて考えさせられるいい本だと思いますね。
真の総資産に関しては引っかかる点がある
ただ、個人的には人的資本的な真の総資産に関してはやや疑問に思うんですよね。
例としては毎年貯金や投資に回す割合が20%の人であれば、3000万円(500万円×20%×30年)の債券を持っているとなるんですね。
債券化した人的資本を含めて株式エクスポージャーの割合を固定するというのがライフサイクル投資術の神髄です。
上の例で投資割合20%なら債券3000万円所有、50%なら7500万円所有と仮想的に考えるわけです。
もちろん例外とかいろいろと補足する説明も書かれてますけど、この見積もりでいいんかというのは難しいんですよね。
2009年当時よりもリストラリスクはアメリカだろうが日本だろうが高いでしょうし、逆に転職なり昇給して大きく昇給した場合とか難しいと思うんですよね。
個人的に20年、30年後まで見通して立てるのどうかなと思うんですよね。AIの進展で2009年当時よりも自分の年収の将来は見通せないと思いますし。
まぁ、10年後なら自分が今勤めてる会社がどうなるかはわかりませんが、いまやってる仕事はなくならんだろうなと言えますけど。
こういう考えだからレバレッジかけるとか向いてないのかもしれません。
なぜレバレッジは2倍なのか?
レバレッジは2倍までをルールとしていて、推奨手法はオプション取引と説明されています。
レバレッジ二倍の根拠は、過去140年ほどの実績ではオプション取引で月初めに清算&リバランスを行う場合に追加証拠金請求は起こらなかったようです。
また、レバレッジにはお金を借りるための金利コストが発生しますが、レバレッジ2倍以上だとこの金利コストが急上昇するので、2倍までが適切とのことです。
Portfolio Visualizerでもモンテカルロシミュレーションで1万回の試行してましたので、10年前にも同じような検証したんでしょう。
なのである程度は信用のおける数字かと思います。
補足として訳者の望月氏が日本株でシミュレーションしても効果があったそうです。
2009年投資時と比べてレバレッジ型のファンドやETFも増えてるので、その辺の検証はしてみたくなりました。
サミュエルソンの割合
ちなみにレバレッジの割合の肝としてサミュエルソンの割合という考え方も提唱されています。
サミュエルソンの割合とは、「適切な形のリスク選好の元では、株価変動がどうであれ個人は毎年の株式市場に対するエクスポージャーの割合を一定に保つべきだ」とポール・サミュエルソンが証明したことから名づけられた、この「一定の投資割合」のことです。
サミュエルソンの割合=1.58/RRA(相対リスク回避度)
※RRAはリスクに晒してもいい収入のに反比例していて、20%なら4,33%なら2、50%なら1。
1.58の値はリスクなどから計算していて、1926~2008年なら1.15。
個人的に年収から投資に回している金額から考えて、1.15で当てはめると株式に回せる割合は60%いかないくらい。
これを考えると現状は保守的だけど、これがポートフォリオでMAXの株式の割合かなとも考えていす。
読み終わって賛否両論あるかと思いますが、時間の分散投資という考え方はなるほどなと思わせるものがありました。
仮にこのまま株式が数年低迷した時にどうなるかも含めて、いろいろと考えさせてくれる一冊です。


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