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関東在住福岡人のまったり投資日記

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投資関連本

効率的市場仮説に代わる適応的市場仮説とは?Adaptive Markets(アダプティブ・マーケット)

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効率的市場仮説というと、現時点での株式市場には利用可能なすべての新たな情報が直ちに織り込まれており、超過リターンを得ることはできず、株価の予測は不可能であるという学説になります。

ただ、効率的市場仮説には実体経済からみて株価が割高になるバブルの発生やその崩壊が説明できないとする批判が、特に行動ファイナンスの観点からあります。

どちらかというと金融額に物理とか数学を取り入れてるのが効率的市場仮説の印象ですが、それに代わって心理学・神経科学・進化論・人工知能などを取り入れた「適応的市場仮説」についてかかれたAdaptive Markets(アダプティブ・マーケット)を読みました。


著者のアンドリュー・W・ロー氏はマサチューセッツ工科大学の教授であり、クオンツの創業者兼名誉会長です。

簡単に言及すると市場も人間も危機に「適応」するということで、色々と心理学や株式のデータなどを解説していて600pを超える大作(そもそもリーマンショック時に書き始めて執筆に8年かかっている)ですけど、非常に面白く読める本です。

個人的に印象に残った点をまとめますと以下の4点ですね。

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適応的市場仮説の基本的な考え方


適応的市場仮説の基本的な考え方は本の中で以下の5点にまとめられていました。

  • 私たちは常に合理的なわけでも常に非合理的なわけでもない。私たちは進化の力によって特徴や行動が形作られる生物学的存在である。
  • 私たちの行動にはバイアスがあり、わたしたちは一見すると最適でない意思決定も行うが、過去の経験に学び、否定的なフィードバックに応じてヒューリスティックスを見直すことができる。
  • 私たちには先を見据えた「もし~なら」分析をはじめとする、抽象的思考、過去の経験に基づいた未来予測、環境変化に対応する準備を行う能力がある。これは思考の速さで進む進化であり、生物学的な進化とは異なるが、まったく別物というわけではない。
  • 金融市場のダイナミクスは、私たちが行動や学習を行い、周囲の人々や社会、文化、政治、経済、自然の環境に適応する際の相互作用によって形成されるものである。
  • 生存こそが競争、革新、適応を促す究極の原動力である。

最後の5番目の項目が非常にシンプルで生き残るってことがまずは投資の観点でも必要かなと。

市場を生物学的にとらえた考え方ですので、なおさら「適応」と「生存」の重要性を実感できます。

これまでうまくいってたことも適応して変えていく必要もあるというは意識しておきたいですね。

適応的市場仮説の観点から、従来型の投資パラダイムの5つの原則を考え直すと


適応的市場仮説の観点から、従来型の投資パラダイムの5つの原則を考え直すと以下のようになるとのこと(407p引用)

  • リスクとリターンのトレードオフ。市場の状況が正常な間は、リスクとリターンの間に正の関係が存在する。ところが、極端な金融の脅威に直面している投資家の集団は、いっせいに非合理な行動をとることがある。その場合、リスクを取った人々が罰を受けることになる。そうした期間は数ヶ月から数十年続くことがある。
  • アルファ、ベータ、CAPM。CAPMと線形ファクター・モデルは確かにポートフォリオ管理に役立つ情報だけれど、市場環境によってはお世辞にも優れた近似とは言えないいくつかの経済的過程や統計的過程に頼っている。環境や市場参加者の人口動態を理解する方が、なんらかのシングル・ファクター・モデルに頼るよりもよっぽど重要かもしれない。
  • ポートフォリオの最適化とパッシヴ投資。ポートフォリオ最適化ツールが役立つのは、定常性や合理性という過程が現実をある程度うまく近似するときだけに限られる。技術的進歩とともにパッシブ投資の考え方は刻々と変化していっている。たとえパッシブ・インデックスファンドであっても、リスク管理を今まで以上に優先すべきであろう。
  • アセットアロケーション。マクロ経済ファクターや新たな金融機関の登場によって、いままで無関係だった試算同士が結びつき、重なり合って行くにつれて資産同士の境界はどんどん曖昧になっていっている。今や、アセットアロケーションによるリスク管理は、「大いなる調整期(1930年代後半~2000年頃)」と比べて有効とはいえなくなっている。
  • 株式の長期保有。株式はものすごく長期的に見れば魅力的なリターンを生み出すけれど、そんなに長く持つ余裕のある投資家なんてまずいない。より現実的な投資期間で考えると、損失の確率は跳ね上がる。なので、投資家はより積極的にリスク管理を行うべきだ。

2000年以降のデータで明らかにボラティリティが上がっていて、「大いなる調整期(1930年代後半~2000年頃)」はボラティリティが低い傾向がありました。

その点を踏まえてリスク管理の重要性を説いてる内容は、個人的にも取り入れていきたいなと強く思いました。

コロナショックでリーマンショック以来の米国株の強気相場が一息入った感じでしたけど、それでも跳ね上がってる株はあるもので、どこかで転ぶ可能性というのは意識しつつ、リスク管理をしておいて損はない時期じゃないかと考えます。

まぁ、チキンな私に合ってる考え方だと思います。

チャレンジャー号爆発事故で疑われた4社の当日の株価


色々な事例をあげながら適応的市場仮説を説明しているのですが、面白なと思ったのがチャレンジャー号爆発事故当日の株価。

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爆発事故でスペースシャトルにかかわっていた4社の株価は当然下落したわけですが、事故調査委員会なども開かれてない中で1社妙に株価が下落している会社があります。

ちなみに事故調査委員会が原因として発表したことに絡んでいたのは、株価が大きく下落していた会社だったのです。

こんなことがあるものだなと思いますね。

動的なボラティリティ管理の有無で見るとパフォーマンス差は明らか


最後にボラティリティに関してですね。

以下の動的ボラティリティ管理戦略はボラティリティの目標値が16.9%、レヴァレッジの上限が1.3(30%)で、直近21日間の推定年率ボラティリティを用いています。

CRSP-vol.jpg

これを見るとインデックスでもボラティリティの目標値決めてコントロールするってのは大事だなと。

米国株低ボラティリティETFのUSMVなんか見ると上昇相場でも低ボラティリティが勝ってるのはこういうことなんでしょう。

他にもボラティリティ関連のデータは興味深かったので、別途記事にするかも。

最後の金融の規制なんかはやや主張が弱めではありましたが、個人的にこのボリュームでも読みやすかったですね。

リスク管理の重要性も説かれていますので、リスク管理を行う人にはとくにオススメしたい本です。

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