適応的市場仮説の観点からボラティリティと平均リターンの関係を見ると、リスク管理への意識は高めておいた方がよさそう
久々にVIXの推移を見る機会があったのですが、過去5年で見てもコロナショックで跳ね上がってるのがわかります。
同時にいまだに20後半と高い水準で、なにかのきっかけでまた株価の調整の可能性はあるでしょう。
個人的にはリスク意識した運用を意識して行ってますが、最近読んだ「Adaptive Markets 適応的市場仮説」で、ボラティリティの話を読んでいてやっぱりリスクを取る時期ではないなと。
効率的市場仮説ではなく、心理学や生物学、神経科学などを取り入れた適応的市場仮説の説明がなされていて、個人的には腑に落ちる物でしたし。
1930年代中盤から2000年代中盤にかけては大いなる調整
時価総額加重平均リターンの250日間のボラティリティを示したのが以下の図です。

1930年代中盤から2000年代中盤あたりまではボラティリティは短期で上昇することはあるものの比較的安定していました。
この期間をアンドリュー・W・ロー氏は「大いなる調整」とよんでいますが、その後リーマンショックってやや雲行きが変わっています。
もちろんデータが2014年までのデータとはいえ、70年間にわたって米国市場はこれといった跡切れもなく安定した成長を遂げてきたとロー氏は説きます。
ボラティリティが高くなるとリターンは下がる
では、ボラティリティとリターンの関係を見ると、以下の図がわかりやすかったですね。

ボラティリティが高くなるとリターンは下がる傾向は明らかかと。
では、株価の冴えなかった1970年代は違う傾向ですが、これは直近20年で市場環境が変わってることが大きいとのこと。
とくに近年は株式のボラティリティが上昇すると、相当な割合の投資家が「闘争か逃走か」の反応に陥って、パニック売りが株価を押し下げ、需要の高まった安全資産の価格を押し上げるそうです。
その結果、本来なら成り立つはずのリスクとリターンの正の関係を一時的に成り立たなくしてしまう。
適応的市場仮説の観点からこのように説明されてるのみると、ボラティリティを管理しながら運用するっていうのは必要かなと思いましたね。
無理としてもグロース株などボラティリティの高い銘柄は必要以上に組み込まないほうがいいんだろうなと考えました。
実際、動的なボラティリティ管理の運用を行った場合のパフォーマンスはよい傾向がみられる結果が示されてましたし。

本の中では、市場も進化しているという考え方から、マクロ経済ファクターやあたらな金融機関の登場によって、いままで無関係だった試算同士が結びつき、重なり合って行くにつれて資産同士の協会はどんどん曖昧になっていっているという指摘がありました。
そのため、技術的進歩とともにパッシブ投資の考え方は刻々と変化していっていて、たとえパッシブ・インデックスファンドであっても、リスク管理を今まで以上に優先すべきであるともロー氏は主張していてその通りかと。
市場も進化していくのだから適応していかないといけないというのはその通りだと思いますし、過去とは状況も変わっていってるということを意識しながら、リスク管理を忘れないように運用していきたいと考えます。


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