「21世紀の啓蒙」は事実に基づいた希望の書
ファクトフルネスに関しては以前紹介しましたが、コロナによる緊急事態宣言が出たあたりから再び経済関連のジャンルの売上で1位になることも増えています。
個人的にテレビだろうがネットだろうがおかしな情報も結構あるわけですから、この本が売れるのも納得です。
そのファクトフルネスの内容をさらに踏み込んで補強して上下巻にまとめられたのが「21世紀の啓蒙」になると思うんですよね。
読み応えありますけど、個人的にはコロナの時代だからこそ読むべきないようかなと思いましたし、ビル・ゲイツが絶賛するのも納得の内容です。
著者のスティーブン・ピンカーは実験心理学者、認知心理学者で、「暴力の人類史」などの著作も有名です。
どうしてもこの状況で暗い気持ちになりがちですが、とはいえ長期的に見ると世界はいい方向に向かってるという思考は持っておいた方がいいなと思わせるものがありました。
個人的に印象に残った点をまとめると以下の2点ですね。
イスラム世界でもヒューマニズム革命は進む
ピンカーは啓蒙思想の三本柱として理性・科学・ヒューマニズムを上げています。
そして、ファクトフルネスなどの他の著作のデータも示しながら、今が史上最良の時代で、過去を理想化して進歩を否定、未来は衰退に向かうということをデータによって否定しています。
個人的に印象に残ったのは「イスラム世界でもヒューマニズム革命は進む」という点ですね。
イスラム2.0を読んでいたので、今後のイスラムに関して否定的な考えを持ってました。
ただ、ピンカーの意見で、人とのつながり、教育、社会の移動性、女性の社会進出は、世代交代で変っていくというのもまた説得力があるものでした。
人口に関しても新興国もやがて先進国と同じように少子化に進む傾向を指摘していましたので、個人的に過度に悲観する必要はないのかなと思いました。
イスラム教要素が強い国への投資はどうなのかな?と考えてましたが、多少はその考えに関しては改める必要があるかなといまでは考えています。
信仰よりも理性を、国家や民族よりも全人類のためのヒューマニズムを重視し、科学による進歩を肯定的に捉える「啓蒙主義の理念」の必要性は、2020年代に求められるものなのかもしれません。
世の中は長期的に見るといい方向に向かってるということを認めたがらない人はいる
別記事にしましたが、世界的にニュースのトーンが年々悲観的になっている傾向はアメリカ・世界で共通項でした。
世界的にニュースのトーンが年々悲観的になっているのは、投資の逆張りとして参考にしたい - 関東在住福岡人のまったり投資日記
ニュースが暗い内容ばかりで、バラエティやスポーツも明らかに普段と違う状況が2ヶ月以上続いているため、テレビ見るものがないという人はわたしの親世代でもいます。...
ただ、過度にネガティブになるのも良くないなと思うんですよね。
最近ピンカーに関して、極左から叩かれてるという記事を見ましたが、これほどリベラルといっていい人はそんなにいないのではないかと。
著名な進化心理学者であるスティーブン・ピンカーに対して、アメリカの大学を中心に542人の研究者が、これまでの「人種主義的」発言を理由に、アメリカ言語学会のフェローから除名するよう求める請願書を公開した。それに対して、ノーム・チョムスキー、フランシス・フクヤマ、J・K・ローリング、マルコム・グラッドウェルなどを含む有識者が“A Letter on Justice and Open Debate(正義と自由な討論についての手紙)”で、過剰なポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)が思想信条や表現の自由の脅威になっているとの懸念を示した。
個人的に20年前あるいは社会に出た直後とかと比較しても、世の中は確実にリベラル的な思想が強くなっていますし、改善していってると思います。
とくに経済にしろ契機にしろ政治に関しても波のあるものですから、長い視野で短期的に必要以上にネガティブになる必要もないのかなと読んでいて思いました。
コロナの感染拡大が続いている時代だからこそ、警戒しつつもポジティブさを忘れないようにしたいですね。
ファクトフルネスを読んだ人にはこちらも読むことをオススメします。


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