その努力がパフォーマンスを下げる?「行動科学と投資」を読んで
アダプティブ・マーケットを先日紹介しましたが、適応的市場仮説は心理学や神経科学の考えを取り入れてますので、投資に関しても神経的・心理学的な考えを取り込んだ本を読みたいなと思ってました。
ちょうどパンローリングで「行動科学と投資」というぴったりな本が出てましたので、購入して読んでみました。
著者のダニエル・クロスビーは心理学と行動ファイナンスの専門家で、主要経済誌にも寄稿している博士です。
本を読んでいてセントルイス・カージナルスの熱狂的ファンというのがわからなくもない考え方が出てくる印象を持ちますが、富という言葉を総体的にとらえて、富と知識を積上げる意味で重要なことが書かれてる本だと思います。
個人的に印象に残ったのは以下の3点ですね。
投資行動に影響を及ぼす4つの基本的な心理的傾向
1部でまず投資家の正しい判断を妨げる社会的・神経的・心理的要因を説明し、外部要因がいかに選択に及ぼすかを説明しています。
そして、2部で「投資行動に影響を及ぼす4つの基本的な心理的傾向」について以下4点を上げています。
- エゴ・・自信過剰で、明敏な判断よりも自分の能力を信じた行動をとる傾向
- 保守・・利益よりも損失、変化よりも現状維持を不当に優先すること
- 注意・・情報を総体的に評価する傾向で、意思決定で確率よりも顕著な特徴を優先する
- 感情・・リスクと安全性に対する見方が、一時的な感情と個人的な情緒安定性に影響される
エゴに関しては自分自身の信念を証明するような情報を探すことや、「知らない」と言えることは感情的にならなければ利益につながる点が上げられていて、やっぱり投資に対して感情的にならず多角的に考えることは必要かなと思いました。
保守に関しては自分が所有しているものを高く評価する傾向や、結果が同じならば行動する方が後悔する可能性が高い点は意識しておきたいなと。
注意に関しては衝撃が大きくて確率が低い怖い出来事が起こる可能性を過大評価する傾向があるので、ポジティブさも持つ必要があるかと思いました。
感情に関しては行動に与える影響大ですし、将来を無視していま優先になる傾向があると紹介されてました。冷静さというのは必要でしょうね。感情出しまくってるジム・クレイマーとかどうなんだろと思いますが。
行動科学的投資家になるためのポートフォリオ構築
上記4点に関して投資をする際にどうすればいいか?
- ルールを遵守して、資産を管理する。
- ストーリーでは無く長期的な平均を使った前提に基づいて算出する。
- 破滅的な下落から資産を衛には、十分な数の異なる資産を保有し、かつ自分が保有するものを十分知っておく必要がある。
- 戦略のデフォルトは強気だが、確率は低くても影響が大きい不足の事態にも備えておく。
- 投資可能な事実は、経験的な裏付けがあり、理論的にも妥当で、現実の行動に根ざしたものでなければならない。
- 直感に頼るのは投資家にとって大いに馬鹿げている。
- 状況に起因する変数は個別の変数よりも行動を予想しやすいので、感情を誘発される状況を避ける。
- 分散投資と自信は共存できる。
数多く指摘している点で個人的に印象に残ったのは上記8点ですね。
やはりルールをまずは強固にしておくということの重要性が反映された内容だと思います。
行動科学的投資の要素の一例としてあげられてるのは「バリュー」と「モメンタム」
最終章で行動科学的投資の中で、経験的証拠、理論的基盤と行動科学の観点から見た根源を詳しく確認しています。
その中で上げられてるのは「バリュー」と「モメンタム」でした。
ウォール街のモメンタムウォーカーを引用されてますし、モメンタム絡みで書かれてることを読みますと、よりモメンタムに関しての有効性を確信できることができました。
コロナウイルスという先が見えない中で心理や行動は影響を受けるとは思いますけど、決めたルールに従って冷静に取引をすることの重要性がよくわかる本だと思いました。
取引が多くなりがちな人にはとくにオススメできる内容だと考えます。


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