セールスフォース創業者マーク・ベニオフの「トレイルブレイザー」にはSDGsの考えがいっぱい詰まっている
セールスフォース・ドットコムというと、顧客関係管理ソリューションを中心としたクラウドコンピューティング・サービスの提供企業でわたしも数年前に商品を使ったことがあります。
同時にWeb広告なんかでも見かける機会は当時よりも増えたかなという印象です。
サブスクリプションエコノミーでもいまのところはうまくいってるように見えますし、Googleが買収しようとしたというのがニュースになるのもわかる気がします。
そんなセールスフォースの創業者であるマーク・ベニオフが自伝や社会の在り方について書いたのが「トレイルブレイザー」です。
トレイルブレイザーの意味は「先駆者、草分け」的な日本語で、セールスフォースのユニークな、成長と社会貢献を両立させるという企業文化に関して、壁にぶち当たったこと含めて書かれています。
読んでいて思うのは崇高な考えではあるものの、ESG投資という言葉が広がり始めた中では、企業にとって社会貢献というのが今後さらに求められていくのではないか?と思わせるものでした。
バリュー(価値観)は世界を変えるための強力なエンジンとなる
印象に残ったのはセールスフォースはとくにバリュー(価値観)というものを大切にしていて、社会の役立つというのを信念として根付かせたいと創業時からバリューを掲げています。
バリューとしてあげられてるのは以下の4点です。
- 信頼
- カスタマーサクセス
- イノベーション
- 平等
他にも会社としてビジョンやミッションも掲げているようですが、本の中ではバリューというのを前面に出していました。
平等は後から加わったものですが、ITバブルやリーマンショックを生き延びてここまで規模の大きな企業は急成長できたのは、とくにカスタマーサクセスとイノベーションが大きかったのかなと。
カスタマーサクセスに関してはどうしてもサービス的にGAFAとかマイクロソフトに圧されかねないのですが、顧客との信頼関係含めて深いつながりをもつことで乗り越えてこれたんだなという印象です。
加えてスマホ対応やAIに関して先行して取り組んだからこそ、今年に入ってからのITバブルちっくなハイテク株の上昇の波に乗れたともいえるでしょう。
最近はファンドでもビジョンや価値、創造といったものを定義するものがちらほら見受けられますけど、企業に関しても芯の通ったものを作ってやっていかないといけない時代になってきてるのが伝わってきました。
マーク・ベニオフはサティア・ナデラやティム・クックよりも社会貢献への意識は強い
セールスフォースは「1-1-1」モデルをつくり、自社の資本、製品、従業員の就業時間の1%を使って世界中のコミュニティを支援しています。
これまでティム・クックやサティア・ナデラ、ジェフ・ベゾスの本を読んできましたが、それらの会社よりもセールスフォースは社会貢献への意識が強いなという印象です。
ただ、グーグルで軍事関連にかかわるのはよくないと社員から反発を受けたり(似たような話が日本でも起きてますがイノベーションは軍事関連から生まれてきたのもまた事実)、管理ソフトが移民の管理に使われてるとセールスフォース内で反発を受けた経緯も赤裸々に描かれてました。
多様性という意味では軍事関連などに使われるのもいいのじゃないかという考えも尊重されるべきと考えますので、それが一辺倒になるのも危ないと思うんですよね。
その意味で「成長と社会貢献を両立させる」っていうのはどんどん難易度があがるものの、企業としてはやっていかないといけないというジレンマにも陥りかねないなとも思いました。
本を通してマーク・ベニオフには人間的な魅力があり、それがジョブズや豊田章男にきさくに話し合ったりすることもできるんだろうなと。
あと、セールスフォースに関わる全ての人、コミュニティが一堂に会する4日間のイベントには著名人が登壇し、著名歌手はコンサートを行うのですけど、これはバークシャー・ハサウェイの株式総会を意識しているんでしょうね。
これは結局最終的にどうなったのか?と思う項目も複数ありましたが、これからの企業のあり方を考える上で参考になる一冊だと思います。


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