ビッグテックがオフショア口座で管理している1兆ドルの企業貯蓄の4割は社債だった
わたしのポートフォリオは債券の比率が他の人と比べて高めですし、債券も細かくわけていて米国長期債や米国の適格社債にもそれなりの比率を投資してます。
ただ、適格社債に関してはここ2年くらい比率減らして今年は投資してません。
その理由は以下のグラフでして、格付BBBの適格社債でも低めの格付けの発行規模は拡大を続けてる状況。
流石にちょっと不気味だと思いますし、債券のコアになってるBNDといったETFも社債込みですから減らしていってます。
個人的にこの動向は気にしているのですが、「邪悪に堕ちたGAFA ビッグテックは素晴らしい理念と私たちを裏切った」を読んでいて社債とはあまり関係なさそうなGAFAに関しての記載が気になりました。
邪悪に堕ちたGAFA ビッグテックは素晴らしい理念と私たちを裏切った
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ラナ・フォルーハー/長谷川 圭 日経BP 2020年07月17日頃
いつか来た道の「大きすぎて潰せない・規制できない」
「邪悪に堕ちたGAFA ビッグテックは素晴らしい理念と私たちを裏切った」の10章「失敗するには速すぎる」にGAFAなどのビックテック企業の状況について以下のような記載がありました。
- アップルは大量の現金(2850億ドル)を持つと同時に多額な負債(1220億ドル)を抱えていて、余剰金のほとんどをオフショア債のポートフォリオに移管してきた。
- 2017年12月にトランプの税法案が可決されて以来、4070億ドル分の買い戻しが発表されたが、4分の1がアップルによるもの。
- この買い戻しは株式市場全体の84%を所有する10%のアメリカ人を豊かにしただけだった。
- 先進国の企業は記録的な量の社債を発行し、市場は過去10年で70%も成長し、2018年には10兆ドルに達して、二流の企業でさえ簡単に手に入る資金を利用した。
- 国際決済銀行は長期にわたる低金利が通常よりも多くのゾンビ企業を生み出したと警告していて、金利が上がれば損失と波及効果がいつもより深刻になる。次の危機はテクノロジーのデフレ力のせいで、不況を乗り越えるのはさらに難しくなるだろう。
- 2018年のクレディ・スイスのレポートによると、ビッグテックがオフショア口座で管理している1兆ドルの企業貯蓄を綿密に分析したところ、全企業のうち、最も多く知的財産を所有ししている最大級の10%の企業(アップル、マイクロソフト、シスコ、オラクル、Googleなど)がこの種の貯蓄の80%を占めている。
- その貯蓄の金額のほとんどは債権の形で保有されていて、うち半分が社債だった。
- 保有している資産が売却や格下げされた場合、市場そのものが崩壊する恐れがある。
社債というと印象として保守とかが必要なネットワークや通信(AT&T,ベライゾン)あたりや、コンテンツを揃えるのに金がかかるエンタメ系を思い浮かぶのですが、GAFAも金融工学と結びついていると、著者のラナ氏は指摘していました。
一見、金利の影響はそこまでなさそうなハイテク関連でも、金利の上昇の影響は大だなと。
もちろんコロナの影響でアメリカも金利は低レベルですし、日本以上に欧州なんかはコロナの影響も強くマイナス金利まで行き着いています。
しばらくは緩和が続きそうですけど、その状況が変わったときは一種の怖さがあるなと感じました。
同時にこの手の話はリーマンショック時の金融関連と似通ってる面もあるので、大きすぎて潰せない・規制できないの話も今後起こりうるのかなと思いました。
もちろんGAFAの負の側面を描いた本に書かれてる内容なので、全面的に信用というわけにはいきませんが、社債の問題は頭の片隅に置いておいて損はない話かなと考えます。
邪悪に堕ちたGAFA ビッグテックは素晴らしい理念と私たちを裏切った
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ラナ・フォルーハー/長谷川 圭 日経BP 2020年07月17日頃


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