バフェットの経営哲学をまとめた「バフェット帝国の掟」
ウォーレン・バフェットの関連本は年に1冊は出てる状況でして、中には日本のバフェットとか言われてる人の記事も見かけたりします。
ただ、バフェットが自信に関する本で褒めてるのはローレンス・A・カニンガムの「バフェットからの手紙」だったと思うので、それ以外の本は年1で買い続けるほどでもないかなと考えてます。
そんなローレンス・A・カニンガムが2020年バークシャー・ハサウェイの株主総会で推奨された本は読んでみる価値があるかなと思いまして、「バフェット帝国の掟」を読みました。
ローレンス・A・カニンガムは、ジョージ・ワシントン大学でヘンリー・セントジョージ・タッカーの研究を専門とする法律学教授を務めていて、企業の取締役会に対する支援や提言、コーポレート・ガバナンスに関する研究でも有名です。
バフェットからの手紙とは異なり、投資哲学がよく知られているのに対して、経営哲学はそれほど知られていないと説く著者によって、バフェット流の経営哲学がまとめられていて興味深かったです。
とくに印象に残ったのは英語のタイトルが「Margin of Trust」となってるように、信頼を起点としたものですね。
分権と自立の原則、信頼を基軸とした経営手法
バークシャーはこれまで以下の3つの条件で買収を進めてきました。
- シンプルなビジネス
- 安定した収益力
- 堅実な自己資本利益率
- 信頼出来る経営陣
買収後は信頼出来る経営陣に全権限を与え、階層的な内部統制ではなく、スチュワードシップの文化を植え付けていきます。
買収していったは相当な数になるのですけど、分権・自立・信頼の3原則を徹底して、バークシャー本体は少ない人数で運用しつつ、規模を拡大してきた歴史が書かれています。
ふとこれだけ分権していてもうまくいくのは、サピエンス全史でハラリが「20世紀から続くテクノロジーが加速度的に変化する時代には、分散型データ処理が集中型データ処理よりも上手くいったから」と書いてたことに通じるのかなと思いました。
米国企業は内部統制に過大な期待を寄せる傾向にあるのですけど、内部統制を最小限に抑え、信頼を重視するバークシャーのアプローチは、内部統制が必ずしも望ましい効果をもたらす訳ではないこと示していると書いてるのは興味深かったですね。
実際に、他の保険業などの企業がバークシャーと似たような買収と分権を行ってる例が示されていて、従来の米国企業とは異なる手法もありなのではと思わせるものがありました。
もちろんこれまで多くの企業を買収してきたので当然失敗例はあり、失敗例や信用した人物がやらかしたなどの例も隠さずに書かれています。
従来のバフェット本とか毛色がちょっと違う本ではありますが、バークシャーの中身がどうなってるのか?後継者はどうなるのか?という点も含めて知ることができるので、バフェットやバークシャーに興味のある人にはオススメできる本だと思います。


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