世界的な投資ファンド、ブラックストーンの創業者スティーブン・シュワルツマンが説く、景気サイクルの見極め方
年末年始に10月に買って積読状態だった「ブラックストーン・ウェイ PEファンドの王者が語る投資のすべて」を読みました。
世界的な投資ファンド、ブラックストーン・グループの共同創業者スティーブン・シュワルツマンが仕事や投資、人生の哲学を書いた本になります。
ブラックストーン・ウェイ PEファンドの王者が語る投資のすべて
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スティーブ・シュワルツマン/熊谷 淳子 翔泳社 2020年10月14日頃
ブラックストーンと聞かれるとピンと来ない人もいるでしょうが、実はiシェアーズなどでおなじみのブラックロックはブラックストーン・グループ債券運用部門として設立されてました。
1995年に売却されていまに至っており、シュワルツマンは売却を後悔しているそうです。
ちなみにシュワルツマンはプログラムに多額な寄付をした孫正義や1号ファンドに投資した日興証券とつながりが強く、日本とも関係が深いです。また、中国の清華大学に3億ドルを寄付してたりと中国とも関係が深いです。
また、アメリカの歴代政権と関係が深く(イェールの1つ上がブッシュ子)、トランプ政権で大統領戦略政策フォーラム議長に選ばれるなど米政府の対中外交に一定の影響力を有している人物でもあります。
そんなシュワルツマン率いるブラックストーングループですが、リーマンショック時に実にうまく立ち回って上場を果たし大きく成長しました。
その経験に基づきシュワルツマンは「景気サイクルの見極め方」に関して以下のように説いています。
シュワルツマン流景気サイクルの3つの見極め方
ブラックストーングループがリーマンショックをうまく乗り過ごせたのは2006年秋の会議でインド事務所の社員が「過去18か月間で地価が10倍になってるのがとんでもないことになってる」といった点に違和感を抱いたからだそうです。
その後、不動産取引を減らしていったそうです。
その経験も踏まえてFRBの元議長が誰もバブルを見抜くことはできないと表明したがそれは断じて違うといいます。
投資決定プロセスの一環としてブラックストーングループは日常的に景気サイクルについて議論していて、簡単な3つのルールで見極めているそうです。
- 市場の天井は比較的見分けやすい。買い手はたいてい自信過剰になり、ほとんどの場合「今回は違う」と考えるが、それは間違っている。
- 公共な市場では常に買収や投資の資金を融通する比較的安価な借入資本が余剰となる。場合によっては、貸し手が利払いを求めないこともあり、貸し手は通常の融資制限を緩和したり一時停止することも多い。レバレッジの水準は過去の平均と比べて上昇する。買い手は楽観的過ぎる会計上の調整や財務予測を受け入れ始め、高水準の負債をかかえることを正当化するようになる。
- 市場が天井を打っていることを示すもうひとつの指標は、何人の知り合いが金持ちになり始めたか。アウトパフォームしていると主張する投資家の数は過熱市場とともに増加する。特別な戦略やプロセスを持たない個人が「偶然に」金を稼ぎやすくなる。賢明な投資家は自制心と健全なリスク評価を組み合わせるとで市況が反転しても業績を上げる。
割と1番目と3番目は今に近いような印象を持つので留意しておいて損はないかなと読んでいて思いました。
ちなみに過熱した状況を避ける方法としては、価格が最低水準から10%回復するのを待ってから投資することを推奨していました。
資産価格は経済が勢いを増すにつれて上昇する傾向があるためだそうで、確実に適切なタイミングで買う方がいいそうです。
また、突き詰めれば景気の波をつくるのは需要と供給で、これを理解して定量化すれば、市場の天井やそこにどれだけ近づいているかを特定するうえで有利になるとのこと。
とくに不動産の例はわかりやすかったので、株式にも当てはめることができるかもしれないなと思いました。
巻末に仕事や人生に役立つ25のルールの中に、「決して損失を出すな!あらゆるチャンスについてリスクを客観的に評価しよう」とありました。
損失を出すことを回避する傾向は他の章でも書かれてるので、個人的に11月から昨年末にかけての上昇は不気味さを感じていただけに、「景気サイクルの3つの見極め方」は今年特に意識しておきたいと考えてます。
ブラックストーン・ウェイ PEファンドの王者が語る投資のすべて
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スティーブ・シュワルツマン/熊谷 淳子 翔泳社 2020年10月14日頃


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