アマゾン一人勝ち時代をどう生き残る?「アマゾン化する未来」
アマゾンに関する書籍は多くありますが、ジェフ・ベゾスの生い立ちから追った「ジェフ・ベゾス果てなき野望」が一番よかったと個人的には考えています。
ただ、初版から7年近く経っていて、アマゾンも色々な取り組みに関して進展がありました。
その進展状況と今後ビジネスは他の企業もアマゾン化していくと指摘するのが「アマゾン化する未来」です。
英語のタイトルが「Bezonomics(ベゾノミクス)」だったりして、こっちの方が邦題でもよかったんじゃないかという気がしますが。
Amazonがこれまで取り組んできたこと、これから取り組もうとしていることがわかりやすく説明されていました。
同時に他の企業はどう対抗するかや独禁法まで言及されていて、読んでよかったと思いましたね。
AIフライホイールでアマゾンの成長はさらに進む
ベゾノミクスとはなんぞやというと、アマゾンが成長して来た概念である「フライホイール」(コストを下げることで、顧客が増え、それが小売り業者を引き寄せ、売上高を増やすことによりコストが下がる、という好循環)の長期的思考が根幹です。
これにAIとデータ活用を加わって「AIフライホイール」となりますますアマゾンの成長を加速していくというのがベゾノミクスです。
アマゾンは既にメディア、クラウド、物流などに多角化してるわけですが、銀行、医療、広告果ては宇宙まで及んでいて、読み終えると恐怖を覚えるものです。
こういう企業だからGAFAとかマイクロソフトと違ってジェフ・ベゾスのワンマンイメージが強かったのですけど、何かあったときの体制とかはちゃんと整えられててブレーンもいる状況で、その辺の対策も打ってあるんだなと読んでて思いました。
そこまでアマゾンに批判的ではないからでしょうか、アマゾンの現役幹部へのインタビューも書かれているのは、よく取材しているなと思いました。
ウォルマートの取締役は元アマゾン社員
「ジェフ・ベゾス果てなき野望」の中で印象に残ったのは、おむつなどのオンライン小売のクイッツィという企業の話で、価格を劇的に下げて音を上げさせて買収されたという経緯は印象に残ってます。
その創業者だったマーク・ローリーは短期間アマゾンに在籍した後、2016年にウォールマートの取締役に就任。
ローリー氏は入社してすぐにスタートアップ3社を買収した他、ネットビジネスの新モデルを次々に生み出しています。
因縁が絡んでこんなことになってるんだと思いましたね。
同時にウォルマートとアマゾンの米国市場の奪い合いが激化していくのが容易に想像できて、この2社以外の先行きはきつそうに見えました。
アマゾンが失敗しても未来は変わらない
アマゾンだけでなくGAFAの独禁法に関するトピックスも書かれていましたが、個人的にアマゾンの場合世界シェアなどが小さく、ウォルマートがライバルとして存在する場合、なかなか適用が難しいのでは?と思えます。
ともあれアマゾンはいつか失敗するかもしれないと創業者が言ってても、「ベゾノミクス」という新しいビジネスの手法は波及しているので、未来はかわらないだろうとデュメイン氏は説きます。
そして世界中の雇用市場で大きな混乱が起きて、最適賃金の引き上げやUBI(ベーシックインカム)の導入といった対策の必要性があるだろうとのこと。
2020年代に大きなトピックスとなるだけに、この意見は重要だと思いますし、怖さを覚えました。
現在必要なビジネスモデルやアマゾンの歴史と今後の展望を考える上でもオススメできる内容だと思います。


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