「航路を守れ バンガードとインデックス革命の物語」はバンガードの歴史が詰まった一冊
バンガードの創業者であるジョン・C・ボーグルが2年経つのですが、亡くなる前年に書いた「航路を守れ」を先週購入して読み終わりました。
ボーグルの本は出版社が結構異なってる印象で、それぞれの本でメインテーマが結構違うことが多い印象があります。
ダイヤモンドから先月出た「人生のダイヤモンドは足元に埋まっている」は人生訓や足るというテーマがありましたが、「航路を守れ」はバンガードの歴史が大半と最後にインデックスファンドとバンガードの今後について書かれています。
ジョン・C・ボーグルの「人生のダイヤモンドは足元に埋まっている」から感じる「足るを知る」の重要性 - 関東在住福岡人のまったり投資日記
バンガードの創業者であるジョン・C・ボーグルが2年前に亡くなったのですが、1月になりまして急に2冊ほど本が発売となりました。洋書のタイムラグ的に2年くらい間隔が開くことはあるので、亡くなった後アメリカで販売されたのが日本でも発売になったということでしょうか。...
個人的に印象に残った点をまとめますと以下の2点ですね。
興味深いバンガードのファンドの歴史。1980年代牽引したのはMMFや債券ファンドだった
4部構成になっていますが、第1部「バンガードの物語」と第2部「バンガードのファンド」で、それぞれバンガードの歴史、バンガードのファンドの歴史について書かれてます。
この2部まででほぼ8割を占めていますし、第1部はほぼ半分くらい占めています。
1部に関しては歴史に関してはウェリントン入社時から、インデックスファンドの創設時の苦労から、発展していく様子が年代別に書かれています。
インデックスファンド創設から右肩上がりではなく、1979年にはアクティブ株式が45%、1980年代に資産規模を増やしたときはアクティブ債券ファンドが39%、MMFが1990年時点で39%で当時の経営を支えていたということは興味深かったですね。
ちなみに2018年時点でインデックスファンドの比率は74%に対し、他おファンドは5%~9%程度になってるそうです。
2部のバンガードのファンドは、わたしはETFを調べるためにバンガードのファンド一覧を見ることがあるのですけど、ウェリントンやらホライズンとかなんぞやという感じのファンドがありました。
日本で販売されていたウェルズリー・インカムファンド以外のファンドの歴史も詳細に書かれていたのですが、その中にはアクティブファンドで運用は投資顧問会社に任せているなど意外な運用手法のファンドもあるのは興味深かったです。
失敗例も赤裸々に書かれていますが、複数の投資顧問会社を利用したファンドもあり、それでコスト面が安いからこそここまでバンガードが成長したと言うことの一例でもあるように感じました。
株式市場の株主に占めるインデックスファンド運用会社の割合が大きくなってきたことによる懸念について
第3部「投資運用の将来」でバンガードやインデックスファンドの今後について書かれています。
その中で個人的に印象に残ったのは、株式市場の株主に占めるインデックスファンド運用会社の割合が大きくなってきたことによる弊害や懸念についてです。
バンガードとiシェアーズのブラックロック、SPDRのステートストリートでシェアの80%を占めていて、S&P500ファンドが大株主になっているため、「ファンドは明示的もしくは黙視的に航空会社の経営陣にお互いに競争しないように働きかけている」と批判があります。
この意見を「ラディカルマーケット」という本で見たことがあり、共同著者も名前と本に出てくる名前が一致したのですが、この本の中では「大規模な機関投資家は、1業種1社にのみ、投資をすることが認められるべきである」という意見がありました。
ただし、それが立証されれば反トラスト法違反になるでしょうし、引き合いに出されるのは航空業界のみとのこと。
ボーグルも確かに資産の集中は問題ではあるが、業種の定義なんて難しくなっているし、コストが安くファンド業務から利益を得てないのはおかしいと指摘します。
ちなみにラディカルマーケットの著者がニューヨークタイムスに「現代のあたらな金メッキ時代の後ろにいる本当の悪党」とまで書いてたのですが、1インデックスファンドが一体いくつの銘柄を売却する必要があるのか具体例をかいておらず、S&P500ファンドは一体何社保有が可能なのかも書かれていない件について質問をもとめて2年以上回答がないそうです。
もちろん運用会社は当然責任が大きいと思いますが、少なくともバンガードに関しては問題ないかと。
むしろESG絡みで積極的に発言してるブラックロックの方は心配ですが。
本の内容として資産運用に関しては内容が少ないので、「インデックス投資は勝者のゲーム」もボーグルの著著の中では比較的新しい本なので、合わせて読むといいかと考えます。
インデックスファンドやバンガードの歴史、ファンドの仕組みを知るという意味ではオススメできる一冊だと思います。


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