アップルの米国債や社債の保有額は10年前の7倍。無形資産が金利を下押ししている?
株価が好調なのでリバランスをどうしようかと考えているのですが、株式以外だとREITを除けばどうも割高に見えていて、色々と投資や経済関連の本を読みながら考えを練っています。
その中で「NEO ECONOMY(ネオエコノミー)」に書かれていた部分は非常に気になりました。
内容としては3章の「姿なき富を探る」に書かれてあった売上高7割を5社で取る勝者総取りの状況が金利を下押ししているという点ですね。
結局勝者総取り側にいるデジタル企業は、知識や人材をかき集めて、未上場企業などへの出資は多い反面、向上など巨額の設備投資とは縁遠く手元に資金が積み上がる訳です。
で、その資金でどうなるかというと巡り巡って金利を下押ししているのではないかと。
稼いだ資金をあたらな知識へ投じ、株主に還元してもなお有り余る
世界の企業の手元資金は2018年度7.9兆ドルと過去5年で16%増えていて、1980年代に10%未満だったGDPに占める企業貯蓄の比率も2010年代に15%近くに高まってます。
無配の企業もありますが、稼いだ資金をあたらな知識へ投じ、株主に還元してもなお有り余る状況なんですね。
で、無形資産の比率が高い企業は手元に資金があふれかえったものをどうするかというと、運用リスクが総体的に低い債券に投資しているわけですね。
アップルの2019年6月時点での米国債保有額は1900億ドルと10年前の7倍の規模。
債券運用で有名なピムコのフェルズ氏も「企業の貯蓄余剰が金利の低下に寄与してきた」と指摘しています。
マイナス金利で取引される世界の債券は17兆ドルと世界全体の2割程度にあたり、先進国では生産や投資が鈍って景気が回復基調でも低金利・低インフレの状況。
無形資産の影響力が高まるにつれて金利や価格の物差しでは捉えきれない状況になりつつあり、GDP以外の指数で九大の馬奈木教授が新国富指数の活用も提唱してるのもわかる状況といえるでしょう。
ちなみに日本はGDPよりも人工資本、自然資源、人的資本の3つを合成して作る新国富指数の方の伸びが大きいそうです。
大きすぎて潰せない・規制できないにつながりかねないことも
ただ、この影響で大きすぎて潰せない・規制できないにつながりかねないこともありうるのかなと。
邪悪に堕ちたGAFA ビッグテックは素晴らしい理念と私たちを裏切った
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ラナ・フォルーハー/長谷川 圭 日経BP 2020年07月17日頃
ビッグテックがオフショア口座で管理している1兆ドルの企業貯蓄の4割は社債だった - 関東在住福岡人のまったり投資日記
わたしのポートフォリオは債券の比率が他の人と比べて高めですし、債券も細かくわけていて米国長期債や米国の適格社債にもそれなりの比率を投資してます。ただ、適格社債に関してはここ2年くらい比率減らして今年は投資してません。..
邪悪に墜ちたGAFAでも同様のことが上げられてたのですが、金利が上がったときにどうなるかというと結構懸念事項はあるんですね。
金利が上昇したときに2018年12月のような急落はあるかなと。
- 国際決済銀行は長期にわたる低金利が通常よりも多くのゾンビ企業を生み出したと警告していて、金利が上がれば損失と波及効果がいつもより深刻になる。次の危機はテクノロジーのデフレ力のせいで、不況を乗り越えるのはさらに難しくなるだろう。
- 2018年のクレディ・スイスのレポートによると、ビッグテックがオフショア口座で管理している1兆ドルの企業貯蓄を綿密に分析したところ、全企業のうち、最も多く知的財産を所有ししている最大級の10%の企業(アップル、マイクロソフト、シスコ、オラクル、Googleなど)がこの種の貯蓄の80%を占めている。
- その貯蓄の金額のほとんどは債権の形で保有されていて、うち半分が社債だった。
- 保有している資産が売却や格下げされた場合、市場そのものが崩壊する恐れがある。
当時よりもコロナショックで債券ETFの利回りは低下している状況ですから、ちょっと怖さはあるかと思います。
同時に仮に急上昇となったときは買い場であったという状況もあり得るので、債券ETFの価格をウォッチしつつ、タイミングによっては買い増しもありかなと色々と考えています。
ただ、金利は低位のままという可能性もありえるなと思えただけに、従来の株式:債券=6:4でうまくいくわけでもない環境だと思いますので、他資産との組み合わせも考えていかなければならないでしょうね。


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