TOPIXの企業を調べてみると、売上や利益が高い企業ほど株価が上がるわけではなく、重要なのはROEとROIC?
ろくすけさんのブログで紹介されていて面白そうだと思って読んだ中神康議著:「三位一体の経営」ですが、個人的に面白いデータとして「日本企業は世界で最もリスクを取っていない?」というグラフを紹介しました。
「三位一体の経営」の観点で見ると、日本企業は世界で最もリスクを取っていない? - 関東在住福岡人のまったり投資日記
ろくすけさんのブログで紹介されていて面白そうだと思って読んだ中神康議著:「三位一体の経営」ですが、経営者・従業員・株主のトレードオフをトレードオンに昇華させる「複利の経営」を提唱していて、とくに個別株で企業を分析するときに参考になる事象が多く、投資家にもオススメできる本だと思いました。 ...
で、個人的にも☆5つな中神康議著:「三位一体の経営」なんですけど、もう1つ印象に残ったデータがありました。
それは「TOPIXの企業を調べてみると、売上や利益が高い企業ほど株価が上がるわけではない」という点ですね。
TOPIXの企業を調べてみると、売上や利益が高い企業ほど株価が上がるわけではない
TOPIX500の企業を売上高成長率、営業利益成長率の水準が高い順にQ1、Q2、Q3、Q4のグループに分けて、約10年間の株式累積リターンを示したものです。

営業利益成長率や売上高成長率見ても伸びた企業の方が株式累積リターンはよくない傾向が見られます。
まぁ、3月になって予算ガーという幹部社員はいるものの、短期視野では効果がある場合もあるでしょう。
ただ、一時的に株価リターンにつながっても、10年間という期間をとってみるときれいに払拭されてしまうと言うことなんですね。
では、売上ではなく利益率に絞ればいいのでは?と思う人もいるかもしれませんが、利益率に関しても高い方が株式累積リターンに明確な相関はないという結果に。

売上ではなく利益追求をやたら要求する会社を見てきたのですが、率でも10年という比較的長い期間だと株式累積リターンにつながらないということがこの図からはいえます。
ROEやROICが高いほど株式累積リターンが大きい傾向あり
では、10年というスパンでどういう指標が株式累積リターンに相関があるかというと、自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とROIC(投下資本利益率、Return on Invested Capital)。

ROE、ROICどちらもその長期水準の高さと株式累積リターンには相関があると言える結果になっていました。
もちろんROEやROICに関しても全面的に賛成といえる指標とも言えない面はあるかと思いますけど、中神氏は10年スパンだと「利回り」を長く続ける「複利の経営」こそが、株式価値を高め「みなで豊かになる経営」につながると説いていました。
結局この傾向から考えていくと、「堀」をもってないと「高い利回り」を長く続けることはできないでしょうし、10年スパンで消費動向や流行も変わっていく時代になってますので、「高い利回り」を長く続けるためにはリスクを取って投資をする必要があるからこそ、リスクを取らなければならないということでしょう。
国内企業に投資をする場合はこういう視野を持って投資をすると面白いのかなと思いました。
同時にこの傾向が外国企業でも当てはまるとすれば応用も効きそうな気もしますので、時間があれば調べてみたいですね。


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