「メスを超える」に書かれていたVR手術やAI医療の現在と将来
個人的にヘルスケアセクター偏重で投資を行っているため、利用業界の動向はおぼろげながら追うようにしています。
3年前くらいに医療4.0という本を読みましたが、そこから3年経ってコロナの問題が1年続く中どうなったのかなと。
2030年医療はどうなる?医療4.0 第4次産業革命時代の医療を読んで - 関東在住福岡人のまったり投資日記
今後伸びる産業というと情報技術関連だとは考えますが、欧州や日本、中国など世界的に高齢化が進むに当たって医療・ヘルスケア関連も大きな伸びしろがあるのではないかと考えています。だからこそバンガードのヘルスケアセクターETF(ティッカー:VHT)をボーナス毎にちょびちょび買い足していってます。...
そんな中、「メスを超える」を読みました。
著者の杉本真樹氏は医師・医学博士で帝京大学冲永総合研究所特任教授であり、Holoeyes(ホロアイズ)株式会社共同創業者でもある人物。
キャリアの中では米国カリフォルニア州退役軍人局パロアルト病院客員フェローもあり、VR/AR6/MR/XR、医用画像処理、医療ITシステム、手術支援、低侵襲手術や手術ロボット、3Dプリンタによる生体質感臓器モデルなど、最先端医療技術の研究開発と医工産学官連携に尽力されている方です。
そんな杉本氏が書く現状から、個人的な印象に残った点をまとめると以下の2点ですね。
VR+AI+オンライン医療で医療デジタル変革
杉本氏自身が医療の3D画像などに魅せられて、早くからMacやOsiriXなどを活用していたので、3DプリンタやHoloLensの活用に積極的なのが本でも伝わってきました。
そんな中で、単なるロボット医療だけではなく3Dプリンタを使って臓器のモデルを作り、切除箇所を色付けしてHoloLensも手術に使用しているのは実際の事例で興味深かったです。
同時に製造業などへの応用も並行して進んでいくのだろうなと思いましたし、骨折やねん挫などのギブスやリハビリ過程もこういう技術がいずれ適用されていくんだろうなと。
とはいえ手術ロボットは万能ではなく、執刀医と助手の間ではコミュニケーションが音声だけで齟齬が発生すること、実際のロボット手術の医療事故での臓器に及ぶ危険性なども触れていて、チーム医療としてコンシュルジュの医師の必要性も説いていました。
また、やはり手術はチームでやるといっても俗人化している点はあり、技術継承の面でも有用性も説いていて、データとAI活用含めて医療技術は伸びしろは大きいのではないかと感じます。
とくに人体モデルの蓄積と検知のためのAI活用は進めてほしいと思いますし、コロナでも同様のことをやってほしいなと考えます。
オンライン医療と地域医療の問題
個人的に4月に通院しなきゃいけない軽い症状が出まして、定期的に病院に通院する羽目になったのですが、最後の週になりわたしの住んでる自治体でもワクチン接種券が配られたせいで通院患者が急増。
コロナの影響で診察室窓や入口のドアも開けっ放しで、中から聞こえてくるのはお年寄りの「ワクチン打っていいんですかね?」の質問ばかり。
まぁ、当然症状がでてるついでに聞いてるのもあるでしょうけど、流石にこれで待ち時間伸びるのみたらなんとかならんのかと。
眼科、皮膚科、歯科、耳鼻科と結構触ったりしないとオンラインだけじゃ無理というのはあるでしょうが、まずは定期的に通院と服薬のみの患者から移行っていうのは5Gも進む中で進めてほしいなと思いました。
で、これができるようになれば高齢者施設とつなぐとかできるようになるでしょうし、地域医療の問題も多少なりとも軽くすることができるんじゃないかと思うんですよね。
もちろん本の中では、杉本氏が千葉の地域医療を立て直した時の状況も整理されていて、なかなか簡単にはいかない面もありますけど、モデルとして色々と試しながら10年後さらに高齢化が進む時代に備えてほしいなと。
ともあれ医療現場の内情や、ここまで医療技術が進んでいるのかを含めて非常に興味深い本でした。


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