イェール大学財団最高責任者デビッド・スウェンセンの分散投資の考え方
連休中いくつか投資関連の本を読んだのですが、その中の一冊としてイェール大学財団最高責任者デビッド・スウェンセンの「イェール大学流投資戦略」を読みました。
投資の指南書というよりは基金運営におけるテーマを採り上げていて、厳格な枠組みと規律、エージェンシー問題の回避・管理、アクティブ運用の課題などが中心で、投資そのもの及び投資対象についてどう考えればいいか?というのを理詰めで考えた一冊になっています。
個人的にはオルタナティブとかアクティブ運用の部分とかもっと詳細が知りたかったのですが。
とはいえデータや内容は10年以上前のものですが、個人的に分散投資の部分はなるほどなと思う面がありました。
分散投資に対する考え方
デビッド・スウェンセンは「世界のエリート投資家は何を考えているのか」でレイ・ダリオなどと同様にインタビューを受けていて、以下のポートフォリオを推奨していました。
イェール大学財団最高責任者がおすすめするポートフォリオを再検証 - 関東在住福岡人のまったり投資日記
長期投資を行う上で、投資をする心構えから投資資金の確保、参考になるポートフォリオまで網羅している「世界のエリート投資家は何を考えているのか」は投資初心者向け本としてもオススメしたい本です。...
portfolio visualizerでもポートフォリオを確認できますが、新興国株の比率が5%に変わってるくらいで基本的にこの構成でした。①米国内株 20%
②外国株(米国外先進国) 20%
③エマージング・マーケット 10%
④不動産投資信託(REIT) 20%
⑤長期米国債 15%
⑥米国物価連動国債(TIPS) 15%
特に重視してるのは物価連動国債(TIPS)で、インフレへの備えというのが印象に残りました。
それ以外にも以下の点が印象に残りました。
- 株式のリスクプレミアムとは、債券投資に伴う水準を超える理数を許容することに対し、株式の所有者が受け取る追加的なリターンと定義される。
- 米国市場は1921年から1996年にかけて年率4.3%の実質リターンを生み出しているが、他の国では経済危機や悲惨な戦争を経験しているケースが多く、実質上昇率の中央値は年率僅か0.8%にとどまっている。他国と比較すると米国株式市場は例外なのだと認識すべき。
- アーノットが調査した200年間では、株式のトータルリターン年率7.9%に対して、実に5.0ポイントが配当で、インフレ1.4、配当の実質成長が0.8、バリュエーションの上昇が0.6だった。
- 株式は長期的なインフレに対する素晴らしいヘッジであるが、短期的な物価上昇に対する防御策としては弱いため、インフレに対する短期的な対策を怠るわけにはいかない。
- 国債以外の債券はクレジットリスク、流動性リスク、期限前償還リスクを伴っており、金融危機に対するヘッジ効果は劣る。
- 財務省長期証券はインフレ低下局面で投資家に利益をもたらすが、予期しないインフレ局面では損失をもたらす。
- 自国の債券(イェールの場合米国債)以外の債券は持たない。
- 先進国株式の期待リターンは米国株とほぼ同水準であるため、米国外の先進国を組み入れる理由はポートフォリオの分散が目的で、各リターンが異なる要因によって動かされているからである。また、為替エクスポージャーで分散効果をもたらす。
- 外国株式(米国外)に対する投資は、足元のパフォーマンスの良しあしにかかわらず、一貫して継続することが賢明である。
- 新興国株式市場の投資家は、投資リスクの高さに見合うだけの、十分に大きい期待リターンを要求すすが、確かなデータのある期間を見ると投資家が受け取ったリターンは引き受けたリスクに見合ってない。
- マクロ経済的にもミクロ経済的にも新興国は問題を抱えているため、新興国株式には高い期待リターンが約束されるべきであり、それに応じた高いリスクも覚悟しなければならない。新興国株式への配分はよく吟味された投資ポートフォリオのリスク・リターン特性を改善する可能性を秘めている。
- リスク・リターン特性の面で、不動産はリスクの高い株式とリスクの低い債券の 中間に位置する。不動産投資の基本的な特徴がハイブリッドであるからにほかならない。インフレ連動性を有していることから、不動産は投資家のポートフォリオに対して協力な分散効果をもたらす。
個人的にこれらの考え読むと上記のポートフォリオに落ち着くのは納得だなと。
評価としては米国株先進国株がよく、新興国株式に厳しめですから、新興国の比率が5%のポートフォリオがportfolio visualizerで出てくるのでしょう。
ここまで緩和した後アメリカは正常化が進みそうな状況ですから、それを考えると運用をしていくうえで、インフレ連動債や不動産の比率が高いのも納得できました。
現状自分のポートフォリオは株高で株式の比率が高まっているので他の資産の比率を上げる施策も検討していますが、2年くらい前からやってるREITの比率を高めるのはそのまま継続していこうかなと。
ともあれ資産運用の各資産の考え方などから理解できる一冊だと思います。


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