「AI・兵器・戦争の未来」に書かれていた軍事産業の最新動向
iシェアーズ・米国航空宇宙・防衛ETF (ITA)に投資していますので、軍事防衛関連の産業には興味を持っています。
今後のことが書かれているかなと思いタイトルを見て「AI・兵器・戦争の未来」を読みました。
AIの科学、戦争への適用、そしてその適用がもたらす倫理的ジレンマが中心の内容で行き着くのはターミネーター的な世界。
ちなみに著者が考える40年後くらいの状況は以下の通り。
- 2060年アメリカと中国は同盟を結び、他国を紛争を開始したいかなる国に対しても武力攻撃にあたることが規定された。
- プエルトリコはアメリカの州になる。
- ロシアはアメリカの保護国になる。
- イギリスもアメリカの州になる。
- 戦争がなくなりNATO解体。
と流石に盛りすぎだろと思うところがある一方、ナノテクノロジーに関してとAIが学習をし続けると嘘をつくのでは?という指摘は面白いなと思いました。
ただ、いかんせんファンタジーっぽさが抜けないのですが、巻末の防衛研究所の小野圭司氏の話は軍事産業を考える上で参考になりました。
急速に進化するAI兵器開発と日本の現状
本全体では米中露は、人工知能(AI)を新しい兵器の中心に位置づけていて、AIを兵器に搭載した半自律で稼働しているが、米海軍には自律型兵器もある状況。
この50年で軍事技術が転用されて技術革新が起こってきたことを考えると、これがそのままAIの技術に転用もあるかなと。
で、その現状の動向はどうかということで、巻末の防衛研究所の小野圭司氏へのインタビューがあって内容は以下の通り。
- 人間とAiの生化学的融合については研究が進められていて日本でも研究している人がいる。
- アメリカのDARPAなどで、兵士の意思をどのように脳神経から機会に伝えるか、それをAIの判断にどうつなげるかという分野の研究も行われている。
- アメリカではシリコンバレーが新しいロボットやAI分野では進んでいて、軍がその成果を取り入れている。
- 宇宙サイバー電磁波などの新領域での戦闘も基本的にはシステム開発運用が勝敗の鍵になり、将来の軍隊はSE集団化する。
- アメリカ、欧州、ロシア、中国、日本も人工知能を組み込んだ兵器装備品を開発しているが、射撃の打ての命令の判断は人間が行う。
- 日本はセンサーやロボットの分野では優位性を持っているが、それ以外のところとくにソフトウェア開発に優位性を失いつつある。ソフトウェアの優秀な技術者は官僚主義的なものを好まない問題があるので、トヨタもAIの技術センターをカリフォルニアに置いている。
- 日本は「失敗しながら前進する」ように改革しないことにはAI技術開発イノベーション分野で優れた位置を占めることはできないと確信する。
- AIと軍事の関連で先行しているのはアメリカ。イスラエルも進んでいるように思える。
- ロシアはAI戦車も開発していてハードウェアでは一歩先をいってるが、ソフトウェア開発で西側諸国や中国に及ばない。
- 中国は共産党の以降に沿わないとダメなので、研究環境を整えて一時的に成功するとしても中長期的には優秀な技術者を惹きつける面でアメリカに及ばないと感じる。
- 防衛だけは一流だが、それ以外は二流三流という状況は、民生技術が軍事技術に先行している現状下ではありない。
割と本省と違って現実的な回答だなと思いました。
同時に民生技術が軍事技術に先行している状況下では、民生技術を育てないことにはAI関連でも光が見えない。
日本について考えると「失敗しながら前進する」ことと、日本企業の場合にはシリコンバレーとの連携という方向に舵を切ってくしかないのかなぁと思いました。
外国に目を移すと中国に関しては地政学的なものもあり厳し目の評価の印象ですね。
一方、アメリカはともかくイスラエルが上がったのは確かに地政学的な問題、テロの問題で技術が進んでるとはいえアメリカの次に出てくるとは意外だなと。
まぁ、テロリストからミサイル飛んできて撃ち落としていたり、サイバーセキュリティでも最先端で、アメリカとの関係は深くGAFAMの研究所がテルアビブにあるということを考えれば軍事防衛関連で優位性はあるかと。
軍事技術が進んでいるということは民生技術も進んでいる証左ですから、イスラエルへの投資をする根拠としては補強できるものの一つとなるなと考えています。


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