ラストバンカー西川善文曰く「損切りは3割回収でよし」
数年で新人を指導することが2度もありまして、色々と人を育てる系の本はぼちぼち読む機会が多くなっています。
そんな中、三井住友フィナンシャルグループや初代日本郵政社長の仕事と人生氏の「仕事と人生」を読みました。
内容としては住友銀行入行から、その過程で学んだことやエピソード、銀行マンとしてのあり方が書かれています。
銀行員の姿とて「粉飾決済を行う企業は論外であるが、顧客企業の将来を共に考え、伸びる可能性のある事業を手助けしようとする姿勢」は素晴らしいものとおもいますが、やや1つのエピソードが浅い印象もありました。
さて、そんな西川氏は不良債権処理に追われた経営者で「不良債権と寝た男」とまで言われたそうなのですが、個人的に印象に残ったのは損切りに関しての話ですね。
損切りは3割回収でよし
バブル崩壊から20年にわたって不良債権の処理が続けられたわけですが、西川氏は煎じ詰めれば単純に「ロスを出すか、出さないか」の問題だけだそうです。
その上で不良債権の処理に関して以下のように書いています。
- 不良債権といえども回収を極大化すべく努力しなければならないが、そればかりにこだわっていると前に進まない。
- ある程度のところで見切りを付けるしかない。
- 3割回収すれば大成功だと割り切って残りの7割は捨て、最大限の回収がなされたことにしておえる。
- こだわりすぎてグズグズしている間に、状況がいっそう悪化するケースがある。
- 「高く売りたい」とまっている間に早く現金化しておけばそれを融資に回して得るはずだった金利分の損失が発生する。
- 最大限頑張って1割増えるか増えないかぐらいのことで時間をかけていると、増えた分が金利ロスで飛んでしまうことがある。
- 枝葉末節を考えていたらきりがないし、考えることにどれほどの効果があるかというと実際には大した効果がない場合が多い。
事業を売却しようとしている企業の業績の分析など投資でも役立つ考えかなと思いました。
「高く売りたい」「儲けたい」とかいう考え方で、グズグズしていて悪化するということは起こりうるだけに、5章にも書かれているようにスピードは競争力というのは一理あるかなと思いました。
ただ、色々としがらみがあるとなかなかできないこともあるでしょうけどね。
例えばオリンピックに関しては、オリンピックあるからこそワクチンの供給が欧米ほどではないもののマシ(ただしワクチン開発に多額の支援をしていたのも大きい)という面もあるので、一概に中止とかできないので落としどころを探るってことが大切でしょう。
途中から有観客か無観客かの議論の方向で引っ張ったのを開催側が意図的にやってたとしたら見事なものですがw
本題に話を戻しまして、投資に関してはバイアンドホールドであればあまり関係ないですが、インデックス投資でコストにこだわる人であればどのタイミングで低コストファンドに切り変えるかとか色々と考える上で参考になる考え方かなと思いました。
10年近くやってる人は経費率が5倍以上開いてるファンドを持ち続けているという人も結構いるでしょうし。
ともあれ流石不良債権処理に長年取り組んだだけ合って、仕事観やビジネスの視野に関しては参考になる面が多いと思う一冊でした。


フォローする Follow @garboflash
更新情報を受け取る
